ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『ファイアーエムブレム 風花雪月』(任天堂/2019)

 書店へ行くと「チームマネジメント」や「部下の育て方」といった本が並んでいる。世のマネージャーと呼ばれる人は、チームメンバーの育成に頭を悩ませているのだろう。『ファイアーエムブレム 風花雪月』はそんな人にとっておすすめなゲームかもしれない。楽しみながら、メンバー育成の呼吸、のようなものを掴むことができる。
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ファイアーエムブレム 風花雪月』はファミコン時代から続く人気シミュレーションRPGシリーズの最新作。Nintendo Switchで2019年7月に発売された。

 舞台は中世ヨーロッパ風の大陸。大陸には帝国、王国、諸侯同盟の三つの勢力が鼎立、その中央には緩衝地帯として修道院士官学校が存在している。士官学校には勢力ごとに学級が設けられ、三国から若者たちが集まっている。主人公は士官学校の若き教師として、三つの学級の内の一つを受け持つことになる。やがて彼らは修道院を渦巻く陰謀や、大陸を分断する戦乱へと巻き込まれていく――

 ゲームは一か月単位で進んでいく。
 平日は生徒たちの指導方針を決め、剣、弓、魔術、馬術といったスキルを育成する。休日は3Dマップで描かれる学園内を散策し、生徒のプライベートな悩みを聞いたり、お茶会を開くなど、生徒たちとの交流を深める(かつての『ときめきメモリアル』を思い出した)。月末は生徒たちを率いて戦場へと出撃する。

 初めてプレイした際は盛りだくさんな要素にびっくりした。名前のあるキャラクターは完全フルボイスである。最近のゲームでは珍しいわけでもないが、後述する「支援」の会話も含めると、テキスト量は膨大である。また、学園内の散策も、総勢24名の生徒プラス大人たちとの交流だけで大変なボリュームだし、クエストに料理に釣りに植物栽培にサウナ入浴にとできることは山ほどある。始めのうちは「行動力」が少ないので、すべてを消化し切れないくらいだ。

 プレイしていく内に、このゲームの大きな要素を占めている「育成」がなかなか興味深いサイクルになっているなと思うようになった。
 生徒の育成は単純に授業をすればよいというものでなく、「やる気」というパラメーターが鍵になる。生徒側の「やる気」が足りないと指導を行うこと自体できない。「やる気」は一緒にランチへ行ったり、生徒が戦場で武功を上げたり(重要!)、休養を取らせると上昇する(もっと重要!)。
「やる気」は指導をするごとに下降するが、指導の結果がよい時に「ほめる」と回復する。「ほめる」しか選択肢がないのでここにゲーム性はないのだが、授業で生徒が手応えを感じて喜んでいる→ほめる→もっとやる気が出る、というプロセスは妙にリアルな手触りがある。
 全体として、あれやこれやで生徒のやる気を上げさせる→やる気が上がると指導の効率が上がる→指導の効率が上がるとスキルが身に付く→スキルが身に付くと実戦で役立つ、みたいな流れが割と首尾一貫していて、学園ものではあるのだが、教師と生徒よりは、社会人における上司と部下の関係性に近いように感じた。制作陣はいわゆる「部下育成」という色をかなり意識しているのではないだろうか。
 育成は基本的は各生徒の得意分野を伸ばしていくのだが(生徒ごとに剣が得意とか魔術が不得意とかが明示されており、得意分野はスキルが伸びやすく、不得意分野は指導しても数値が上がりにくい)、時々生徒の方から「自分は重装と馬術を伸ばしたい」とか言ってくることがあり、これも予め仕込まれていることは理解しているのだが、やけに人間くさく感じる。
 独特のリアルさがあるのだけれども、現実との大きな違いは「やる気」が定量的に把握可能かどうかですね(リアルワールドの部下はやる気があるように見えてなかったり、ないように見えてあったりするので、ハードモードです)。
 主人公であるところの先生は生徒を指導しつつ自分も戦場へ出るという、まさしくプレイングマネージャーなのだが、強いのでつい前線に出してしまいがちで、そうすると生徒の実戦経験が伸びないというのもプレイングマネージャーあるあるなのである。

 もう一つ重要なのがキャラクター間でもっている「支援」というパラメーターで、この「支援レベル」が高いキャラクター同士を戦場で近くに配置すると、攻撃時の能力が高まったり、「連携計略」というの技(そういうのがあるんです)が使えるようになったりする。しかるに、戦場ではユニットを孤立させずなるべく隣接させた方がよいのだけれども、これも実際の戦争っぽくある。
 支援は戦場で隣接して戦闘すると徐々に高まっていく。また、主人公である教師は、生徒に対して「お茶会に誘う」、悩みに対して的確に回答するなどすると、高まっていく。高まると、支援レベルに応じてキャラクター同士のちょっとした挿話を見ることができるようになる。
 始めは幼い思考で時に相手を傷つけるような発言すらしていた生徒たちが、支援レベルが上がるにつれ、持ち味を活かしつつも相手を気遣えるような側面が見られるようになり、「こいつ、大人になったな……」と生徒たちへ一層思い入れを感じるようになる。例えば、「黒鷲の学級」のフェルディナントという生徒は、貴族であることに絶対的なアイデンティティを抱くちょっと空気の読めない男で、始めは他の生徒にもやや煙たがられているのだが、やがて、貴族のアイデンティティは保ったままノブレス・オブリージュに目覚めていくのが、ほほえましい。

 ちなみに、キャラクターデザインは倉花千夏である。なるほど、確かにシルヴァンとかユーリスはうたプリにいそうなビジュアルですよね……

  総じて、生徒の育成は楽しく、また、生徒との交流が部隊を強めると共に生徒自身のキャラクターを深掘りしていくというゲームデザインが見事。また、随所にのちのちの悲劇を予感させるようなストーリー展開もいい。「ファイアーエムブレム」をプレイしたのは初めてだったが、とても楽しむことができた。

 

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』(スクウェア・エニックス/2019)

 しばらく前に「クリアしていないゲームの感想の是非」という話題があった。

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 個人的には構わないと思うし、取り上げられている島国大和さんの「未クリアのゲームの感想」を読んだことがあるけれど、クリアしていないことを明記した上での言及で一般論的に問題なかったように思う。
 が、その後、クリアしないと感想が書けないゲームもあるのだ、と思い知らされることがあった。なにか? なんと、あのドラクエだ。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』は国民的RPGシリーズの第11弾。2017年にはPlayStation 4ニンテンドー3DSで発売された。『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』はそのNintendo Switch移植版である。

【通常版】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S - Switch

【通常版】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S - Switch

 

ネタバレしています。

 自分は、「ドラゴンクエスト」シリーズの熱心なファン、と言えない。触ったことがあるのは1~6までで、クリアしたことがあるのはその内3と5だけだ。
スーパーマリオ オデッセイ』以来、Switchがほこりをかぶっており、なにかやってみるかと思案していたところ目についたのが『ドラクエ11S』だった。

 ゲームのストーリーはおよそ三部構成といったところだろう。
 第一部は勇者が故郷の村を旅立ち、「悪魔の子」として追われ、故郷の村を焼かれつつも(久々にネタ抜きで村が焼かれる話を見ました)、仲間を集め、船を手に入れ、自分の出生の鍵を握る「命の大樹」へたどり着くまで、である。
 始めの方は、正直、「むむむ……」と思っていた。ボイスがある副作用としてのいささか鈍重なストーリー運び、2019年現在ではややポリコレラインに引っかかってきそうな表現の数々、そして、おなじく2017年に発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』とつい比較してしまうのだが、3Dで一見華やかに見えるけれど自由度の低いフィールド。『BOTW』との比較では、フィールドの自由度や時間帯や天候の移り変わりの美しさの度合い、だけでなく、音楽も、我々ファミコン世代の夢だった「ドラクエのBGMが全部フルオーケストラになったらな~」がそっくりそのまま実現しているのだけれども、かえって騒々しいというか、『BOTW』の恐ろしく抑制の効いたBGM演出と比べると……なのである。それでも、船が手に入ってある程度行先の自由度が増すと、それなりに楽しくなってくる。
 シリーズ過去作への露骨な目配せにも結構驚いてしまった。勇者とカミュが滝へ飛び込む。目が覚めると教会で介抱されており、そこで流れるのが『ドラクエ5』の「聖」! 無論、オールドファンは『ドラクエ5』の奴隷生活を送っていた主人公とヘンリー王子が決死の脱出から生還するあの名場面を想起してしまうのだが……しかし、あの名場面をそう軽々しく引用してほしくないという思いもあり……その他、闘技場でのトーナメント戦で『ドラクエ4』の戦闘BGMになるのも念入りな目配せである。また、「ヨッチ村」という、シリーズ過去作の各世界へワープして、勇者が平和をもたらしたはずの世界で起こった怪事件を解決していく、というミニイベントが用意されている。ここだけ2Dドット絵、ファミコン音源風になるという演出があり、『スーパーマリオ オデッセイ』でも類似のパートがあったけれど、こういうの流行ってるのかな……
 シリーズ作ではないけれど、魔王ウルノーガによって命の大樹が地に堕ち、世界中が混乱に陥る一連の場面は、『ファイナルファンタジー6』の「その日世界は引き裂かれた」まんまである……このあと散り散りになった仲間たちのエピソードが順に描かれるくだり、シルビアパートから物語が再開した時は、「セリスじゃん!」と思ったものである。
 また、サブタイトルに「過ぎ去りし時を求めて」とあり、勇者はその場所で過去に起こった出来事を映像として視る能力をもっている。が、ストーリー進行上、この能力を使う場面はさほど多くなく、サブタイトル倒れでないかと少し感じた。

 第二部は魔王軍反抗の砦となった故郷の村から、主人公が徐々に魔王軍の拠点を解放し、再び仲間を探し求め、伝説の武器を集め、魔王ウルノーガの住む城へと挑む、までである。
 個人的に、序盤で訪れた場所が、時間が経ってダンジョンとなって立ちはだかる、という演出が好きなので、最初のお城であるデルカダール城が魔王軍の巣窟となっており、勇者とグレイグで潜入する、というエピソードが結構好きだった。
 それにしても、本作は長い。ドラクエってこんなに長いんだっけ? と思うくらい長い。クエストやふしぎな鍛冶など寄り道要素もあるが、やはりストーリーボリューム自体が長い。第一部でワールドマップのほとんどを通過し、「案外小さな世界なのだな」と思っていたが、第二部で命の大樹が消滅したあとの世界をもう一度巡り直し、その過程で各キャラクターの掘り下げを行う。そのため世界の広さに比してストーリー時間が長大になっている。

 さて、魔王ウルノーガを倒すと世界に平和が訪れ、スタッフロールも流れる。通例でいくと、エスターク的なクリア後のおまけ要素、というのがあるのだろうなと想像する。
 命を落としてしまったベロニカを復活させるために、勇者は「忘れられた塔」の力を使い過去へ遡ることを決意する。過去へ遡る途中でセーブすると冒険の書セーブポイントが「過ぎ去りし時を求めて」と表示される。うまい。よもやクリア後に伏線を回収するとは予想していなかった。
 勇者は命の大樹墜落直前の時点へ戻り、まずホメロスの野望を打ち破ることに成功する。次にデルカダール城へ戻り、デルカダール王のからだを乗っ取っていた魔王ウルノーガと再戦し、勝利する。プレイヤーは困惑する。世界崩壊前に戻ってウルノーガを倒すことができてしまったら、あの長大な第二部はいったいなんだったのか?
 とここで「勇者の星」が再臨し、真のラスボスである邪神ニズゼルファが復活する。そう、これは第三部だったのだ。そして、フィールドBGMが『ドラクエ3』の「冒険の旅」へ切り替わる。我々ファミコン世代の夢だった「「冒険の旅」がフルオーケストラになったらな~」がそっくりそのまま実現して、こちらは素直に嬉しい。やはり楽曲がよいからなのか、耳なじみがあるからなのか……
 これまで幾分曖昧に語られてきた伝説の勇者アーシュの討伐対象が、魔王でなく邪神ニズゼルファであったことが明かされる。話は逸れるが、物語冒頭の、王国が襲撃され女王が生まれたばかりの王子を抱えて逃亡し、滝の下で王子だけが助けられ村で育てられる、というのが『バーフバリ』っぽいという意見を見たことがあるけれども、アーシュの仲間である魔法使いウラノスがアーシュを裏切って殺害する場面(うしろから不意をうたれる)も『バーフバリ』っぽい。『ドラクエ11』も『バーフバリ 伝説誕生』も2017年初出で偶然だろうし、そもそも両方とも超絶典型的な"Hero's journey"である。
 時間が巻き戻っているので、第二部で解決済みの課題にもう一度取り組み直すところもあるのだが、適度に省略しているのと、あとはホムラの里の人喰い火竜のように、第二部で解決したエピソードが、第三部ではいわゆるトゥルーエンドを迎えるような、物語の構造を活かした演出もあって唸らされる。先述の通り第二部は世界を再び旅しながらキャラクターを掘り下げるというパートなのだが、第三部はおなじエピソードを別の切り口で再話するという念の入れようである。

 まさかドラクエでクリア後にこれほど強力なサプライズが用意されているとは思わず、クリア後に感想を語った方がよいゲームもあるのだなと感じ入った。一方、エピソードやBGMに至るまで過去のドラクエシリーズを全面的に引用した構成は、一種の総集編というか、これでドラクエが完結するのかなという印象をもった。

『ミッドサマー』(アリ・アスター/2019)

 アメリカの大学生男女五人がスウェーデン郊外の夏至祭を訪れる。白夜の下で花々が咲き誇る美しい光景が広がるも、やがて想像を絶する恐怖が訪れる。
 監督は『ヘレディタリー/継承』で一躍ホラー映画の新しい才能として注目されたアリ・アスター

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 ※ネタバレしています。

 若者が、田舎に行って、調子に乗ったせいで、酷い目に遭う、というのはホラー映画の定番だ(『死霊のはらわた』、『ホステル』等々)。本作『ミッドサマー』も若者が田舎へ行くが、さほど調子に乗っていないにも関わらず、酷い目に遭う。厳密には、マークは村の大事な木に立小便したり、ジョシュは門外不出の教典を盗み撮りしようとしたりしたけど。でも、クリスチャン、サイモン、コニーは特になにもしていないし、マークやジョシュだって前述のようなことをしようがしまいが殺されていただろうことは明白である。前作『ヘレディタリー/継承』もこれといってなにも悪いことをしていない一家へ突如として災厄が訪れるという話だったので、これはアリ・アスター監督の持ち味なのだろうし、だから怖いとも言える。淡々とした話運びのまま、ちょっと信じられないようなグロテスクな場面をさらっと挿入するところも、アリ・アスター監督らしい。

 とはいえ、『ヘレディタリー』の時と違うのは、長編日本公開二作目ということで、アリ・アスター監督の手の内がある程度明らかになっているという点だ。分かって観るとちょっと笑ってしまうところもある。村の言い伝え――若い娘が恋を成就させるおまじない――を描くタペストリーを順番にゆっくり映していくと、娘が相手に食べさせる食べ物に陰毛入れたり、飲み物に経血入れたりみたいな絵がさらっと差し込まれる場面とかさ。
 あとはマジックマッシュルームを食べたりして幻覚を観る場面があるのだけれども、足が地面の草と一体化したりとか、あとは視界の端に映るものが微妙にうねうね動いたりとか、なかなかうまい。やっぱりアリ・アスターもクスリやったことあるのかな~と少し残念に思ったけれど、自分ごときでもうまいと判断できるから、まあ、やってなくてもああいうアイディアはもてるのでしょう。

 アリ・アスターのホラー要素以外での持ち味は、不穏な空気を醸し出し、緊張感を高めていったところで、ふっと場面転換をする演出もあるだろう。もちろん、ホラー場面でも活きるのだが、日常のとほほ場面でも効果を発揮している。個人的に好きなのは、冒頭の、クリスチャンがダニーに黙って友達とスウェーデン旅行を計画していたのが発覚する場面。精神的に不安定なダニーはクリスチャンを問い詰めつつも、「別に行くなって言いたいわけじゃなくて、どうして黙ってたのかを話し合いましょう!」みたいな一番面倒くさい感じになっており、クリスチャンも「もう今日は帰るよ」みたいな感じで話を終わらせようとする。二人の言い合いがやがて口論になろうかというところで、ふっとカットが入り、日が改まってクリスチャンが友達とたむろっている場面に切り替わる。そして、クリスチャンがおもむろに「ダニーもスウェーデンに誘ったんだ」。友達も、我々観客も「えー!?」である(笑)。友人らも「でも、ダニーもスウェーデンなんて来ないよな」、「うん、来ないに決まってる」と動揺しているのがまた笑いを誘う。そこにダニーが現れて室内にぎこちない空気が漂うのもよい。亡くなった家族のことを持ち出され、ダニーが思わず室内のトイレに駆け込むところを真上から描き、トイレに入った途端、そこは機内のトイレ――そう、もう彼らはスウェーデンへの途上なのだ――という映像的な演出もよかった。

 総じて、二作目ということで、ホラー的な驚きという意味では減じているところがやむを得ないとはいえ、アリ・アスターの持ち味はホラー以外でも活きるのではないかなと思いました。もちろん、こういうホラーは今のところ他にないので、三作目もホラーだったとしてもウェルカムなのですが。

 

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Midsommar [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Lions Gate
  • 発売日: 2019/10/08
  • メディア: Blu-ray
 

乃木坂46 25th選抜メンバー予想の答え合わせ

 2020/2/2(日)の「乃木坂工事中」で乃木坂46の25thシングル選抜メンバーが発表された。
 自分の事前の予想は以下の通りである。

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予想

フォーメーションは5-7-9の21名で、

新内、渡辺、星野、田村、大園、掛橋、北野、山崎、高山
    松村、賀喜、梅澤、生田、与田、久保、秋元
      山下、堀、白石、飛鳥、遠藤
(桜井、筒井out、山崎、渡辺、掛橋、田村in)

実際の選抜メンバー

フォーメーションは5-6-11の22名で、

賀喜、新内、山下、久保、堀、大園、遠藤、岩本、与田、北野、梅澤
      井上、和田、高山、秋元、樋口、中田
       飛鳥、生田、白石、松村、星野
(桜井、筒井out、井上、中田、樋口、和田、岩本in)

 完全に卒業する白石さんを見送るための選抜で、いいとか悪いとか論評するようなもんじゃないですね……とはいえ何点か雑感を。

  • 堀さんまで3列目だった段階で、視聴者のほとんどがその後の展開を想像できたのではないでしょうか。
  • これまで誰かが卒業する時もセンターへ据えるだけで全体的なフォーメーションは全然考慮されていなかったところ、今回ここまで白石さん卒業というストーリーを踏まえた(ある意味ファンが望んでいた通りの)体制にするとは思っていませんでした。逆にいうと、卒業興行はしっかりやるという風にも捉えられます。
  • 白石さんが仲よしな生田さん、松村さんを脇で固め、あと、秋元さんと高山さんもフロントでよかったろうのに……と思いましたが、むしろ生田さん、高山さん、秋元さん、松村さんで白石さんを囲うフォーメーションなわけですね。
  • 1期生全員福神は、白石さんに対するはなむけのみならず、結成当時からここまで乃木坂46を支えたメンバーに対するねぎらいの意味もあるでしょうね。
  • とはいえ、3列目に着目すると、当落ラインは概ね想定通りで、岩本さんがinしたのだけが自分との予想違いでした。
  • 26thは激しそうですね。

【2020/11/14追記】

 次回26thシングル選抜メンバー予想は下記。

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「ハマスホイとデンマーク絵画」(東京都美術館/2020)

 前に国立西洋美術館の常設展を訪れた際、ヴィルヘルム・ハマスホイ(ハンマースホイ)の絵が印象に残った。室内を水平に描く構図で、画面外から陽光が差し込み、女性が楽器を弾いている。フェルメールを思わせるのだが、独特の疎外感がある。

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 それでこの画家のことは記憶に残っていたのだけれども、上野の都美術館でハマスホイの展覧会をやると知り、出向いてみた。

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 ヴィルヘルム・ハマスホイ(1884~1916)は1900年前後に活動したデンマークの画家。彩度を抑えた色使いの、静寂を感じさせる室内画や肖像画が特徴的。2008年にも国立西洋美術館で回顧展が開かれている。

 前述のようなハマスホイの作風は彼の個性によるものだけでなく、デンマーク絵画史の伝統の上に成り立っているのではないか、というのが本展覧会の主旨と解釈した。
 本展覧会は4章構成となっており、ハマスホイが登場するのは最後の第4章のみである。1章から3章まではデンマーク近代絵画を振り返るパートとなっている。

 第1章は19世紀前半の「デンマーク絵画の黄金期」と呼ばれる時代の作品が取り上げられる。西欧ではウィリアム・ターナーやフリードリヒらのロマン主義風景画が隆盛していた時代であるけれども、デンマークでもそれらの影響を受けたと思しきクレステン・クプゲのような画家が現れる。クプゲらはデンマークの美しい風景を描くが、少なからぬ作品がどんよりとした空模様で、デンマークという土地はあまり晴れ間がないのだろうかと思った。

 第2章は北欧の画家たちがユトランド半島北端の港町スケーイン(スケーエン)に魅了され、「スケーイン派」を形成した時代である。先頭に置かれるオスカル・ビュルクの『スケーインの海に漕ぎ出すボート』(1884/スケーイン美術館)*1は前章の端正な風景画から打って変わって勇壮で、日本でいうと和田三造の『南風』(1907/東京国立近代美術館)を少し思わせる。*2 おなじくオスカル・ビュルクの『遭難信号』(1883/デンマーク国立美術館)も、戸外の災難の予兆を感じ取る女性の一瞬を切り取ったドラマティックなテーマで、とてもよい。また、ミケール・アンガの『スケーインの北の野原で花を摘む少女と子供たち』(1887/スケーイン美術館)の明るいタッチは、クロード・モネの作品を思わせる。

 第3章は、印象派の影響がデンマーク流室内絵画として徐々に咀嚼されていくさまを展示する。ティーオド・フィリプスンの『晩秋のデューアヘーヴェン森林公園』(1886/デンマーク国立美術館)は、コペンハーゲンを訪れたポール・ゴーギャンから印象派の手法を学んだというだけあって、とっても印象派である。ヴィゴ・ヨハンスンの『きよしこの夜』(1891/ヒアシュプロング・コレクション)*3は、室内の明かりを落としクリスマスツリーを輪になって囲む家族の団欒が描かれる。明暗の対比や場面の切り取り方はある種バロック的とも言える。

 第4章は、ハマスホイ作品38点を展示する。ここにきて鑑賞者はハマスホイの陰鬱とも言える風景画や、室内画が、ある意味これまでのデンマーク絵画の集大成なのだ、と感じることができる。
 もちろん、ハマスホイはかなり極端な作風で、風景画も室内画もとにかく彩度のある物品が置かれない。また、人物もいない。いたとしても、背中を向けているか、複数の人物が互いに目を合わせようとしない。キャプションはポジティブな感じに解説していたが、やはりかなり偏屈な人物であることは間違いなかろう。記憶で書くので少し違っているかもしれないが、「歴史ある邸宅の室内だったら人なんていない方が絵になる」というようなハマスホイ本人のコメントも展示されていた。偏屈である……
 作品としては、やはり代表作として挙げられる『背を向けた若い女性のいる室内』(1903~1904/ラナス美術館)が特によい(作中に描かれる金属のトレイとロイヤルコペンハーゲンの陶器の現物も一緒に展示されており、へえと思った)。風景画も『若いブナの森、フレズレクスヴェアク』(1904/デーヴィズ・コレクション)など、うそでしょと思うくらい生気のない森林で、それがかえって印象的である。

 ハマスホイという個性的な作家の多数の作品と、西洋絵画史の中では比較的マイナーなデンマークという国の近代絵画史を同時に楽しむことのできる展覧会で、面白かった。

『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ/2019)

 半地下の家で暮らす貧しい一家。ひょんなことから高台の豪邸に暮らす社長一家へ取り入ったことから、二つの家族の運命は思わぬ方向へ転がっていく――
 監督は『殺人の追憶』、『グエムル―漢江の怪物―』などで知られるポン・ジュノ。出演はポン・ジュノ作品でおなじみのソン・ガンホを始めとして、チェ・ウシク、パク・ソダム、チャン・ヘジン、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョンら。
 第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。

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 ※ネタバレしています。

 冒頭の無料WiFiを探して半地下をさまよい歩くしょっぱい場面から、内職で宅配ピザの箱を雑に量産して怒られる場面、立小便男をバケツの水で撃退するスローモーション場面、元家政婦のおばさんが急に地下室の戸棚を押し始める場面、社長さんリスペクトのモールス信号を頭でがんがん叩く場面、一家がテーブル下に潜んでいると急に社長夫婦がおっぱじめてしまう場面、長男が地下室へ家政婦夫妻を探しに行く時に急にホラーっぽくなる場面、そして余韻を残すラストまで、なにからなにまで素晴らしい。コメディ、サスペンス、ホラー、エロ、社会性が渾然一体となっており、ジャンルは脈絡もなく次から次へと切り替わっていく。どう考えても狙って作る話でなく、まさしく天才の所業としか言いようがない。カンヌ絶賛もむべなるかな。それ自体がポン・ジュノ監督の作風そのもので、『殺人の追憶』や『母なる証明』でパルム・ドールでも全然おかしくなかったわけだけれども。
 社長夫人は、いくら「お金持ちの方が素直」とエクスキューズがあっても、貧乏一家のもっともらしい発言を素直に受け止め過ぎで、しかるに、本作は韓国の特定の社会問題を取り上げているというよりは、一種の寓話なのであろうと理解している。
 前年に『万引き家族』がパルム・ドールを受賞していることから、アジア、貧困をテーマにした映画、という括りで語られることもあるが、個人的な『万引き家族』との共通点は、中盤辺りの、こんな幸せが続くわけないじゃん、と思わず目を瞑ってしまいそうになるところ(抑制の効いた『万引き家族』に対して、『パラサイト』の「幸せ」ははるかに調子に乗っていて、そこがまたいい味なのですけれども)。社長一家が総出でキャンプへ出かけているからといって豪邸のリビングでくつろいでいたら、そりゃ物語のセオリーとして社長一家が突然帰ってくるに決まってるじゃない……と思わせてからのあの展開で、本当に面白い。
 あと、あれね、元家政婦がぶっこんでくる朝鮮中央テレビのものまねネタ。たとえ本作が世界で絶賛されていたとしても、あの場面で爆笑できる特権をもっているの、韓国人と日本人だけなのでは。*1
 社長一家をキャンプから撤収させた大雨が、主人公一家には自宅水没という一層悲惨な事態をもたらす。そして一転の快晴の元、避難所生活の主人公一家と、息子へのサプライズパーティーにはしゃぐ社長一家の対比。物悲しい。「匂い」に関する回収――生死に関わる決定的な場面で、社長が「匂い」に嫌悪感を示し、主人公が逆上する――がいささかストレート過ぎるのが、強いていうと欠点といえば欠点かな。
 自分としては褒めるところしかないと思うので、逆に低評価するとしたらどういう意見になるだろうかと考える。「ジャンルがなんだかよく分からない」、「スカッとしない」、「リアリティーがない」とかになるのか。それらは本作の美点の裏返しなのだが、『パラサイト』のような映画を好むこと自体が一種のスノビズムであり、あのサプライズパーティーへ招かれたセレブの友人たちのような態度だったりするのだろうか、と少し悩んでしまった。

 

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『パラサイト 半地下の家族』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

『パラサイト 半地下の家族』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

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  • 出版社/メーカー: ムビチケ
  • メディア: Video Game
 

*1:と思ってたら、台湾でもネタになっているらしい。
【台湾】やっぱりマズかった? 北朝鮮アナウンサーのモノマネにテレビ局が公開謝罪 / モノマネ女子アナは降板に | ロケットニュース24
https://rocketnews24.com/2011/12/21/165626/

乃木坂46 25thシングル選抜メンバー予想

 2020/1/7(火)に公式サイトで乃木坂46の25thシングルが、2020/3/25(水)に発売されると告知された。
 ブログは時代のログなので、メンバー選抜に関して、自分の予想をメモしておく。

www.nogizaka46.com

情勢

 白石麻衣さんが卒業を発表した。
 勝手に自分の中で「乃木坂46二大Xデー」と呼んでいた内の一つが到来してしまった。ちなみに、もう一つは「バナナマンの乃木坂工事中卒業」である。橋本さんも生駒さんも西野さんも白石さんも卒業、あと生田さん、松村さん、高山さん辺りもいなくなってしまったら、さすがにバナナマンも出演終了を申し入れるのではなかろうか……
 それはともかく、卒業発表と25thシングル発売が同時に告知されたこと、および、卒業コンサートが示唆されていることから、25thのセンターは白石麻衣さんでほぼ間違いないだろう。
 センターが確定となると、次に検討するべきは4期生の処遇である。3期生の例(18th「逃げ水」でWセンター、19th「いつかできるから今日できる」は3期生単独活動、20th「シンクロニシティ」で福神)を踏襲するのであれば、24th「夜明けまで強がらなくてもいい」でトリプルセンターだった4期生は、25thは単独活動ということになる。もし、25thが2019年秋冬にリリースされていたのなら確かにそうだったかもしれないが、3期生における「いつかできるから今日できる」がスキップされたと考えると、むしろ25thで4期生は増員されるかもしれない。

実績

 まずは個別握手会の完売数から。完売表でおなじみのジーンさんのデータを参考に記述。

(1)24th個別握手会不参加メンバー

 秋元、生田、飛鳥、白石、高山、星野、松村(以上7名)

(2)24th個別握手会30部完売メンバー

 ※かっこ内数字は完売次。
 梅澤(2)、山下(2)、与田(2)、新内(3)、渡辺(4)、岩本(4)、賀喜(4)、遠藤(4)、掛橋(4)、筒井(4)、北野(5)、寺田(5)、鈴木(6)、佐藤(9)(以上14名)

(3)24th個別握手会30部完売に準ずるメンバー

 ※30部未満完売だが、これまでの推移からして仮に30部だったとしても完売と推定できるメンバー。
 堀、久保、田村(以上3名)

(4)卒業メンバー

 桜井(以上1名)*1

 基本的には上記の内、(1)の7名、(2)の14名、(3)の2名、計23名が選抜有力候補と言えるだろう。

予想

フォーメーションは5-7-9の21名で、

新内、渡辺、星野、田村、大園、掛橋、北野、山崎、高山
   松村、賀喜、梅澤、生田、与田、久保、秋元
       山下、堀、白石、飛鳥、遠藤
(桜井、筒井out、山崎、渡辺、掛橋、田村in)

 列順はあまり重視していません。
 以下、予想のポイント。

  • 秋元、生田、飛鳥、白石、高山、星野、松村、堀、新内、北野、梅澤、大園、久保、山下、与田の15名は事実上確定なので、21名選抜とした場合、残りは6枠。
  • もし4期生残留なら、遠藤さん、賀喜さんは極めて確度が高いでしょう。あとは田村さんと、もう一人となると、「乃木坂どこへ」で活躍している清宮さんも思い浮かんだけど、最近は割とシビアなので掛橋さんかな。
  • 山崎さんは歴史系番組の登板も多いし、そろそろ選抜でもよいのでは。
  • 最後の1枠は渡辺さんと岩本さんで悩んだ。ここでは渡辺さんを予想したけど、岩本さんも甲乙つけがたい。

【2020/2/2追記】

  答え合わせは下記です。

buridaikon.hatenablog.com

 

前回の24thシングルの選抜メンバー予想は下記です。

buridaikon.hatenablog.com

*1:井上小百合さんの卒業時期は舞台「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」の千秋楽である4/1以降であるようだ。従って、25th選抜の候補ではある。が、改めて本人コメントなどを読み返すに、選抜は辞退するのでないかと推測した。
「来年3月13日から4月1日まで上演する出演舞台「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(東京・シアタークリエ)までは乃木坂46として活動する予定。詳細な卒業時期は今後伝えるという。」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201910050001198.html