日本画の代表的な人物の一人、下村観山の展覧会。東京・皇居そばの国立近代美術館にて開催。観山の出身地である和歌山の県立近代美術館へも巡回予定。

本展は二部構成となっており、「第1部 画業をたどる――生涯と芸術」は学生から晩年までの各時代の代表作を通史的に取り上げる。「第2部 制作を紐解く――時代と社会」は観山が依頼主の様々な要請に応えて制作していたことを、作品を通して概説する。
下村観山、正直、名前くらいしか知らずどんな絵を描いてるとかも全然知識がなかったのだが、今回初めて真面目に見ると……まず、絵がうまい! チュルリョーニスのあとに見たからかもしれないけれども。それこそごりっごりの絵画アカデミー教育を受けているしな(藝大の前身である東京美術学校の一期生)。
しかし、卒業制作で描いたという『熊野勧花』(東京藝術大学)を見ても、いくら絵画アカデミー教育を受けたからといって、21歳でこれを描くか? 単純にデッサン力があるとかだけでなく、大画面に多人数を的確に配置し動かす構成力がある。

観山は二十代の頃にイギリスへ留学している。絵画の勉強に来ているので、当然、ロンドンのナショナル・ギャラリーは訪れているだろう。観山が訪れた1903年には『アルノルフィーニ夫妻像』(ヤン・ファン・エイク)、『愛の寓意』(ブロンズィーノ)、『シバの女王の船出』(クロード・ロラン)、『丘の麓の滝、村の近く』(ロイスダール)、『干し草車』(ジョン・コンスタブル)、『雨、蒸気、速度――グレート・ウェスタン鉄道』(ターナー)といった名作群がナショナル・ギャラリーへ既に収蔵されていた(ナショナル・ギャラリーは収蔵年で作品検索が可能)。イギリスでの詳細な動向までは解説がなかったけれど、観山もそういった名画を見ていたのだろうかと思いを巡らす。
本展では観山のイギリス留学時代の軌跡としてラファエロの模写や(もちろん、うまい)やウェストミンスター宮殿のスケッチなどが展示されている。


また、観山の「留学始末書」なども。ああ、この時代にも魔の「出張報告書」は存在していたのね……
観山は留学前の時点でも一定程度、西洋絵画の影響を受けているが、留学中に描いたとされる『ダイオゼニス』は、全体の構図やタッチは中国画風なのに、人物の顔面の描き込みは西洋絵画風で、独特の味がある。

第2部で示されるように、観山は富裕層からの依頼に基づいて絵画を制作することが多かったようだ。確かな技術に裏付けられながらも、画面が圧倒的に華やかで、当代で人気を博しただろうことも納得できる。画家としてゴッホやゴーギャンでなく、ルーベンスのようなタイプだったのだろうと思われる。
『小倉山』(横浜美術館)や『唐茄子畑』(東京国立近代美術館)といった屏風図の大作は、やはり大きな画面を活かした構成力と、ディテールの確かさ、それから全体としての華麗さがあり、自分のような日本画の素人にとってもよさが分かりやすい。


全体に、縦軸として観山の学生時代から遺作まで変遷を網羅し、横軸としてテーマ史的な要素も組み合わせ、質、量共に充実した展示だったと思う。途中、夫婦と思しき高齢の男女の客が「すごい量だね。一日じゃとても見切れないよ」と話していた。
写真撮影は個別に禁止の作品以外は原則自由だった。が、映り込みが強めのガラスだったので少々閉口した。まあ、設備更新するとなると結構なお金がかかるんでしょうけれどもね。
閉館間際だったが、コレクション展も駆け足で回った。「ハイライト」という一室があり、村上隆や奈良美智なんてあったのね。あと、本館は日本人作品のみ収蔵しているのかと勝手に思っていたけれど、アンリ・ルソー(『第22回アンデバンダン展に参加するよう芸術家を導く自由の女神』)とかロベール・ドローネー(『リズム 螺旋』)とかもあるのね。イヴ・タンギー『聾者の耳』が少し気になりました。シュルレアリスムですね。







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