コピティアム
ホテルはシンガポールMRT East West線のラベンダー駅近くにあるホテルボスというところ。普通の小奇麗なビジネスホテルで可もなく不可もなくという感じ。
ひとまず近所のセブンイレブンで「EZリンクカード」というシンガポールのSuicaみたいなカードを買う。ちなみに、ホテルを出た瞬間、デジタルカメラのレンズが曇ってしまい、シンガポールってめちゃくちゃ湿度が高いのねと思う。
朝ごはんは歩いて5分ちょっとのところ、団地の一階にある協勝隆というコピティアム。コピティアムというのはシンガポールの喫茶店みたいなところ。ヤクンカヤトーストというチェーン店が有名なんだけど、そちらは日本にも進出しており食べたことがあるので、今回はこちらのローカル店で。
コピという甘い珈琲と、カヤトーストという甘いジャムの入ったパンをいただく。
開放的な店構え。天井で回るファン。店先でうろうろしている客なのか店員なのか分からないおじさん(店員だった)。シンガポール、いいところじゃないか、と初めて思う。
ラベンダー駅へ。
そこはインド人街に近く、かつては腐臭漂う下町であった。その歴史を払拭しようというのか、一帯は清楚な花の名を冠してラベンダーと呼ばれていた。(『プライベートバンカー』)
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
ベイフロント駅到着。駅直結のマリーナベイ・サンズへは行かないが入口だけ覗き見。看板が英語、中国語、日本語の順に書かれており、建てられた頃(2011年)はまだ日本人が有力な観光客だったのだろうかと思う。
地下道を通って、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの入口へ。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイはマリーナ湾沿いに2012年に建設された植物園。スーパーツリーグローブという樹木型の巨大な塔が何本も立っており、近未来的な外観で知られている。
チケットは事前にウェブで予約、印刷済み。クラウドフォレスト、フラワードームへのシャトルサービスのチケットのみ受付で購入。3ドルなり。
クラウドフォレスト。
入るなり、植物のタワーと巨大な滝があり、おお、と思う。
ちなみに、足元のドラゴンみたいなのは、この時やっていた映画『アバター』フェアの置物。別にいらねーと思うが、世界観の方向性自体は似ているかもしれない。
エレベーターでタワーの上まで昇り、ぐるぐる降りながら見物するスタイル。
通路はかなり高いところにある。
JRPGみたいな世界だ。
続いて隣のフラワードーム。
こちらは涼しい気候の樹木や花が育てられている。
ふむ。
もう一つの目当てだった、OCBCスカイウェイというスーパーツリーの間を渡る橋は、悪天候のため閉鎖されていた。さして雨は降っていなかったのだが……しばらくしても開きそうにないので、諦めてあとにする。
欧米系の女性二人組に写真を撮ってと頼まれる。英語で「はいチーズ」ってなんて言うんだろうと悩んだ。
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、普段の定価は3,000円くらいだが、先述の別にいらない『アバター』フェアで強制的に5,500円くらいのチケットしかない状態だった。日本の植物園でこんな代金を取るところはないと思うが、しかし、『アバター』だので理由をこしらえて観光客からはこれくらいむしり取ってもいいのかもしれない。植物園のチケット代が5,000円超だったら国民から文句が出そうだが、シンガポール在住者には割引があり、その辺の値付けのやり方もうまいなと思う。
再びMRTベイフロント駅へ。シンガポールMRTは1980年代から計画的に建設されているためか、上下二層乗り換えがすっきりしたデザインになっている。
マクスウェル・フードセンター
マクスウェル駅。
立派なお寺と立派な団地。よい。
ホーカーセンター(シンガポールのフードコート)と高層ビル。よい。
ふおお、このホーカーセンター、めちゃくちゃいい雰囲気じゃないか! 入った瞬間に八角の匂いがぷんぷん漂う。
というわけで、昼ごはんはマクスウェル・フードセンターで事前に調べていた一家潮州魚粥・魚湯。地元民が行列を作っており、期待ができる。
店員のおばちゃんへ注文。ベースはスープのみとのことなので、ビーフンを追加。待っている間にセルフコーナーで調味料を調達。
昼どきで混雑していたので、インド系カップルがいたテーブルに断りを入れて相席させてもらう。
魚の切り身が入ったスープにビーフン入り、3.5ドル。あっさりしていて美味しい! よそった謎調味料はしょっぱくて発酵味があり、納豆みたいだ(『謎のアジア納豆』(高野秀行/2016)を読んだ影響で、納豆を調味料に使うというのが頭にあったからかもしれん)。スープに入れると味が締まる。
チャイナタウン
隣接エリアであるチャイナタウンへ。
日差しが出て非常に暑い。
ピープルズパークコンプレックス。
いなたい感じを期待して行ったが、実にいなたい。
外はこれまた大賑わいな中華系ホーカーセンターになっている。
向かいのチャイナタウンコンプレックスへ。
2階がホーカーセンターになっているのだが、ここ、薄暗くて、そしてめちゃくちゃ広いな!
ワンフロアで200くらい食堂があるのか。地図見ないと間違いなく迷う。
オールド・アモイ・チェンドルへ。チェンドルは緑色のゼリー。かき氷、小豆、グラメラカというパームシュガーのシロップをかけて食べることが多い。
写真は、トレイをテーブルに置く時に皿が滑ってやってしまった図です。気を付けましょう。
グラメラカに香ばしい風味があって、とても美味しい。
一度ホテルへ戻り休憩。
アラブストリート
夕方は歩いてアラブストリートへ。観光地然とした感じ。
このあとカトンというエリアへ行くのだけれども、MRTだと最寄り駅からかなり歩くことになるので、目的地に直結している路線バスに乗る。
目当ての番号のバスが来たら手を挙げて停める。前から乗ってEZリンクカードをタッチし、下車時もカードをタッチしてうしろから降りる。バス内では次のバス停のアナウンスも電光掲示もないので、GPSで位置情報をにらみながら目的のバス停に到着したことを自分で確認する必要あり。一見難易度が高いようだけれども、慣れるとなんなら日本のバスより便利に感じる。とにかく高頻度運行だし、Googleマップで的確にバス路線が経路検索できるからだ。
バスはたまに二階建てがあり、それも楽しい。
カトン
カトンへ。
こちらも観光地然としたところ。ジェラート屋があるのは観光地の証拠。
プラナカンハウスという華僑とマレー人の子孫が、かつて住んでいたカラフルな家。確かに素敵なのだが、建物の外観を眺めるだけなので、少し食い足りない。
晩ごはんは328カトンラクサというお店。
ラクサは日清カップヌードルの味になっているので日本でも知られているかもしれない。ココナッツミルクと魚介だしのスープでいただく麺。このお店は結構辛かった。
辛いものを食べたら甘いものが食べたくなってしまったので、Googleマップで調べて、パークウェイ・パレードというところからバスで福禄寿コンプレックスへ。
このバス、かなり混雑しており、立錐の余地もないほど。
シンガポールは日本より一人あたりGDPが高いという。もちろん、映画『クレイジー・リッチ!』(ジョン・M・チュウ/2018)のような超大金持ちシンガポール人もいるんだろうけれども、こうしてバスに乗っているような大多数の市民は他の先進国の庶民とさして変わらない生活を送っているのでないか。
フォーチュンセンター
フォーチュンセンターにある一家人というデザート屋。
ドリアンチェンドルを注文。
ドリアンはペースト状になって上にかかっている。ドリアンを初めて食べた。加工しているせいか、道端で売っている時のような強烈なにおいはもうない。味は、独特のコクがあって、嫌いではないが、他にたとえようがない……チェンドル自体も美味しい気がするのだが、ドリアンが入ると全部ドリアン味になってしまうな。
ちなみに、このお店、かなりの行列だったのだけれども、店の親父の捌きがよく、並んでいる間にメニューを渡され、座るべきテーブル番号も教えてもらえ、注文するやいなや配膳されるので、全然ストレスがない。テーブル番号が雀牌で示されているのも好感度高し。
このフォーチュンセンター、外側は地味だが、中は大層賑わっており、全然見た目では分からんなと思った。
シンガポールは南国の大都会で、そういう意味で台北とかと少し似ているところがあるけれど、決定的に違うのは多民族国家であることだ。中華系が最も多いが、インド系も多いし、旅行客でない在住者と思われる欧米系もちょくちょく見る。