ぶりだいこんブログ

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『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(ジェームズ・キャメロン/2022)

 2009年に公開され、当時の世界興行収入歴代一位を記録した映画『アバター』の続編。
 前作にて、地球人から惑星パンドラの住人となったジェイク。彼はナヴィ族のネイティリと結婚し、三人の子を儲けていた。一方、パンドラの支配を企てる地球人たちが、その妨げとなるジェイクを狙っていると知り、一家は故郷の森を離れ、海の民が暮らす集落へと移住する。しかし、そこにも地球人の魔の手が延びるのだった――
 監督は『ターミネーター2』(1991)、『タイタニック』(1997)で知られ、前作『アバター』でも監督、脚本、制作を務めたジェームズ・キャメロン
 現時点で最も視聴環境がよいと言われるドルビーシネマ3Dにて鑑賞。前作は未見。

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 3Dの映像美が売りの本作だが、確かにすごい(まず、本編開始前の20世紀スタジオのロゴが3Dなことに驚いたけど、そこはどうでもいいですね)。
 かつての3D映画のように物がこちらに向かって飛んでくるような素朴なびっくり表現はもはやなく、映像の「奥行き」を表現するために3Dが奉仕する格好で、技法としての成熟を感じる。3Dというだけでなく、ドルビーシネマのためか、画面全体が驚くほど高精細。今後、映像美を追求する映画やゲームはこういう方向へ進化していくのだろうか。それとも、フォロワーを生まない孤高の系統になるのか……(山が空に浮いているような世界観も相まって、「10年後の〈ファイナルファンタジー〉もこうなるかな……」などと思いながら観ていた)
 また、タイトルから示唆される通り、海中描写はキャメロン監督が今回特にやりたかったことと思われ、ジェイク一家が初めて海の中へ飛び込む場面は、あまりに美麗で「はえー」と口に出しそうになってしまった。
 あと、本作では、実写の地球人が、CGで描かれた惑星パンドラやナヴィ族と一緒に映るのだが、そこもまったく違和感がなくて、素直に驚嘆した。CGの質感なども相当調整していると思われる。

 次にお話について。
 前作未見だが、それほど困ることはなかった。観たあとに知ったのは、クオリッチ大佐とスパイダーが親子ということくらいかな。

ネタバレしています。

 ストーリーの出来はあまりよくない、となんとなく見聞きしていたのであまり期待せずにいたところ、「自然と調和して暮らしていた部族のところへ、機械文明の帝国が攻めてきたので、ゲリラ戦で抵抗していく」という始まりで、さっきも言及した「ファイナルファンタジー」を思わせるというか、JRPGみたいで俺は別に嫌いじゃないよ……と思っていたけれども、後半はうーん。
 ジェイクの子供たちが捕まる、逃げ出す、でも誰かが逃げ遅れてまた捕まる、逃げないで助けに行かなきゃ、そしてまた捕まる、の繰り返しで、「お前らいい加減にしろよ」と思う。子供が(プロット上の)足手まどいになる映画って自分は好きじゃないし、きっと少なからぬ人が好きじゃなかっただろうで、ここ10年くらいはまったく見かけなかったけど、本作で久しぶりに遭遇し、舌を噛みながら鑑賞する羽目となった。
 戦闘シーンは迫力があって結構楽しく観られたのだけれども(たくさん爆発するし)、その間のドラマパートが退屈というか。いや、話の進展はあるんですが、ジェイクの息子ロアクが村の子供に嫌がらせされるくだりとか、疎開ものっていうんですかね。これまたここ10年くらいまったく見かけなかった、つまり、もはやすたれた話運びだと思っていたんだよ。いやはや。
 まあ、ストーリーが複雑だとせっかくの映像美に集中できなくなるわけで、敢えて紋切り型にしたといえば理解できなくもないが、それにしても、うーんである。

 というわけで、語り口は前時代的ながら、映像は超最先端で、総合的には観てよかったです。