ぶりだいこんブログ

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「メトロポリタン美術館展」(国立新美術館/2022)

 ニューヨークにあるメトロポリタン美術館所蔵の西洋絵画65点を公開する特別展。まず大阪市立美術館で開催され、続いて東京・国立新美術館への巡回となる。

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 ルネサンスからポスト印象派までをカバー。時代のバランスや、最後をゴッホ(とゴーギャン)で締める構成は2020年の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に近く、しかし、メトロポリタン美術館ならではの歴史性のようなものは簡素、という印象をもった。
 以下、気になった作品を個別に。

  • 『狩りの場面』(ピエロ・ディ・コジモ/1494~1500頃)。「あ、これは現地で見た……!」と思いました。写真にも撮っていたので載せておきますね(現地メトロポリタン美術館は写真撮影可)。国立新美術館でも結構人が集まっていました。変わった絵ですもんね。

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  • 『女占い師』(ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール/1630年代)。本展のキービジュアルになっている作品です。ラ・トゥールはよい……極めて端正なタッチと、輪になって若者から金品をくすねようとしているシチュエーション、のギャップがよいです。ちなみに、メトロポリタン美術館はおなじラ・トゥールの『悔い改めるマグダラのマリア』という作品も所蔵しているはずですが、さすがにそちらは出展されていません。
  • 『足の不自由な男をいやす聖ペテロと聖ヨハネ』(ニコラ・プッサン/1655)。いかにもプッサンという感じの構図で、とてもよいです。あと、絵がうまい!(当たり前)
  • 『日の出』(クロード・ロラン/1646~1647頃)。クロード・ロランは港町+日の出というイメージですが、こちらは丘陵+日の出で、なんというか、こう、味わい深いです。
  • 『三等客車』(オノレ・ドーミエ/1862~1864頃)。ドーミエの代表作の一つ『三等客車』が出展されていると知りちょっとびっくりしました。貸し出してくれるものなんですね。写真では見たことがありましたが、間近で見ると「輪郭線とか服の皺の線をはっきり描いてるんだな~」など学びがあります。通りがかった高齢の男女連れが「汚い絵だね、見たくないよ」と吐き捨てるように去っていき、まあ、人の好みはそれぞれなのですが……
  • 『ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋』アルフレッド・シスレー/1872)。シスレーいいですよね。明るくて穏やかな感じで。おなじ印象派でもルノアールとかモネとかに比べると知名度が劣るのか、立ち止まる人が少なくて寂しい……(その代わり気兼ねなく鑑賞できるのでよしとするか!)
  • 『花咲く果樹園』フィンセント・ファン・ゴッホ/1888)。これ、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」とおなじ感想になってしまうのですが、西洋絵画史をルネサンスから順に辿った末に行き着くと、ゴッホってすごく躍動的に感じるのですよね。

 上記以外にもフラ・アンジェリコラファエロ・サンツィオ、ベラスケス、ムリーリョ、カラヴァッジョ、フェルメール、ヴァトー、ブーシェターナーといった西洋絵画史ど真ん中の作家の彼ららしい作品が出展されています。前述の通りかつての「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」と類似の構成ですが、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」がイギリス史と絡めてのストーリーがあったのに対し、本展は比較的ストレートに西洋絵画史自体を押し出しているのが特徴的だと感じました。ルネサンスからポスト印象派の西洋絵画史とアメリカ史は関連付けが難しいのと、そもそもメトロポリタン美術館の膨大な所蔵品の中で敢えて19世紀以前のヨーロッパ絵画のみを出展している今回のセレクトにポイントがありそうです。

 新型コロナウイルス対策の一環で乃木坂駅から新美術館への直通路に検温ゲートがあり、体温を測定してから入館する形。地下鉄で検問というと中国みたい。
 また、昨今の特別展はだいたいどこもそうですけれども、事前に日時指定のチケットを予約する必要があります。指定時間よりも早めに到着してしまい、まあ、平日の昼間だし入れてもらえたりするかなーと思っていたところ、予約時間ごとに列形成する運用となっており、指定時間外で入場とかそういう雰囲気ではありませんでした。場内もまずまずの混雑具合でした。

 

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