ぶりだいこんブログ

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『新感染半島 ファイナル・ステージ』(ヨン・サンホ/2020)

 韓国発のゾンビ映画として高い評価を得た『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)の続編。前作にてゾンビ感染が急拡大し、韓国は壊滅した。辛くも香港へ逃れた軍人ジョンソクは、遺棄された二千万ドル紙幣をマフィアの指示で回収するため半島へと舞い戻る。しかし、祖国には大量のゾンビと、人狩りを楽しむ武装集団が待ち受けていたのだった――
 主演はカン・ドンウォン。他イ・ジョンヒョン、ク・ギョファンらが出演。監督は前作に引き続きヨン・サンホが務める。

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 ※ネタバレしています。

 まず冒頭の、軍関係者が韓国から船で脱出と思いきや船内でゾンビ発生、姉と甥を助けられず号泣する主人公、こってりした韓国映画味+ゾンビ映画味で期待が膨らむ。
 韓国民が日本への避難を拒否され、香港での難民申請も通らないというくだりは、国土を失った日本人が諸外国へ受け入れられるのかを描いた『日本沈没』的要素(および、韓国民の国際的なプレゼンスに関するほのかな恐怖心)とも捉えられる。
 少なからぬ人が言及しているけれど、後半、脱出を試みる主人公たちを武装集団が追いかける場面、トラックの連なりや、タイヤに仕込んだ武器で攻撃する点など、明らかに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ジョージ・ミラー/2015)を意識している(前作製作中に既に公開されていたと思うので、なんでまたこのタイミングで? と思わなくもない)。また、ショッピングセンターを改造したコロシアムで、武装集団が捕虜たちとゾンビを戦わせる場面は、『ニューヨーク1997』(ジョン・カーペンター/1981)っぽくもある(類例多数あろうが)。
 前作は、日常風景から急速に恐怖が広がっていくさま、高速鉄道内でのバトルをいろいろな切り口で見せるアイデア、パニックに際した人々の韓国風味濃厚な模様、などが要領よく描かれていて、完成度の高い傑作だっただけに、今作は前述の通りやや既視感のあるシチュエーションや、あと美術がセット感が丸見えでちょっとどうしちゃったんだろう、予算なくなっちゃったのかなと思ってしまったけれど、いくぶん評価は下がってしまう。
 とはいえ、主人公の挫折と回復などはきちんと描かれ、また、伏線と回収の手際もよいので、間違いなく楽しめる作品である。
 前作は、首都ソウルから唯一の安全圏と言われる釜山へ逃れる、という筋書きだった。となると、本作の上陸地点は仁川以外あり得ないと思って観ていたけれど、案の定仁川であった。となると、もし第三作があるなら、だが、いくつか案は考えられる。一つは中国の参戦というものだが、これをやると三部作で終わらなくなってしまう(笑)。従って、素直にソウル解放がメインストーリーになるだろう。その時は、釜山へ逃れた前作の主人公たちと、本作のジョンソクらの共同戦線になるかもしれない。