ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『リメンバー・ミー』(リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ/2017)

 ピクサーによる長編アニメーション映画第19弾。ミュージシャンを志す少年ミゲルは家族から音楽に関わることを禁じられている。ミゲルはひょんなことから死者の国へ迷い込んでしまい、抜け出すために冒険を繰り広げる――監督は『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチと、共同でエイドリアン・モリーナ。

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 映画館で本作の予告編を初めて観た時、これ、死者の日がモチーフなんじゃん、と思った。死者の日はメキシコで死者が帰ってくると言われている日。毎年11月2日がそれにあたり、街を骸骨で装飾するのが特徴的である。以前、メキシコを訪れた際、たまたま日程が死者の日を挟んでおり、現地の人にとうもろこしのちまきタマレスととうもろこしの温かい飲み物アマレを振る舞ってもらったことがある。写真は、死者の日に関連するお祭りで、骸骨がダンスを踊っているところだ。

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 で、メキシコをモチーフにしているんだなあと思って、懐かしく思い、観に行くことにしたのだけど、本編を観ると、モチーフどころでなく、舞台はメキシコで登場人物も全員メキシコ人、みんな"Hola!"と挨拶をするなど、ガチメキシコの映画だったのだ。トランプ大統領のメキシコの壁が関係あるのかは分からないけれど、メキシコを舞台にすることがピクサー内部で検討され、そしてGOが出たんだなとしみじみ感じる。
 ストーリー展開は若干強引というか、各キャラクターの思考がちょっと飲み込みづらいところがあると個人的には感じた。音楽をやるために家出した家族がいたから一家で音楽を禁じるとか、制約なしで生き返るためにスターに会いに行くとか。「死者の日」というメキシコならではの魅力的なイベントを活かそうとし過ぎたのだろうか。
 表題曲「リメンバー・ミー」は、さすがに殺しに来てる楽曲だと感じた。劇中ラストの歌唱は観客の涙をもぎ取りに来てるというか、これ泣かないの無理でしょと思う。日本語版もよかった。

同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』

リメンバー・ミー』の前に『アナと雪の女王』のショートストーリーが描かれる。今となってはスーパースターのアナとエルサで、登場して歌を歌うだけで高揚感がもたらされる。松たか子さんと神田沙也加さんは相変わらず歌うまい。結構この短編だけで満足できてしまうところはある。
 あとは、なんていうんだろう、ディズニーアニメ独特の呼吸というか、登場人物の掛け合い、冗談じみた動きの数々が、実にディズニーだなあとしみじみ感じ入った。職人芸である。
 ちなみに、『家族の思い出』がクリスマスをテーマにしており、『リメンバー・ミー』が11月の死者の日をテーマにしているので、これ、本来は10月頃に公開されるつもりの映画だったんじゃないかなあと思った。実際、メキシコでは10月に公開されたようだ*1。 

リメンバー・ミー(エンドソング)

リメンバー・ミー(エンドソング)