ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『天使にラブ・ソングを…』と「ガールズルール」

 Amazonプライムビデオのレンタルで、『天使にラブ・ソングを…』(エミール・アルドリーノ/1992)を初めて観た。既に古典といってもいいだろう作品なので、詳細は割愛。感じたことを二点ほど書き留めておく。

天使にラブ・ソングを… [Blu-ray]

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  • 発売日: 2012/12/05
  • メディア: Blu-ray
 

 一つ目は、観る前は、ウーピー・ゴールドバーグ演じる主人公デロリスが、破天荒なキャラクターでもって修道院を変えていく話、と勝手に思い込んでいた。が、修道女たちとの関りによってデロリス自身も変わっていく話、でもあった。従前のデロリスは場末のカジノ付き歌手とはいえなにか決定的な不全があったわけではないのだけれども、修道院でそのスキルやキャラクターを求められることにより居場所を見出し、それがまた修道院へもポジティブな影響を与えていく。異質な集団へ飛び込んだ風来坊が集団を変えていき、自分自身も変わっていく、という物語は古典中の古典で、劇中でも言及がある『サウンド・オブ・ミュージック』も類例だ。

 二つ目は、女性アイドルグループ乃木坂46のシングル「ガールズルール」(2013)のミュージックビデオを監督した柳沢翔が、本作に言及していたのを思い出した。

――ほかにもボツ案がありましたよね? 確か修道院を舞台にした……。
柳沢 そうそう! 西野さん、『天使にラブ・ソングを…』(1993年公開)という映画は知ってます?
西野 観たことないですね。
柳沢 (中略)その作品をモチーフに、赤いライダースに水色のドレスを着たダンサー役の白石さんが修道院で乃木坂のメンバーと出会って。みんな上品なんだけど、厳しい規律に縛られて生きる気力が無い。白石さんがダンスを教えることで、修道院のメンバーが自由に目覚めて自分達の中で革命を起こすみたいなストーリーを考えたこともありました。
「MdN EXTRA Vol.3 乃木坂46映像の世界」 映像監督×乃木坂46メンバー対談 柳沢翔×西野七瀬 より

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 引用の通りで直接的なモチーフとはしなかったようだが、改めて観ると、それでも「ガールズルール」は十分『天使にラブ・ソングを…』だよ! と思った。特に、『天使にラブ・ソングを…』の終盤、カジノ内でヴィンスたちに追われるデロリスを、シスターたちが助けるのをコミカルに描くあたりのテイストは、そのまま「ガールズルール」MV終盤のプールサイドでクラスメートたちが助けに来る場面のテイストに引き継がれていると思う(もっと言うと、おなじく柳沢翔がMV監督を務めた乃木坂46の「シャキイズム」と「サヨナラの意味」も、ある一人の人物が立ち上がるとで旧弊を打破する、という点ではおなじ話だと思う。ヤナショーはこういうストーリーテリングが好きなのですね……)。

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 もう一点メモ。アバンタイトルで、子供時代のデロリスが授業でシスターから使徒の名前を挙げよと言われ、「ジョン、ポール、ジョージ……リンゴ」と答える場面がある。これ、ポップスのことをなにも知らない人が注釈なしで観たらなんのことか分からないですね……そんな人いないか。それはそれとして、シスターは「リンゴ」の名が挙がったところで怒り出す。キリスト教に疎いのだが、タイミングからするとジョージまでは使徒の名前と被っているのだろうか? ジョン(ヨハネ)、ポール(パウロ)はいいとして、ジョージ(ゲオルギス)は使徒にいないよなあ……?