ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『マンハント』(ジョン・ウー/2017)

 西村寿行原作映画『君よ憤怒の河を渉れ』を、アクション映画界の巨匠ジョン・ウー監督がリメイクした作品。日本・大阪を舞台に、無実の罪を着せられ、逃亡しながら真犯人を探す中国人弁護士と、それを追う日本人刑事を描く。主演の逃亡者を演じるのは『戦場のレクイエム』の張涵予(チャン・ハンユー)。日本人刑事役は福山雅治。他、國村隼桜庭ななみ池内博之ら日本人キャストの他、戚薇(チー・ウェイ)、ハ・ジウォン中韓キャストも出演。

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※ネタバレしてます。

 西村寿行原作をジョン・ウーが映画化するなんて絶対面白いじゃん! これは観に行かなければ! と劇場へ足を運んだんですけれども、これ、「無実の罪を着せられて逃亡する」以外、『君よ憤怒の河を渉れ』とまったく関係ないのでは……(これが原作というなら『逃亡者』も原作だ)
 まずね、冒頭の、港町の居酒屋のくだり、演歌が流れ出して、ああ、ジョン・ウーっぽい……で、これ、昔の日本が舞台なのかなと思っていたら、突然スマホが出てきて、あ、これ、現代日本だったんですねという……そして、居酒屋のママと女性店員が突然二丁拳銃でヤクザを撃ち殺し始めて、ああ、最初からぎっとぎとにジョン・ウーだ……
 大阪に舞台が移って、あべのハルカスの最上階でパーティーやってて、なんだろう、画面に映るのはみんな日本人で、舞台も日本なのに、立ち振る舞いから言動から服装からなにからなにまで絶妙に日本っぽくない(もっとはっきりいうと、日本が舞台で日本人が演じてても、これはやっぱり「中国」なんですよね)。でも、それがかえって新鮮で個人的には楽しい。大阪といえば、大阪城とか中之島の中央公会堂とかフェスティバルタワーとかをなかなかかっこよく映してくれていて、すごく嬉しいなと思いました。あと、うめきた広場のミストがちゃんとアクションに絡んでてすごい! うめきた広場愛好家は感動するのでは。
 さて、福山雅治が登場するんですけれども、誘拐犯に人質された子供を助ける、というキャラクター説明エピソードが非常にチープなんですが(笑)、誘拐犯役で登場する斎藤工が存在感を出している。なんなら矢村役もありだったというくらい。
 福山雅治と張涵予がくんずほぐれつで車を走らせる内に、なぜだか鳩小屋に突っ込むんですけれども(笑)、白い鳩がわーっと飛び立って、鳩を話に絡めるのにこの手があったか! と膝を打ちました。鳩はね、飛ぶだけじゃなくて、ちゃんとアクションにも絡むんです(ちゃんと?)。
 いや、もう他にも堂島川での逃亡犯と警察と殺し屋の三つ巴のはちゃめちゃさとか、え、ここで日本のお祭り!? とか(なんだろ、全体的に中国人の訪日観光客を意識しているのかなとちょっと思いました。違うかもしれませんが)、馬!? とか、いい場面はたくさんある。ジョン・ウーの娘さんが結婚式場へ二丁拳銃で乗り込んでくる場面もかっこいいし、手錠でつながれた福山雅治と張涵予の二丁拳銃もちょっと意味分かんないけどかっこいいし、手錠でつながれたまま福山雅治が日本刀で殺陣をするのもかっこいいし(ここで挙げた場面は当然全部スローモーションでめちゃかっこいい感じになってます)。
 警察内部の描写とか、秘密の地下研究所で人体実験とか、一般的な意味でのリアリティーは皆無なんだけど、ジョン・ウーが大阪の中心部でド派手なアクションをやってくれるの、やっぱりすごく嬉しい。『男たちの挽歌』みたいなセンチメンタルな感じはないのでそういうのが好きな人はがっかりかもだけど、でも、ジョン・ウーももうおじいちゃんだから、楽しいことしかやりたくないよね……戚薇さんとハ・ジウォンさんはすごい美人。福山雅治もスタントを使わずに体を張ったアクションをしていてよかったよ。