ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『リラックマとカオルさん』(2019/小林雅仁)

 リラックマにはさほど関心をもっていなかった。キャラクターものだと、強いていえば「カナヘイの小動物」派だった。しかし、Netflixオリジナルアニメ『リラックマとカオルさん』を観て以来、転んでしまいそうだ、リラックマに。リラックマとカオルさん』は全13話のストップモーションアニメだ。リラックマでストーリーアニメなんて作れるの? という向きもあろうが、お話を転がしているのはタイトルにも登場するもう一人の主人公、カオルさんである。
 カオルさんは、キャラクターグッズ上の設定はリラックマの居候先の家主というだけで姿を現さないのだが、今回、ストーリーアニメ化するにあたりキャラクターとして大幅に肉付けされている。鮫島物産という企業に勤めるアラサーのOLで、彼氏募集中。そのカオルさんが、友達と花見に行こうとするも裏切られたり、実家の母親から東京でつまらない仕事してないで帰ってこいと電話されたり、占い師から変な腕輪を買わされたり、とほほな、しかし、なかなか味わいのある生活が描かれる。
 この生活感を裏付けるのが、カオルさんのファッション(可愛すぎず地味過ぎずのまさにアラサーOLなファッション!)、ビンテージ風のインテリア、それから料理風景と食事風景なのである。雑然とおしゃれの絶妙なバランスが、視聴者を物語の世界へよく引き込む。

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Netflixリラックマとカオルさん』第1話より

 ディテールといえば、カオルさんが職場でOffice2016(的ななにか)を使用しているの、細かい。

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Netflixリラックマとカオルさん』第6話より

 カオルさんの声優は多部未華子である。始めは少し違和感を覚えていたが、観続けるとはまる。人形のカオルさんにちゃんと命が吹き込まれている。しかし、多部ちゃんってもう30歳なの。JR大船駅のCM、12年前か……そりゃ多部ちゃんもビールの宣伝するわけだ……

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 それにしても、カオルさん、素敵な男性との出会いが……と口にはするもの、リラックマたちとの暮らしで寂しさが紛れてしまっており、完全に結婚できない女まっしぐらである(こういった元々のキャラクターグッズにない脚色を好まないコアなリラックマファンもいるようだが)。

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Netflixリラックマとカオルさん』第4話より

 カオルさんのキャラクターとも共にこの作品の魅力の両輪をなすのはリラックマたちの可愛さだろう。
 リラックマの初登場場面である。

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Netflixリラックマとカオルさん』第1話より

 おしりの辺りの微妙なたわみ、朝の陽光、そして、このずんぐりむっくりした図体が寝息で上下しているのである……! リラックマのお披露目として完璧ではないか!
 リラックマは原作のイラストに比べるといくぶん「おじさん」っぽくなっている。でかいし、声も低い(クマだからかもしれないけど)。そのおじさんっぽいリラックマが、ホットケーキを焼いては焦がしてしまい、だらだら寝過ごしてからだからきのこを生やす。また、どんなアルバイトをしても役に立たず、立て続けにクビになってしまい、自分の不甲斐なさにいら立つ場面があって、おじさんの自分はなんだか胸に迫るものを覚えてしまうのである(リラックマはだめでも可愛いからいいけど、おじさんはだめなだけなので終わってますね……)。
 コリラックマキイロイトリも可愛い。特に、キイロイトリが清掃のアルバイトで評価されて、給料袋をカオルさんに渡す下りは、可愛さと面白さでふふっとなってしまう。アバンタイトルの小芝居も大好き。

 Netflixは先行してサンリオ原作のアニメ『アグレッシブ烈子』を制作しており、こちらも可愛らしいキャラクターと女性社会人の生きづらさをミックスして、コミカルに描いた作品だった。モラトリアム感をより先鋭化させた『リラックマとカオルさん』は、むしろ他のアメリカ制作のNetflixオリジナルドラマ、例えば、『マスター・オブ・ゼロ』とかに近いかもしれない。

 とにかくリラックマたちが可愛いし、いろいろな観方ができる作品だし、人気も高いと思われ、全13話を観終わってしまった今、早くもシーズン2を待ち遠しく思っている。

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乃木坂46 23rd選抜メンバー予想の答え合わせ

 2019/4/14(日)の「乃木坂工事中」で乃木坂46の23rdシングル選抜メンバーが発表された。
 自分の事前の予想は以下の通りである。

予想

 秋元、生田、桜井、白石、高山、松村、北野、久保、山下、与田、大園、星野、堀、新内、梅澤、飛鳥、井上、渡辺、山崎、阪口、鈴木の21名(北野、久保、渡辺、山崎、阪口、鈴木in、理々杏、佐藤、西野、若月、衛藤、優里out)。センターは山下。

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 実際の選抜メンバーは以下の通り。

実際の選抜メンバー

 秋元、生田、桜井、白石、高山、松村、北野、久保、与田、大園、星野、堀、新内、理々杏、佐藤、梅澤、飛鳥、井上、岩本、渡辺、阪口、鈴木の22名(北野、久保、岩本、渡辺、阪口、鈴木in、西野、若月、衛藤、優里、山下out)。センターは飛鳥。

 差分は、山下さんの休養、理々杏さん、佐藤さんの維持、岩本さんの昇格、山崎さんの昇格なし、およびセンターです。
 以下、雑感。

  • 北野さん、久保さんの選抜復帰、阪口さんの昇格は織り込み済みでしたね。渡辺さんは初選抜でよかったです。山崎さんはアンダーセンターかな。
  • 3期生をここに来ての大量投入。代わりといってはなんだが、アンダーはなんと最小の10名。選抜アンダー比は、1期生で9名/3名、2期生で5名/4名、3期生で8名/3名になります。
  • 寺田さん、「乃木坂工事中」の沖縄ロケでもとても可愛いと思うのだけど、最近ちょっとおとなしいのよね……
  • 高山さんと堀さんのシンメは少し気にかかる。単純に『トラペジウム』の論功ならよいのだけど……

乃木坂46 23rdシングル選抜メンバー予想

 2019/3/31(日)にインテックス大阪で催された「22ndシングル全国握手会」で、乃木坂46の23rdシングルが、2019/5/29(水)に発売されると告知された。
 乃木坂46は2013年以来シングルを毎年春、夏、秋の計3回発売するのが通例だった。2019年は4月にアルバムを発売するため春シングルはスキップするかと思われていたが、やはりリリースすることになったようだ。しかし、5月に春シングルを発売すると、今度は夏シングルがいつになるのか。夏シングルは夏のツアーのリード曲になるものだけれど……
 発売日についての個人的な心情はどうでもよいので、メンバー選抜に関して自分の予想をメモしておこうと思う。

 情勢

 西野七瀬さん、若月佑美さん、衛藤美彩さん、斉藤優里さんが卒業することで選抜4枠が空いたためこの席に誰が座るかが、焦点、だろう。巷では北野日奈子さん、久保史緒里さんの2名が鉄板という評だが。
 一つ考慮するべきなのは選抜とアンダーの人数比である。22ndで川後、西野、能條、若月、衛藤、かりん、優里が卒業したため、現時点で選抜17名、アンダー16名となっている。単純にアンダーから選抜へ4名が昇格すると、選抜21名、アンダー12名といささかバランスが悪い(慣例上、4期生はまだアンダーへ合流しないと推測される)。従って、アンダーの人数を維持するため、選抜17名体制もあり得るかもしれない。ただ、17th「インフルエンサー」の際も選抜21名、アンダー12名体制だったので、アンダーの人数はさほど考慮されないのが実態ではあろう。

 実績

 まずは個別握手会の完売数から。完売表でおなじみのジーンさんのデータを参考に記述。

(1)22nd個別握手会不参加メンバー

 秋元、生田、桜井、白石、高山、松村、北野(以上7名)

(2)22nd個別握手会30部完売メンバー

 ※かっこ内数字は完売次。
 久保(2)、山下(2)、与田(2)、大園(3)、星野(3)、堀(3)、新内(3)、理々杏(4)、佐藤(4)、樋口(4)、渡辺(5)、山崎(6)、阪口(7)、中田(11)(以上14名)

(3)22nd個別握手会30部完売に準ずるメンバー

 ※30部未満完売だが、これまでの推移からして仮に30部だったとしても完売と推測されるメンバー。
 梅澤、飛鳥、井上、鈴木、寺田(以上5名)

(4)卒業メンバー

 かりん、衛藤、川後、優里、西野、能條、若月(以上7名)

 

 次に大きな案件を(継続除く)。

映画『ホットギミック』主演……堀
ドラマ『神酒クリニックで乾杯を』出演……山下
舞台『逆転裁判―逆転のGOLD MEDAL―』出演……中村
舞台『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』出演……井上
コントライブユニコーン』出演……和田
舞台『+GOLD FISH』出演……樋口
舞台『Girls Revue』出演……樋口、純奈、鈴木
舞台『ザンビ~Theater's end~』出演……理々杏、岩本、阪口
ラジオ「のぎぼき」レギュラー……梅澤
小説『トラペジウム』発売……高山
写真集『存在』発売……井上
写真集『空気の色』発売……北野
写真集『インターミッション』発売……生田
写真集『独白』発売……高山

 基本的には上記の内、(1)の7名、(2)の15名、(3)の5名、計27名が選抜有力候補と言えるだろう。

予想

 秋元、生田、桜井、白石、高山、松村、北野、久保、山下、与田、大園、星野、堀、新内、梅澤、飛鳥、井上、渡辺、山崎、阪口、鈴木の21名(北野、久保、渡辺、山崎、阪口、鈴木in、理々杏、佐藤、西野、若月、衛藤、優里out)。センターは山下。

 以下、予想のポイント。

  • 2018年12月に催された「アンダーライブ関東シリーズ」では「北野さんの復活」がメインテーマだった。となると23rdでの選抜復帰は必至だろう。
  • 久保さんに関しても指標上は福神クラスで、ここのところの慣らし運転も問題なさそうなので、選抜復帰か。
  • あと4名というところで、個人的には2期生未選抜で実績を上げている渡辺さん、山崎さんの両名を推したい。3期生新規枠は間違いなく阪口さんだろう。あと1名は上述の予想で鈴木さんとしたが、樋口さん、寺田さん、中田さんも甲乙つけがたい。勢いを買うのであれば向井さんも。
  • センターは前回も推していた山下さん。次点で堀さん。山下さんはガッツがあり、素養もあり、かつ上からも評価されているという状況で、仮に今回選ばれなくてもセンター抜擢は時間の問題と思われる。堀さんについては『ホットギミック』の公開日も近いので。
 【2019/4/14追記】

 答え合わせは下記です。

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 前回の22ndシングルの選抜メンバー予想は下記です。

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『ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ』(三枝匡/2016)

 ファクトリーオートメーション、金型部品の国内専門商社だったミスミがグローバル企業へと転身していくさまを、実際に指揮を執った経営者の視点で描いた書籍。
 著者の三枝匡外資コンサルタント、事業再生請負を経て、2002から2014年までの12年間、ミスミグループ本社の社長を務めた。

 企業の社長という人が事業を変革をしようとした時、どういうところに着目し、どのように社内の人間に働きかけるか、が実例で記述されており、その点で興味深い。
 三枝が創業者である田口弘から乞われてミスミの社長に就任した際、ミスミは機械部品をカタログ販売するというビジネスモデルで十分に収益を上げていた。その中で三枝は「ミスミのビジネスモデルを海外展開する」、「商社専業だったところへ生産ノウハウ吸収のため製造業を買収する」、「カスタマーセンターを集約する」といった施策を実行する。これらを実施に至った現状分析と判断の根拠はコンサルタント出身だけあって分かりやすい。
 また、施策を実行する際、後継者育成のためにこれと見込んだ部下へ推進を託すのだが、直接答えを与えず部下に徹底的に考えさせるというやり方や、社長しかできない「期日の変更」を決断するタイミングなどはやはり面白く読んだ。
 一方、改革の本当にコアなところは記述してくれないので、少し隔靴搔痒の感もある。例えば、活動基準原価計算を独自にシステム化する際、「「精緻さと簡便さのバランス」「サボりを入れる」ことを重視した」とあるが、具体的な記述はない(企業秘密だから書けないのかもしれないし、著者からすると、経営者としてのジャッジが本書の主旨だから改革実務の中身そのものの記述は不要、ということなのかもしれない)。

 ところで、恐らく本書を読んだ誰もが感じるのは、著者の強烈な自己顕示欲だろう。物語仕立てで読んでほしいからというような趣旨で、本編は「三枝は……」という三人称で書かれているのだけれども、それがかえって「第三者的に自分の業績を誇示しよう」という風に読めなくもない。例えば、次のような文章である。

 三枝は、ABCを普及させる活動で自ら旗を振った。その姿勢は、GEのジャック・ウェルチが改善手法の「シックスシグマ」をGE社内に導入したときと同じくらいの熱いものだった。(第3章 会社改造3 戦略の誤判断を生む「原価システム」を正す)

 ミスミグループ本社のウェブサイトを見ると、創業者の欄に田口弘よりも大きく自分の写真を掲げており、もちろん、「中興の祖」としてのプライドがあるのは理解できなくもないが、それにしても自己顕示欲が強いなあと感じた。

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「マネジメント紹介 | 企業情報 | ミスミグループ情報 | 株式会社ミスミグループ本社」より

  ちなみに、左側の写真の代表取締役社長CEO大野龍隆は、作中で描かれている「西堀陽平」だろう。*1

 本書を読んでいて気になったのは、社員にも猛烈の働き方を求めているようにも読み取れる点である。

 土曜日、出社してきた長尾は朝から焦っていた。もう残された日は少ない。グラフや数値はたくさんあるが、とにかく話の「筋」が見えてこない。何とか最後のまとめに入らないと発表に間に合わない。
 そのときだった。昼さがり、社長が突然、姿を現した。土曜日の作業部屋に現れたのは初めてだった。三枝は前日に見た景色を思い出し、朝起きると不意打ちで出社することを決めたのだ。心配だった。タスクフォースのメンバーたちには、ひとつのドラマを文字どおりドラマチックに全社員に示してもらわなければならない。(第2章 会社改造2 事業部組織に「戦略志向」を吹き込む)

 社員が長時間勤務していることに関するエクスキューズは皆無である。この長尾という人物は幹部クラスなのでまだやむを得ないところもあるかもしれない。ただ、転職口コミサイトなどを見ると、概ね共通しているのが勤務時間の長さである。

基本的に定時退社する人はいない。残業まみれの会社。ルールとしては、残業は最大月80時間までと定められているが、それは80時間までなら残業してもいいと解釈されており、部署によっては不夜城と化している職場もある。有給は基本的に取りづらい。

ミスミグループ本社の評判・口コミ|転職・採用情報-カイシャの評判(1917)

実際に異業種や異職種からの転職者は多く、受け入れる文化はある。但し育てる文化はないため、自分で、足りない知識や経験は補っていく必要がある。業務は多岐に渡る。個人の仕事量が多いため、いい経験にはなるが、業務が煩雑でかなりデスクワークのウェイトが重くなる。 また、女性の活躍に関しては、実際マネージメントクラスに女性もいるが、かなりハードな業務環境ではある。

https://www.vorkers.com/company.php?m_id=a0910000000Fs4D

 また、日本各地にあったカスタマーセンターを東京と熊本の二拠点へ集約する際、かなりの転勤が発生したようだ。

 地方センターで働いていたオペレーターのなかには、業務の移行に伴い、東京や熊本に移る者がたくさん出てきた。二度目の挫折直前に東京に移っていた福島や仙台、金沢、群馬県の太田、横浜の人たち10名ほどに加えて、集約再開後、松本や静岡、名古屋、福岡、広島、大阪の各地から東京ないし熊本に転勤した社員は40名近い人数になった。(第7章 時間と戦う「オペレーション改革」に挑む)

 ここまでは事実の記述である。実際に地方のオフィスを閉じ、かつ、雇用を維持するとなると、転勤が伴うのはやむを得ないといえばやむを得ない。ここまではいい。しかし、鼻白んでしまうのは、続けてある次の文章である。

 彼女たちは皆、ミスミが好きであると同時に自分たちの職業(プロフェッショナル)に誇りを感じていた。(第7章 時間と戦う「オペレーション改革」に挑む)

 それは確かにそうなのかもしれないけれど、指揮した社長がそれを書くの? とは思ってしまう。転勤することになった社員たちのプロフィールを読むと三十代の女性が多いようだ。それぞれの土地で働いていた経緯は分からないけれど、急に生活の拠点を離れなければいけないのはなかなかに大変なことだし、これまた記述はないけれど、家族がいたらどうなってしまったのだろうか。
 全般的に社員に対してかなりのコミットメントを要請しているが、それが彼らの生活や健康に与える影響というのはほとんど描かれない(唯一、上海へ赴任することになった男性社員の家族帯同プロセスが悪かった点の反省は記述されている)。
 無論、コミットメントが悪いせいで改革が頓挫し会社が潰れてしまったら生活もなにもないといえばそれまでなのだが、先述の著者の自己顕示欲の強さもあり、どうも自分はその辺りが気になってしまうのである。

*1:「三枝は西堀を社長室に呼んだ。43歳になった彼は若白髪が多く、実際の年より上に見えて、貫禄が出はじめている。」(第6章 会社改造6 「生産改革」でブレークスルーを起こす)

上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」ミュージックビデオ(ZUMI/2019)

 上坂すみれさんの新曲「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」、清竜人の楽曲がよいし、MVがラインを守ったちょいエロで本当に最高で、いったい誰が監督なんだろうと思ったらZUMIだった。

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 「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」は人気声優上坂すみれの10枚目シングルで、2019年4月より放映開始のTVアニメ『なんでここに先生が!?』のオープニングテーマ。作詞作曲編曲はシンガーソングライターの清竜人

 自分は上坂すみれさんについても楽曲についても語るほどのバックグラウンドをもってないので、上坂さんが可愛い、清竜人の楽曲がよい、という前提でMVの好きなところについて少し書きたいと思う(といって映像についても語れるほどのなにかがあるわけではないのだけれども)。

MV好きなところ(1)河原でグラビア雑誌を見つけるという導入

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 このミュージックビデオ全体が、河原で見つけたグラビア雑誌を読んでの妄想、という枠構造になっているのがうまい。
 そして、少年たちのルックスが最高によい(スタッフロールを見ると、やんちゃ坊主、ハカセ少年、食いしん坊というキャラクター名なので、これは「ズッコケ三人組」のキャラ配置ですね)。

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

MV好きなところ(2)青年誌のグラビアを映像で再現するというありそうでなかったアイデア

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 カメラマンのクレジットがあるのも芸が細かい。
 ちなみに、後述しますけれども、泡風呂というセクシーな題材の割に実際の露出度がそこまで高くないのが、このミュージックビデオの重要なポイントです。

よいところ(3)タイトルデザインがおしゃれ

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

「ボン」がぼんっとなってて、「キュッ」がきゅっとなってる。

MV好きなところ(4)ポラロイドで撮るとなぜいつもよりいっそう可愛く見えてしまうのか

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 修辞でなくて本当に理由を考えてるんですが、たぶん、「ポラロイドだと普通は映りが少し悪くなるのにそれでも可愛く見えるということは実際はもっと可愛いのでは?」と脳が勝手に補正してしまうからではないだろうか。

MV好きなところ(5)「ボンキュッボン」を体現した最高にバカっぽいけど可愛い衣装

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 これもありそうでなかったアイデアだよ。

MV好きなところ(6)袋とじをめくるところでMVを締め、スタッフロールのあとに中身を見たい人は物理CD買ってね、と宣伝につなげるところ

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 ほんとにCDが買いたくなって、ちゃんとプロモーションになってる!

「ボンッキュッボン」というセクシャルな題材なのに嫌な感じがないのは(この辺は人によってラインが違うのでアウトという人もいても全然おかしくはないです。あと、従来のファンでもこういう路線が嫌という人もいるかも)、パーツにフォーカスをあてる時は極力素肌を見せず、アップにするのは基本的に上坂さんの表情、という演出で一貫しているからでしょう。つまり、テーマはエロでなくあくまで「上坂さん可愛い」なのです。

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上坂すみれ「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Videoより

 

 ちなみに、本作がオープニングテーマとして使用される、2019年4月より放映開始のTVアニメ『なんでここに先生が!?』のプロモーションビデオを観ましたが、こちらはアウトだと思います(深夜アニメなのでアウトでも別にいいんですが)。


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 ZUMI作では、乃木坂46の「時空超越アイドル イマガール」も、「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」に連なる、世界観作り込み&アイデア大量投入の佳作なので、是非。

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『スパイダーマン:スパイダーバース』(ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン/2017)

 アメリカの人気コミック「スパイダーマン」シリーズのアニメ映画化作品。スーパーヒーロースパイダーマンが存在している世界で暮らす高校生マイルス・モラレス。彼はスパイダーマンの戦死を目撃すると共に、突然変異した蜘蛛に噛まれてスパイダーマンと同等の超人的な能力を得る。一方、悪役キングスピンの計画により次元の扉が開き、別宇宙のスパイダーマンたちが次々とこの世界へとやって来る――
 原語キャストはシャメイク・ムーア、ジェイク・ジョンソン、ニコラス・ケイジら。2018年のアカデミー賞長編アニメ映画賞受賞。

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  スパイダーマンのアニメ化ということで勝手に子供向けなのかと思っていたけれど(もちろん、子供が観てもいいように残虐な描写は注意深く取り除かれています)、恐ろしく趣味性が高くで、かつ、完成度も高く、でもやっぱり趣味性が高いので、びっくりした。
 まずオープニングがかっこいい。ていうかその前にコロンビアとかマーベルとかの制作会社のロゴが、作品の内容を暗示するように乱れていくのがかっこいいし、映倫みたいなマークが出るところもかっこいい。あまりにもオープニングがかっこいいので、観終わった観客が反芻できるよう、ソニーピクチャーズさんも公式で公開しているようです。

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 主人公のメンターとなるピーター・B・パーカーが妻に去られた中年太りのスパイダーマンというのも非常にうまいバランスだし、1930年代ハードボイルドコミック調スパイダーマン(当時の雑誌みたく印刷の網点が見える)と、カートゥーン風のスパイダーマンと、日本のアニメっぽいスパイダーマン(日本アニメの引用であることを示す代表的な記号表現って今でも女子高生ルックなんですね、と改めて感じた)が、おなじ画面に違和感を敢えて残しつつ調和して存在しているのも、相当の工夫があったんだろうなと思われる。多次元宇宙というSFネタを、様々な文化のコミックで活躍するスパイダーマンならではの形で描いており、本当にこれしかないという表現だ。
 ちなみに、原作コミックの『スパイダーバース』が2014~2015年に連載されていたと知り、アメリカのコミック界もあれこれやってるんだなと感心した。

 ストーリーは安定というか、ハリウッドお得意のおなじセリフを一度目と二度目で違う意味づけにする演出とか、本当に安定していますね。スタッフロールでストーリー担当が10人以上いるように見えたけど、見間違いかな……

 一点だけいただけなかったのは、2D字幕で観たんだけど、3D用と思われる赤と青の輪郭線が頻繁にちらつくところ。3Dと2Dでおなじフィルムなのだろうか? それとも3Dで観なさいということ?

 ヒップホップやR&B中心のサウンドトラックも趣味性が高いんだよなあ。子供の頃こんなの観たら衝撃受けるよ。

スパイダーマン:スパイダーバース オリジナル・サウンドトラック

スパイダーマン:スパイダーバース オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,ヴィンス・ステイプルズ,デイビット・ビラル,デンゼル・バプティスト,アンドレ・ジョーンズ,ダニエル・シーフ,ディディーアー・コーエン,トレバー・リッチ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2019/02/27
  • メディア: CD
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 ちなみに、エンドロールでは「スパイダーベル」という、スパイダーマンが人気出過ぎてジングルベルをカバーする羽目になるというギャグシーンが流れるのだけれども、案の定、アメリカでの公開はクリスマスシーズンだったのね。『リメンバー・ミー』の時も感じたけれど、本国と日本での公開時期の差により季節感がズレてしまうの、ちょっと寂しい。

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中国旅行2019年冬(大連)大連博物館、勝利広場、双興市場、『ペトロフ事件』

 2019年冬に中国遼寧省の大連市を旅行しました。旅行というか出張ですけどね。旅行は出張を包含するからいいのです。
 中国東北部は初めて。港街である大連、冬は海鮮が美味しいと事前に説明を受けており、実際に現地ではいろいろ歓待を受け海鮮などもいただきました。個人旅行ではなかなか難しい円卓に次々と料理が運ばれてくるというやつで、大変美味しゅうございましたが、その辺は割愛しまして個人で出向いたところを取り上げます。

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大連博物館(大连博物馆)

 大連博物館は、大連の近代史――具体的には1840年から1949年までを取り上げる歴史博物館。地下鉄1号線の会展中心站から歩いて3分ほど。入場無料ですが、入口でパスポートチェックがありました(最近の中国の施設はだいたいそうみたいなので、みなさん、パスポート携帯していると思いますが)。

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 おすすめかというと、まず展示がすべて中国語で、日本語はおろか英語の解説すらないという点で少しおすすめしづらい。しかし、日本近代史がある程度頭に入っていれば概ね理解はできるし(そう、大連の近代史は日本の近代史と密接に関連しているのである)、「大連市は大連の歴史をこのようなストーリーで捉えている」というのが分かってなかなか面白い。
 では、「大連市が考える大連史とは?」というところですが、まずはアヘン戦争で敗北したあと、李鴻章がそれまでは小さな漁村だった旅順を近代の軍港として整備しようとしたところから始まる。

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 そして日清戦争勃発。当時の日本軍の写真や装備品などが展示してあってなかなか興味深い(逆に日本国内で日清戦争を本格的に扱った博物館ってあるのだろうか?)。

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 ちなみに、日清戦争中に「旅順大屠殺」(旅順虐殺事件)というのがあったことを初めて知った(なかなか難しい事件のようですが)。

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 三国干渉後にロシアの租借地となった大連は西洋風の近代都市として整備される。

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 日露戦争後は日本の租借地となり、満鉄により工業が発展する。

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 満鉄のマークが入った食器とか、いいですね。

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 満鉄路線図、いいですね。

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 一方、民族資本による工業が勃興。

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 また、日本による都市建設の裏では中国人労働者たちの血と涙が。

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「多元文化交流」のコーナーでは、日本統治時代の地元の画家が寺に納めた掛け軸などなかなか興味深い展示。

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 寒い地域なので民家にオンドル的な機構があったようだ。

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 占領時代も民衆による抵抗運動が(ややプロパガンダ色の強い展示)。
 そして、日中戦争終了後、ソ連赤軍による大連の解放がある。実際に赤軍が民衆に大歓迎されたりしている写真も残っているのですね。

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 国共内戦の後背地だった大連は前線への物資供給基地となる。

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 展示は中華人民共和国が成立した1949年で唐突に終わる。意外にも中共の時代はほぼ展示対象外なのである。
地球の歩き方』では、「日本の関わる歴史を公平に扱おうとする姿勢が見られることは中国では稀有といえる。ぜひ訪ねてほしい。」とあるが、ニュアンスはほんのり異なるような。とはいえ、大連という街が清、ロシア、日本、中華人民共和国と異なる国によって重層的に作られた街であるというのはよく理解できた。
 展示のハイライトは後半にある多元文化交流パートと思われるので、前半で体力を使い過ぎないようアヘン戦争や日清日露戦争辺りはさくっと回るのがおすすめ。

勝利広場(胜利购物广场)

 勝利広場は大連駅前にある広場です。一見なにもないですが、地下はダンジョンのようになっています。地下街は「東京小城」、「勝利美食広場」、「貞花韓国批發城」、「銭隆大集」、「地鉄101購物街」といった様々なゾーンに分かれています。

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 こういうごちゃついた階層構造いいですよね。

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 店舗スペース刻んでるのいいですよね。

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 エスカレーター下も隙間なく使うのいいですよね。

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 鍵曲連発のような先が見えない通路いいですよね。

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 これ、お化け屋敷の出口かなにかかと思って裏側に回ってみたけど、別になにもなかった。

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 全体像はこんな感じ。

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  自分は中野ブロードウェイとか船場センタービルのような雑然とした(と言ったら失礼かもしれんが)雑居ビルが好きなのですが、勝利広場地下街はそれらを恐ろしく煮詰めたような感じで、とても大好物でした。まだ全貌を把握し切れていない。

双興市場(双兴市场)

 大連駅の北側にある双興市場へ向かおうと友好路を北上し、跨線橋を渡る。

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 昔ながらの街並みと、アホほど高い超高層ビル(「大連中心・裕景」。388メートルで、あべのハルカスより88メートルも高い……)。

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 双興市場と勘違いして双興商品城へ入る。

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 乾物や、

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 衣服はあれど、

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 生鮮食品が見当たらない。おかしいなと思って調べると、この建物はショッピングモールで、市場は屋外だったんですね。慌てて外へ出る。
 双興市場はドライフルーツ、

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 果物、

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 野菜、

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 食肉、

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 鮮魚等のゾーンに分かれており、それぞれが広大なスペースを持っている。バンコクのクロントゥーイ市場とかも大きいと思ったけど、やはり中国はスケールが違いますね……

ペトロフ事件』

 今回の旅行前に『ペトロフ事件』(鮎川哲也/1950)を読んだ。
ペトロフ事件』は鮎川の初長編で、ロシア人富豪ペトロフ殺しをシリーズ探偵である鬼貫警部が推理するというミステリ作品だけれども、最大の特徴は舞台が日本統治時代の大連ということだ(ただ、『ペトロフ事件』は事件発生が大連郊外の夏家子だったり、容疑者のアリバイが旅順にあったりと、なかなか大連市街地の場面が少ないのだが……)。

 これは大連駅前面の写真。

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 10時44分発の上り列車に乗った鬼貫は、警察署のある沙河口駅では下車せずに、そのまま終駅の大連まで行くと、構内の電話で三浦署長にかいつまんで情況報告をした。ついで駅前広場にでてタクシーを摑まえ、大広場の川田弁護士の事務所を訪れた。

 次は、場面としては大連市街から旅順へ向かう道中、現在の星海広場付近なので、大連博物館から出て陸側を撮った写真が近いのかな。風景は当時と全然違うと思うけど……

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「鬼貫さん!」
 とナタリヤ越しにアレクサンドルの手が肩をたたいた。
「わたしの家はあの小道を入って行きます」
 右手の丘と丘の間を指さした。その丘の上にはどっしりとしたドイツ風の邸宅や英国風のコテージが、青や赤の屋根瓦も美しく建ち並んでいる。白やチョコレート色の壁、蔦の這う壁。山腹から海岸にかけて散在する住宅はまったく絵のようである。ただここが要塞地帯なのがうっとうしかった。憲兵がどこから見張っているかもわからない。

ペトロフ事件』を読んで印象的だったのは、謎解きよりも、戦前の大連で日本人とロシア人と中国人が大きな争いもなく共生している描写だ。もちろん、鮎川が満鉄職員の子息だったからという点は考慮するべきかもしれないが、作中で描かれる通り、王巡補やサヤーピン警部のように大連や満州国の警察署へ勤めていた外国人は実際いたのだろうし、旅順の農村で暮らす中国人が日本人など意に介していなかったこともそうだったのだろう。
 サヤーピン警部や被害者ペトロフの一家のように大連、満州国に住んでいた白系ロシア人の人々は、日中戦争後(つまり、大連博物館で展示されていたように、ソ連赤軍によって大連が「解放」されたあと)、いったいどうなってしまったのだろうかと思った。