ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『あの子はもういない』(イ・ドゥオン/2016)

 ユン・ソンイの妹で高校生のチャンイが姿を消した。チャンイは同級生ソ・ユンジェの死との関連が疑われ、警察が行方を捜している。ソンイは離れて暮らしていた妹の家を訪れるが、そこでチャンイが異常な生活を送っていたことを知る――
 著者のイ・ドゥオン(이두온)は1985年生まれの韓国人作家。本書訳者あとがきによると、韓国コンテンツ振興院の「ストーリー作家デビュープログラム」に選ばれ、本作『あの子はもういない』(原題は시스터、姉妹の意)でデビューしたとのこと。

あの子はもういない (文春e-book)

あの子はもういない (文春e-book)

 

 ※ネタバレしています。

 陰惨で、しかし、やや現実離れした設定、突如始まる苛烈な暴力、といった要素は韓国バイオレンス映画――例えば、『殺人の追憶』(ポン・ジュノ/2003)、『悪魔を見た』(キム・ジウン/2010)、『殺人の告白』(チョン・ビョンギル/2012)、『殺人者の記憶法』(ウォン・シニョン/2017)等々を思わせる。
 主人公は若い女性なのだけど、まず彼女自身ががんがん暴力を行使する。これは序盤で主人公ユン・ソンイが夜道に暴漢から襲われる場面。

 髪をひっつかまれた。続けて腕を首で絞めあげられる。もみあう拍子に、彼の携帯電話が地面に落ちた。息が詰まる。彼は私の背中を胸に押し付け、荒い息を吐いている。私はベルトに差し込んでおいた麺棒に、そっと手を伸ばす。その先のほうを握ると、青年の腹を力いっぱい突いた。うっ! 彼が呻いてくずれおれる。私はその胸を足で蹴り上げ、どうにか彼から離れた。

 読んでいて、麺棒を隠し持っておくんだ! と驚き、しかし、韓国映画と地続きの世界観と考えると全然あり得ることだ、となんとなく納得してしまうところもある。

 韓国映画を随分引き合いに出してしまったけれど、登場人物たちの嫌な感じをねちっこく描けるのは小説ならではだ。登場人物は概ねクズかサイコパスかその犠牲者かなのだけれども、作中で最も邪悪な人物が、虐待の対象者として野球少年たちを毒牙にかける場面は、虐待者として話術が巧みに描かれ、嫌悪感を催させる。
 物語の主軸である、虚栄心に満ちた芸能人の両親に育てられた主人公の妹チャンイが、幼いながらもやはり虚栄心に囚われていく描写も、実にねちっこくて嫌らしい。特に架空のリアリティショー番組「ミリオン$キッズ」への出演が彼女の人生へ決定的に暗い影を落とす。

「(前略)チャンイが、自分を表現しようとする欲求が非常に強い子だったということです。必死になって、注目を集めようとしていました。そんなところが他の子たちにひどく嫌われたんでしょう。あの子はね、テレビの世界で通じていたことが、実生活ではさほど効果がない、ということに戸惑っていたようでした。それで時々、注目を浴びようと嘘をついた。(後略)」

 また、あとがきでも言及されているが、韓国の女性差別をテーマにした『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ/2016)のような場面も垣間見える。これは直接本筋と絡んでこないエピソードであるが、ある女性が、職場の上司に身体障害を負わされた事件を振り返る場面である(ちなみに、本作原書の出版は2016年2月なので、2016年10月刊行の『82年生まれ』の影響下にあるわけではなさそうだ)。

「そうかもしれませんね、ふつうは。でも、そのふつうっていうのが怖いのかも。私はすでに、ある秩序に馴らされてきたってわけですよ。加害者は上司で、歳も上。そんな相手には服従し、礼を尽くすべきだ。そんな考えが心にも体にも沁み込んでしまっていたんです」

  ミステリという観点では、自宅で何十台もの隠しカメラで生活を撮影されていた少女、という不気味な状況が、ある登場人物の立ち位置の反転ですっと畳まれ、なかなかうまい。主人公ユン・ソンイと準主人公のソ・ヘスンが美男美女という設定なところは、映画化に向いているかもしれない。
 あと、めっちゃ細かいところでは、スズメバチの主観描写があるところも好き。

 韓国映画を思わせる暴力的な世界観、誰が敵か味方か分からないスリリングな展開、そして、なにより韓国ミステリという未知のジャンルが着地点の見通しをさせず、大変フレッシュな読み心地でした。

台湾旅行2018年(2)滿樂鐵板吐司、其実豆製所、戴記獨臭之家、六順豆花他

 朝、ホテルでTVを点けたら、高雄新市長の韓国瑜氏が映ってましたね。

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 さて、ホテルのある松江南京から忠孝新生まで移動して、滿樂鐵板吐司。芋泥トーストで台湾っ子に知られる朝食店です。並んでいるのは若者ばかりで、店構えもおしゃれ。こちらも櫻さんの旅行記で存在を知りました。

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4travel.jp

 

 肉鬆芋泥吐司(肉鬆=豚肉の田麩、とタロイモペーストのトースト)。タロイモの甘さに肉鬆のしょっぱさがいい塩梅。肉鬆も芋泥も日本にはない食材なんだけど、甘と塩のバランス感覚が日本食とおなじ方向性なので、美味しく食べられるのよね。

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 今度は西門へ移動し、軍関係の建物を横目に、小南門福州傻瓜乾麵

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 小菜を摘まんでいると、

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 乾麺と鮮蝦招牌が。乾麺はあまり味付けされていないので、自分で卓上調味料を使いカスタマイズする。鮮蝦招牌はワンタンとか魚丸とかいろいろ入っていて美味しい。

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 こちらのお店はご存知食べ台湾さんから。

www.tabetaiwan.com

 お次は科技大樓へ。ここら一帯は初めて訪れた。落ち着いた、よい雰囲気ですね。散歩をしても楽しそう。

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 ちなみに、台湾の室外機というのはおおよそ鉄枠に乗っかっているだけなのである。これは低層住宅でも

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 高層ビルでも変わらない。

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 台風も地震も多い台湾で、室外機落下事故というのは起きないのだろうか?(新しめのビルはちゃんとベランダがあって、そこに室外機を設置しているみたいだけど)

 それはともかく、其実豆製所

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 無糖豆漿豆花。豆花が、まったく甘くない豆乳に浸っているだけで、トッピングである花生(茹でピーナッツ)の甘さで食べる感じなんだけど、豆花も豆乳も濃厚で実に美味しい。オーガニック系豆花の究極形というか。

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 店構えもおしゃれだし、近所の人が普通に豆乳を買いに来てるし、ここ、よいなあ。近所にあったら毎日のように通いたい。

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 こちらはおきらく台湾研究所さんから。

okiraku-tw.seesaa.net

 南京三民へ移動し、佳徳鳳梨酥へ。

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 こちらはいろんな味のパイナップルケーキがあり、

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 6個分の箱に自分で詰めることができる(6個未満複数箱で会計しようとすると、強制的に詰め替えられるトラップあり)。

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 あと、現金とクレジットカードでレジが分かれており、自分はクレジットカードの列に並んだのだけど、クレジットカードで決済する人は鬼ほど買うので(パイナップルケーキで18,000元とか!)、かえって時間がかかった。店内は朝方も混み合っていたけれど、午後に通りがかった時は入店待ちの行列が出来ていたので、やっぱり午前中に行った方がよいみたい。

 いったんホテルへ戻り、荷物を置いてから、フロントの人にマッサージの予約をお願いする。ちなみに、台湾のホテルのフロントは何語で話しかけてよいのかいつも迷う……(英語で話しかけると、大抵日本語で返していただけるのよね……)

 すぐに入店できるとのことで、6星集足体養身会館へ。観光客向けなので1時間の全身マッサージで1,100元と安くはないです。いずれローカルの安い按摩とかも挑戦してみたい。

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 市政府北側の下町を抜け、お昼は戴記獨臭之家

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 このお店では生臭豆腐が楽しめます。食べ台湾さんは「全然臭くない」と感想を書かれていましたが、自分は一口目を食べた瞬間、「う、これは食べてはいけないもの……?」と焦りました。しかし、食べ進める内に臭みには慣れて、チーズのようなねっとりした食感が際立つようになり、元は豆腐だったろうのに発酵ってすごいなと感じ入りました。

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www.tabetaiwan.com

 饒河街観光夜市から63番バスへ乗り、新東街口バス停で降り、六順豆花へ。

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 豆花という店名ですが、著名なのは「黒糖芋泥刨冰」という、かき氷の中央に芋泥がこんもり据えられているもの。オーダー時、日本語は通じませんが、芋泥の中に入れるトッピングを4つ選びます。自分は珍珠(タピオカ)、芋圓、花生、それから黒糖QQという謎のものを選択。

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 もちろん、ワイルドな味わいの芋泥が特徴的なのですが、かき氷自体も黒糖シロップがかかっており、ぶっきらぼうなビジュアルながら実はタロイモと黒糖という異なる方向性の精緻に組み立てられた甘さのバランス、そこに4つのトッピングがいいアクセントになって、これは美味しい! トッピングの黒糖QQは、QQみを究めたわらび餅といった味わいで、これもいい。

 こちらは池端レイナさんの動画で知りました。

www.youtube.com

 台北車站へ移動し、光南大批発という若向けの文房具店をぶらぶら。

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 夕食は、信義の誠品地下フードコートにある明德素食園というベジタリアン自助餐。土曜の夜でなかなか混みあっていた。これ、複数人連れの場合は先に席を取ってから一人ずつ注文しに行くというのが暗黙のルールみたい。
 ベジタリアン向けだけど、甘辛な味付けで結構満足感がある。

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 こちらも櫻さんの旅行記から。

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 最後は西門へ移動し、茶茶果というドリンクショップへ。これまた櫻さんの旅行記から。

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4travel.jp

 逮丸芋頭2號。

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 迷客夏というドリンクショップで買った黒糖ミルクも結構美味しかった。

 

buridaikon.hatenablog.com

台湾旅行2018年(1)小巷小象、基隆廟口夜市

 最近、Youtubeでjonbjgirl(じょん・びーじぇー・がーる)さんという関西在住の母娘の旅行動画を観るのが好きだ。Youtubeの旅行動画でよくあるような、本人が前面に登場して大げさなリアクションを取ったりとか、ジャンプカットを連発するとかそういうのがなく、しかしながら、画面に端々にいかにも性格のよさそうな人柄が滲み出てており、安心して観ていられる(テンポのよい演出も)。

 このjonbjgirlさんが結構な頻度で台湾に行っており、2泊3日みたいな旅行を数か月に1度くらいのペースで行っている。海外旅行となるとつい1週間とかねっちりと過ごしたくなってしまうが、こういう短期多頻度旅行もよいかもなと思い始めた。

www.youtube.com

 

 あとは、4travelで「櫻さん」という女性が台湾旅行記をたくさん上げているのだけれども、この人はタロイモという、里芋に似た東南アジアの根菜が大好きらしく、タロイモの料理やデザートを食べるためだけに台湾を旅行するようなスタイルで、こういうテーマ旅行的なのもよいなあと感じていた。

4travel.jp

 

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 で、台北松山空港です。2018年12月に2泊3日で訪れました。空港がどうだこうだという話はもういいですよね。
 というわけで、松江南京の近くにある洛碁大飯店建北館へチェックイン。
 早速、歩いて光華国際電子広場の斜向かいあたりにある小巷小象

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 こちらはタロイモミルクが台湾っ子に知られているお店で、上記の櫻さんの旅行記で存在を知りました。店内はおしゃれな感じで、若い女性客ばかりです。無論、「必吃」とある「芋頭西米露」をば。

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 ちょっといなたい象のキャラクターがいい味を出している。
 スムーズなタロイモクリームに小さな透明の西米(サゴパール)が入っており、日本にはないのに日本人が好きというナイスな飲み物?です。

4travel.jp

 

 続けて、台北車站へ。北口にある国光客運のターミナルから、1813番の直行バスで基隆へ。

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 下記記事を参考に、電車でなくバスでの移動を選択したのですが、金曜夕方というのは失敗だったみたいで、渋滞にはまって台北市街を抜けるのに1時間くらいかかってしまった。

www.taiwanlongstay.com

 

 しかも、基隆でバスを降りたら本降りの雨。「基隆へは傘を忘れるな」と言うそうですが……ちなみに、この日の台北は最高気温19度ということで、日本の10月下旬くらいかと思い、厚手のシャツ1枚だったのですが、雨が降るとさすがに寒かった。羽織るものも持っていけばよかったです。

 気を取り直して、連珍糕餅店。基隆の繁華街にある、タロイモを使った素朴な洋菓子が主体の、町のお菓子屋といった佇まい。店員のおばちゃんも実にぶっきらぼうなのだけれども、それがいい。

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 芋泥(タロイモをすり潰したもの)のショートケーキとかあるんですよ。食べたのは、芋泥球という、タロイモきんとんというべきもの。美味しい。イートインなどという気の利いたものはないので、軒先で立ち食いです。

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 タロイモを象ったゆるキャラ

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基隆連珍餅店新官網! > 首頁

 さて、すぐ先にある基隆廟口夜市。食べ物主体の夜市ということで、楽しみにして来ました。

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 1軒目、王記天婦羅

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 一番小さい35元のやつを注文。ご存知の通り、台湾の天婦羅はさつま揚げに近いなにかですが、中の練り物がぷりっぷりなのな。スイートチリソースもいいアクセント。

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 2軒目、営養三明治。ご存知、揚げサンドイッチ。クリーミーなマヨネーズみたいなのと、トマトとか野菜が入ってて美味しい。物撮りはうまくできなかった。

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 3軒目、天一香肉羹順
 名物である肉羹(肉つみれ)のスープを頼んだつもりが、魯肉飯も付いてきてしまった。肉羹が食べたことありそうでない絶妙な感じで美味しい。

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 あと、ここ、お店の佇まいがいいんだよね。せっまいテーブルで相席なんだけど、壁が取っ払われてて、隣のお店の様子も見えたりして。

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 4軒目、花枝焿大面炒。シンプルな塩焼きそばみたいな見た目だけど、スプーンで一掬い回し掛けしたにんにくのタレが最高に美味しい。

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 最後はデザートで陳記泡泡冰

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 ピーナッツ氷を注文。これまた日本にない、だけど馴染みやすいお味で好きなんだけど、いくら南国といえど冬の雨の屋外で、かき氷日和とはちと言い難かった。

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 基隆廟口夜市はどのお店も軒先にちょっとしたベンチがあり、また、一品ごとの量も少ないので、はしごがしやすくてなかなか楽しい。本当はもう少しいろいろ見て回りたかったのだけれど、雨がやまないのでやむなく切り上げ。

 帰りは台鐵で台北市街まで戻りました。

 

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『ミステリと言う勿れ』(1)~(3)(田村由美)

「僕、常々思ってるんですが――」天然パーマの大学生久能整(くのうととのう)は同級生殺害の容疑で警察署へ連行される。整に不利な証拠、証言が次々と集まる一方、整は取り調べの刑事たちと雑談ともいえる会話を始めるのだった――

『ミステリと言う勿れ』は「月刊flowers」にて2017年より不定期連載。2018年12月現在で3巻まで刊行。作者の田村由美は1983年に『オレたちの絶対時間』でデビュー。1992年に『BASARA』で、2006年に『7SEEDS』でそれぞれ小学館漫画賞の少女向け部門を受賞している。

 田村由美といえば、読者をぐいぐい引っ張っていくハッタリの効いたストーリー展開と、その中で描かれる少女マンガ的な価値観、心情表現が魅力的なわけですが、『BASARA』、『7SEEDS』ではSFファンタジー路線だったところを、本作では現代日本が舞台のミステリものにジャンルを切り替えています。しかし、ミステリというジャンルでも田村由美の魅力は健在なんですね。

7SEEDS』で抑圧的な男性に対して女性が抵抗するさまを小気味よく描くような場面がありました。

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7SEEDS』2巻 171ページ

『ミステリと言う勿れ』は、こういった場面が主人公整の、これはなんというか、「憑物落とし」と表現するのが一番似合っていると思うのですが、そういった会話で表現されます。

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『ミステリと言う勿れ』1巻 27~28ページ

 このような会話で登場人物の価値観の転回させる。この辺りのネームはさすがにうまい。前提として主人公整がやはり魅力的なのですね。飄々としているようで、カレー作りが警察の捜査で邪魔されることに憤りを感じるような子供っぽさもある(とはいえ、説教臭くて嫌だという人もいるだろうなとは思う)。

 ちなみに、「憑物落とし」という言葉を使ったけれど、作品中のメタ的言及から、恐らく作者は京極堂シリーズを既読なのだと思われます。

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『ミステリと言う勿れ』1巻 96ページ

 陰陽師京極堂ルポライター浅見光彦? 塀の中の有名な殺人鬼=ハンニバル・レクター。あとは一般的過ぎてちょっと分からないけれど……

 3巻までだと大まかに4つのエピソードがあります。

巻数 サブタイトル エピソード
1巻 容疑者は一人だけ episode 1
【前編】会話する犯人 episode 2
2巻 【後編】犯人が多すぎる
つかの間のトレイン episode 3
思惑通りと予定外 episode 4
3巻 相続人の事情
落とされたものは
鬼の集い
殺すのが早すぎた

   探偵が容疑者、バスジャック、暗号、旧家の遺産、とバラエティに富んでいますが、自分はepisode 2が気に入っています。突然のバスジャックから(バスジャック犯がバスを人目につかないためにするトリックがなかなかユニーク)一転、山荘ものテイストになるのも、捻りが効いていてよい。個人的には西村京太郎の『殺しの双曲線』を想起しました。お話自体はあまり似てないのですが、兄弟、山荘、復讐といった要素と、ストーリー展開の妙で読ませるところが。真犯人の動機は京極堂シリーズっぽさもある。

 作者は「すみません ミステリじゃないです むり そんな難しいもの描けるもんか! だからこのタイトル…」(2巻あとがきより)と謙遜しているけれど、ジャンルとしては疑いなくミステリであり(第一「ミステリー」じゃなくて「ミステリ」というのが推理小説ファンの心をくすぐるじゃないですか)、謎そのものというよりはぐいぐいとした勢いのストーリーとかキャラクターの魅力で読ませるのもユニークだし、まだまだネタはいろいろありそうだし(整くんの家庭のこととか)、非常に期待のもてるシリーズなのです。

flowers.shogakukan.co.jp

乃木坂46 2018年個人的名場面とちょっといい場面

 乃木坂46の2018年の個人的名場面と個人的ちょっといい場面を自分用に整理しておきます。

個人的ちょっといい場面(1)「芸能人格付けチェック」(2018/1/1)で生田絵梨花さんが39億円の三重奏を聴いて「ヘルツが低い」と評する場面

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「芸能人格付けチェック!これぞ真の一流品だ!2018お正月スペシャル」より

 さすが怪物生田。

個人的ちょっといい場面(2)「セブンルール」(2018/1/9)で齋藤飛鳥さんが書店で『虐殺器官』と『隣の家の少女』を手に取る場面

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「セブンルール」より

 日本の女性トップアイドルグループのセンターの子が伊藤計劃とケッチャムのどちらを買おうか迷ってるのすごくないですか。

個人的名場面(1)「乃木坂工事中」(2018/2/4)で伊藤理々杏さんが松村沙友理さんにキスをされて好きになってしまったと告白する場面。

 詳細は別記事。

buridaikon.hatenablog.com

個人的ちょっといい場面(3)公式ブログ(2018/2/20)で松村沙友理さんが帝騎マグナパレスとツーショットを撮る場面

 ゴティックメード松村沙友理さんという感動的なツーショット。

発売中の Newtype3月号には
そして モブサイコ100の特集ページに
与田祐希ちゃんもいますよっ♡
よだよだが 一生懸命対談してます♡
 
 
 
 

 

blog.nogizaka46.com

※「乃木坂46時間TV」(2018/3/23~3/25)

乃木坂46時間TV」については別記事で。

buridaikon.hatenablog.com

個人的ちょっといい場面(4)「吉本坂46が売れるまでの全記録」(2018/4/10)で、東野幸治さんの「辞めたいと思ったことある?」という質問で松村沙友理さんが答えに詰まった時、クイズ王古川洋平さんも同時に硬直する場面。

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吉本坂46が売れるまでの全記録」より

 クイズ王、いい奴……

個人的ちょっといい場面(5)「生駒里奈卒業コンサート」(2018/4/22)で、生駒里奈さんと3期生がAKB48の「初日」をパフォーマンスする場面

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「乃木坂工事中」より

 アイドルが、自身の卒業コンサートで、後輩たちと一緒に、アイドルのデビュー初日をテーマにした楽曲を歌うのを観たアイドルファンの心情を、2018年現在では、エモい、と表現します。

個人的ちょっといい場面(6)「乃木坂工事中」(2018/5/20)で松村沙友理さんがバナナマン日村さんの誕生日プレゼントに自分の髪の毛をあげる場面

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「乃木坂工事中」より

 松村沙友理さんは狙ってるのかサイコなのかぎりぎりの線を突いてくるのがマジすごいと思う。

個人的ちょっといい場面(7)「ウチのガヤがすみません!」(2018/6/26)で新内眞衣さんが即興でカッパに襲われるマクドナルドの店員を演じる場面 

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「ウチのガヤがすみません!」より

オールナイトニッポンゼロ」の経験が活きますね。

個人的ちょっといい場面(8)フォーチュンミュージックのCMで、久保史緒里さんが岩本蓮加さんと握手して「幸せです~」と心の底から幸せそうに語る場面

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「フォーチュンミュージックCM「個別握手会にいってみた!」編」より

 毎日のように会ってるだろう同期とでも握手で幸せになれるドルオタ久保さんすごい……いや、違うのだ。テーブルを挟んで握手するとことが即ち毎日のように会っている同期をアイドルに変貌させるのだ。

個人的名場面(2)「生のアイドルが好き」(2018/7/31)で、鈴木絢音さんのオフショル姿に対する視聴者からの「けしからん、もっとやれ」というメールに、松村沙友理さんが「女の子はおしゃれでオフショル着てるだけなのに、けしからんもっとやれとか意味分からん。普通に可愛いでいい」と突っぱねる場面

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「生のアイドルが好き」より

 松村:「乃木坂46のみなさんこんばんは。昨日の夜あたりから乃木坂ファンをざわつかせた「絢音ちゃんオフショル問題」についてのメンバーのみなさんの感想をお聞きしたいです。ちなみに、私の感想は「けしからん、もっとやれ」です」。なにこれは?
 鈴木:そんな、大ごとになってないと思うんですけど……昨日、ラジオのお仕事二つやらせていただいて。せっかくだからいつも着ないお洋服着よっかなーと思って。ほぼ初めてぐらいでオフショルのお洋服を着ていったんですよ。そしたら、なんか、印象違うね、みたいなことを言われて……ね、琴子一緒だったんだよね?
 佐々木:うん、びっくりした。
 中田:反応し過ぎっちゃ反応し過ぎだよね。オフショルに対してね。
 松村:でも、絶対オフショル可愛いじゃん。めっちゃ似合うと思うの。オフショルってものはすごい好きだけど……なんていうの、この「けしからん、もっとやれ」とか、私はめっちゃ嫌だ。めっちゃ嫌。そういうつもりで着てるわけじゃない。
 中田:街歩いてたらいっぱいいるのに、「家に引きこもってるの? あなたは」って思っちゃうよね。
 松村:女の子はそんなつもりでオフショルとか着てるわけじゃないのに。単純に絢音ちゃんにその服が似合ってて、たまたまそれがオフショルだったからってだけじゃん。絶対それ可愛いからさ、可愛いって褒めてくれたらいいのにさ。なに、この「けしからん、もっとやれ」ってさ。
 渡辺:めっちゃ怒ってる(笑)。
 松村:見方おかしいよ。ほんとにおしゃれでやってるから。別に女の子はそういうつもりでやってないからさ。
 中田:マジで部屋からもっと出た方がいいよ。
 松村:思う思う思う思う。
 中田:引きこもってないでお買い物とかしに行きな。街に。
 松村:これでさ、「ざわつかせたオフショル問題」って、それは可愛くてざわついてるってことでしょ? この人のこの「けしからん、もっとやれ」は好きじゃない。
 中田:別にざわついていいけど。
 松村:ざわついていいけど、それは絢音ちゃんの可愛さ。可愛さでざわついた、世の中は。そうしましょ、はい。

 ごもっともオブごもっともや……
 この投稿者の人が悪気があってメール書いたわけじゃない(褒める気持ちで書いてる)のはよく分かるけど、「当人が出演している番組に」「ネット定型文で」感想を言うと、怒らないアイドルもいるかもしれないけど、まあ、怒られてもしょうがないよね……距離感が取れてないファンにぴしゃりと線を引く松村さん、めちゃくちゃかっこいい。
 ただ、一点だけ、鈴木さんのオフショル姿現物がないとフェアじゃないところがありまして。

 確かにセクシーであり、話題になっていたのは事実なのです。敢えて言及するなら「セクシーで可愛いね!」くらいかな……

個人的ちょっといい場面(9)「乃木坂工事中」(2018/8/26)で、松村沙友理さんがバナナマン日村さんの誕生日プレゼントに渡した自分の髪束を突き返される場面

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「乃木坂工事中」より

 松村沙友理さんは狙ってるのかサイコなのか(以下略)

個人的ちょっといい場面(10)「真夏の全国ツアー」宮城公演(2018/9/1)の「ジコチュープロデュース企画」で、星野みなみさんが「意外BREAK」をパフォーマンスする場面

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「乃木坂工事中」より

「5th YEAR BIRTHDAY LIVE」での白石さん、橋本さん、松村さんによる「Threefold choice」のアンサーみたいでよいですね。

個人的ちょっといい場面(11)SHOWROOM「『ザンビプロジェクト』舞台キャスト発表スペシャル!」(2018/9/17)で、乃木坂46運営委員長今野義雄さんを相手に、秋元真夏さんがまったく危うげなく生放送を進行する場面

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SHOWROOM「『ザンビプロジェクト』舞台キャスト発表スペシャル!」より

 秋元真夏さんの「自分はこの場を仕切ることができる」という自信に満ち溢れた采配が清々しかった。たとえ運営委員長だとしても今野義雄さんはTVに出ることに関しては素人で、秋元さんはやはりプロなのだ。

個人的名場面(3)SHOWROOM「『ザンビプロジェクト』舞台キャスト発表スペシャル!」(2018/9/17)で、山下美月さんがラーメン好きで知られるけやき坂46齊藤京子さんに乃木坂46が広告を担当している「和ラー」を差し入れる場面

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SHOWROOM「『ザンビプロジェクト』舞台キャスト発表スペシャル!」より

 めちゃくちゃ気が利いている。
 あと、山下さんは、「ザンビ」の共演者についての印象を問われた際、まったく動じずに「土生(瑞穂)さんはスタイルが素晴らしいお姉さんって感じで、「JJ」も読ませていただいてて」、「小林(由依)さんは、同い年ですよね? 一回おしゃべりをしてみたいなあって思ってて」、「京子さんは、(山下さん自身が)オーディションの時にSHOWROOMで4番だったんですよ。それで、ブログで一番最初に「4番で見てました」って触れてくださって」と淀みなく語っていて、普段から姉妹グループに対する自分なりの見解を温めているだろうところ、自分の意見を率直に表明できる絶妙な間合いを会得しているところに、人の上に立つ器をひしひしと感じました……一般企業にいても出世しそうなタイプ……

buridaikon.hatenablog.com

個人的ちょっといい場面(12)「乃木坂工事中」(2018/10/7)で、和田まあやさん、斉藤優里さん、松村沙友理さん、生田絵梨花さんが乃木坂46メンバーだけの初ドライブにテンションが高まってしまい「インフルエンサー」を踊り狂う場面

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「乃木坂工事中」より

 この回の乃木坂工事中すごい面白かった。やっぱりリスクを取ってでもメンバーだけに運転させるというシチュエーションが、メンバーのハイテンションを引き出した。メンバーが楽しそうだとファンも楽しい。スタッフも手応えを感じていたのではないか。

個人的ちょっといい場面(13)「乃木坂46のガクたび!」(2018/10/20)で、フラガールズ甲子園のあと涙ぐむフラダンス部の先生を、新内眞衣さんが頭ぽんぽんする場面

 あと、感極まって「来年も一緒にフラ甲子園目指します」と言っちゃう高山一実さんを、先生と一緒に「言っちゃったな~」ってやってる新内さんの感じ。

個人的ちょっといい場面(14)「NOGIBINGO!10」(2018/10/22)で、アボカドと明太チーズのふんわり揚げを食べる星野みなみさんを見て岩本蓮加さんが思わず「かわいい」と漏らす場面

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NOGIBINGO!10」より

 これまで一般人だった岩本さんからすると、星野さんってマジでなんなのこの可愛い生き物、って感じなんだろうな。

個人的ちょっといい場面(15)さゆりんご軍団tiktok(2018/11/2)で寺田蘭世さんと松村沙友理さんがパフォーマンスする場面

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「さゆりんご軍団 on Tik Tok: TikTok」より

 乃木坂46が珍しくSNS系に個別進出した事例。あと、可愛い。

www.tiktok.com

個人的ちょっといい場面(16)「沈黙の金曜日」(2018/11/16)で、和田まあやさんが天気予報を読み上げる際、「関東カメ信地方」と読み間違える場面

 甲→甲羅→亀?

 個人的名場面(4)「若月佑美卒業セレモニー」(2018/12/4)で、若月佑美さんがメンバー一人一人に花を手渡し、最後に桜井玲香さんに渡そうとすると、桜井さんが俯き涙をこぼしながら受け取る場面

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めざましテレビ」より

 若桜よ永遠に。

buridaikon.hatenablog.com

2018/12/24追記

個人的ちょっといい場面(17)「乃木坂工事中」(2018/12/23)で、卒業する西野七瀬さんが最後にやりたいこととして、バナナマンと一緒に「どん! 乃木坂ちゃんで~す」をやる場面

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「乃木坂工事中」より

 どんを日村さんに当てるの、さすが、西野さん、分かってる。

個人的名場面(5)「乃木坂工事中」(2018/12/23)のCMで、「皆様、よいお年を――」という乃木坂46からのメッセージが流れる場面

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 この60秒間自体が乃木坂46の2018年名場面集といった感じで、ファンに向けた一回こっきりの粋な計らいでした。

2019/1/1追記

個人的名場面(6)「第69回NHK紅白歌合戦」(2018/12/31)で、乃木坂46が歌唱後、バナナマンの登場に気づく場面

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「第69回NHK紅白歌合戦」より

 もうこの時のメンバーの表情がすべてを物語っている。

 ところで、「輝く未来のためと」の部分で西野七瀬さんがターンする相手、紅白では秋元真夏さんでした。

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「第69回NHK紅白歌合戦」より

 若月さんの卒業セレモニーでは若月さんだったことを覚えているのですが、ベースの振りでは誰なんだろうと改めて確認すると、高山一実さんだったこともあるんですが、基本的には秋元さんなんですね。
 これ、そのあとの「CDTVスペシャル! 年越しプレミアライブ2018→2019」で、西野さん活動終了後初となる「帰り道は遠回りしたくなる」のセンターが、秋元さんだったことの伏線なのかもしれませんね。

 

乃木坂46「若月佑美卒業セレモニー」ライブビューイング

 乃木坂46若月佑美卒業セレモニー、ライブビューイングですけど、観ました。さいっこ~~~によかった! 「卒業コンサート」でなく「セレモニー」ってなに? と思ってたけど、歌あり笑いあり涙ありの素晴らしいショーで、若月佑美さんの練れた人柄が存分に堪能できました。

 若月佑美さんは女性アイドルグループ乃木坂46の1期生。選抜回数20回、福神回数8回……と乃木坂46ファンでしか分からない指標で恐縮ですが、人気メンバーの一人です。二科展へのデザイン画の出展や、舞台、現在日本テレビ系で放映中の「今日から俺は!!」に出演するなど多彩な面をもっています。2018年10月に乃木坂46からの卒業を発表し、2018/12/4の「卒業セレモニー」を以って卒業しました。

 これまで卒業するメンバーで「卒業コンサート」はやっても「卒業セレモニー」というのは初めてだったので、いったいなにをやるんだろう、でも、仮にライブもあるのであれば、若月さんにちなんだ、

  • 告白の順番(女子校カルテット初のMV付き楽曲)
  • 失恋お掃除人(若様軍団)
  • 制服のマネキン(ボールを打った金属音)
  • ガールズルール(10秒で水着に着替えよう)
  • ダンケシェーン(やっぱ乃木坂だな!)

 は絶対にやってほしいし、

  • 狼に口笛を(アンダーフロント)
  • 音の出ないギター(MVで西野七瀬さんと共にフィーチャー)
  • 他の星から(あの手の振り)
  • 無口なライオン(MVで西野七瀬さんと共にフィーチャー)

 もよかったらやってほしいななどとぼんやり考えながらライブビューイングの会場へ向かった。

 映画館では開演前から会場(日本武道館)と中継がつながっており、影ナレは若様軍団の梅澤美波さん、阪口珠美さん、山下美月さん。定型文なんだろうけど、「以上のことが守れない場合はコンサートを一時中断することがあります」と言っていて、(やっぱコンサートなのね……)と心の中で思った。

 開演、「OVERTURE」が流れ(ライブなの? やっぱライブなの?)、

youtu.be

 おもむろに乃木坂46ではない男性ダンサーが踊り始める(これはいかに……)。困惑していると、若月さんがロボットダンスで登場。若月さん、別にやりたいわけでもないだろうのにファンサービスでロボットダンスをやるなんて、なんていい人……!
 ダンスパートからシームレスにライブが始まり、「狼に口笛を」

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「音が出ないギター」

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 と期待通りの演目。

 MCパートでは、ソファを引っ張り出してきて、メンバーとくつろぎながらランキング形式で「清算すべき楽曲」を順に披露。
 ここでもファンが観たい若月さんの持ちネタ「れかつき」(「まあいいか?」のグループ内カバー)、

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「女子校カルテット」(「告白の順番」)、

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「箸君」(「失恋お掃除人」)、

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「リチャード」(「低体温のキス」のグループ内カバー)をやり切り、また、自分がパフォーマンスをしたわけでもない「ボーダー」をリクエストするなどの2期生への気遣いも。

 ランキングを終えると、再びごりごりのライブパート。「会いたかったかもしれない」

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「ガールズルール」

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「ロマンティックいか焼き」「帰り道は遠回りしたくなる」

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 など盛り上げ曲連発のパワープレイすらも、ファンへの「楽しんで帰ってほしい」という気遣いと思われる。

「失いたくないから」を歌唱しながらメンバー一人一人に花を渡すパフォーマンスで泣かせつつ、

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 渡し終わったあと花束の入っていた紙袋の底に「最後の曲は」「ダンケシェーン」と書いてある演出も、若月さんらしいウィットで最高。

「卒業セレモニー」ということで、事前には、手紙読んだりしてあと1、2曲歌ったりして、トータル1時間くらいかな、などと予想していたけれど、結局、15曲披露、たっぷり2時間のライブ。テーマがはっきりくっくりしており、個人的には今年の乃木坂46のライブ相当イベントの中では一番楽しかったかも。

 強いていうと1個だけよくなかったところがあって、それは「ガールズルール」の「10秒で水着に着替えた」で若月さんを抜かなかったところですけれども、逆に言うとカメラリハも十分にできないくらい慌ただしい中でわざわざセレモニーやってくれたってことで、結局は感謝しかない。

 ちなみに、久保史緒里さん激押しの「ロマンスのスタート」1分28秒(正直、そこまで目を皿にしては観ていなかった。久保さん、すげー)。

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乃木坂46 『ロマンスのスタート』Short Ver. - YouTube

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 卒業イベントというアイドル最高の晴れ舞台で、メンバーを気遣い、ファンを楽しませることに徹した若月さん。こんな人柄なら乃木坂46という看板を下げてもどこでもやっていけるし、そういうところにちょっと涙してしまいました。

『ヘレディタリー/継承』(アリ・アスター/2018)

 祖母の死をきっかけに、一家が恐怖の底へと転落していくさまを描くホラー映画。
 監督は本作が長編デビューのアリ・アスター。出演はトニ・コレットガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ。

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 ※ネタバレしてます。

 これといってなにか悪いことをしたわけでもないのに、主人公一家が次々といやーな目に遭っていくのが怖い。これ、一家がなにか禁忌を破ってしまったとかのために「こと」が始まったわけではないというのがポイントで、「リゾートバイト」とか「姦姦蛇螺」とかみたいに語り手が入るなと言われたところに無断で侵入したから災厄に見舞われるとかいうなら、怖いけれどまだ腑に落ちるわけですが、『ヘレディタリー』の一家はなにかをしたわけではないんですね。ただ単に祖母が亡くなっただけ。それをきっかけにして地獄に突き落とされるというのは本当に理不尽で、だからこそ怖い。
 起こることも、祖母の墓が掘り起こされるとか、娘が鳥の死骸をハサミで首チョンパするとか、お母さんが手仕事のミニチュアハウスで祖母が孫娘に授乳している場面を再現するとか、決定的ななにかではないんだけどなんとなく不穏な感じ、というのが絶妙。
 なにが原因か分からないけれど、どうもなにか「こと」(それもよくない系の)が進行しているようだ、という怖さは三津田信三の、「向こうから来る」(『どこの家にも怖いものはいる』所収)とかの風味もある。
 中盤に発生する娘の首チョンパ事件は、娘が鳥を首チョンパしたからなのかなんなのか因果がはっきりしないし、最初の犠牲者がホラーでは比較的安全とされる一家の末娘というのもショックだし、やっちまったあとの長男の現実逃避も妙に生々しくて嫌だし、最終的な見せ方である「路上に転がった娘の頭部に蟻が群がっている」というのも実に嫌らしい。
 終盤、祖母の遺品を調べると、生前の祖母が一家に対してなにかを仕組んでいたらしいことが分かり、これもぞっとする。それでもなお、なにかオカルティックなことが起こっているのか、それとも一家のお母さんが狂ってしまっているのか、はっきりさせないところもうまい。
 だからこそ、ラスト5分で欧米ホラーでよくあるところの悪魔の話に帰結させてしまったのは、ちょっと残念だ。祖母が悪魔を召喚するためにあれこれ仕掛けていたと明確にすると、これまでの出来事がある程度腑に落ちてしまうので、恐怖が薄れてしまう。ただ、これはもしかしたら、観客を少しは恐怖から解放させて劇場をあとにしてもらおうという監督の配慮なのかもしれない。
 いずれにせよ、全編これでもかという不穏な空気と、いやーな描写と、陰鬱な劇伴で、ぎんぎんに観客を追い込んでいくスタイルは見事。ポジティブな意味で「これ、早く終わんないかな……」という気持ちで鑑賞していました。