ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

乃木坂46 21stシングル選抜メンバー予想

  2018/6/17(日)の「乃木坂工事中」にて、乃木坂46の21stシングル(タイトル未定)が、2018/8/8(水)に発売されると発表された。
 選抜メンバーは2018/7/8(日)の「乃木坂工事中」で発表されるのではないか、という説がある(要出典)。ちょうどこの日は、明治神宮野球場秩父宮ラグビー場で開催される6th YEAR BIRTHDAY LIVEの最終日でもある。【2018/6/25追記】2018/7/1(日)の「乃木坂工事中」で選抜メンバーが発表されるとのこと。
 ブログは時代のログなので、メンバー選抜に関して、自分の予想を簡単にメモしておこうと思う。

 情勢

 今回の注目点は概ね下記と言えるだろう。

  1. 梅澤美波が初選抜入りするか?
  2. 鈴木絢音渡辺みり愛が初選抜入りするか?

 ちなみに、もう一つ、「北野日奈子が復帰するか?」を挙げるつもりだったけれど、北野さんは残念ながら21stも休業継続とのこと。
 1つ目の梅澤美波さんだけれども、指標上は既に19thの時点で福神クラスであり(個別握手会30部2次完売で生田、飛鳥、衛藤らと同ライン)、20thで選抜入りしないことが不思議がられていたくらいだった。実際のところ、生駒里奈さん卒業後の「シンクロニシティ」パフォーマンスは梅澤さんが入ることが多く、生駒さんが20th期間中早々に卒業してしまったことを考えると、事実上「半選抜」のような扱いだったのかもしれない。20thでも人気は維持しており、初選抜の最右翼である。
 2つ目の鈴木絢音さんと渡辺みり愛さんは、乃木坂46の慣例ではアンダーセンターを務め、アンダーツアーで座長を担ったメンバーは概ね1~2年以内に選抜昇格している。特に鈴木さんは業界での評価もあり、選抜に上げることで一層勢いを増しそうな印象もある。また、今、上げておかないと3期生、4期生の追い上げで埋没しかねず、積極的にも消極的にも今が適時だろう。

事実関係のおさらい

 では、事実関係のおさらいから。個別握手会の完売数は、完売表でおなじみのジーンさんのデータを参考に記述。

(1)20th個別握手会免除メンバー

 桜井、白石、西野、若月(以上4名)

(2)20th個別握手会30部完売メンバー

 ※かっこ内数字は完売次。
 飛鳥(2)、山下(2)、与田(2)、久保(2)、梅澤(3)、高山(3)、堀(3)、大園(4)、星野(4)、新内(4)、理々杏(4)、寺田(5)、岩本(6)、渡辺(9)、優里(10)(以上15名)

(3)20th個別握手会30部完売に準ずるメンバー

 ※30部未満完売だが、これまでの推移からして仮に30部だったとしても完売と推測されるメンバー。
 秋元、衛藤、生田、井上、鈴木(以上5名)

(4)20th卒業メンバー

 川村、生駒、ちはる、相楽

(5)休業中メンバー

 北野

 上記の内、(1)の4名、(2)の15名、(3)の5名、および松村の計24名がまずは選抜候補と言えるだろう(前回と比較すると、生駒が卒業、中田、樋口、山崎が完売数を落としている)。
 また、もしかすると、ミュージカル版『美少女戦士セーラームーン』熱演の行賞で、能條、樋口、中田が上方修正されているかもしれない。

予想

 前回は軸が分からなくて3パターンの予想をしたけれども、今回は2パターンでよいかな。

最も保守的な予想

 桜井、白石、西野、若月、飛鳥、山下、与田、久保、梅澤、高山、堀、大園、星野、新内、理々杏、秋元、衛藤、生田、井上、松村の20名(生駒、寺田、樋口out、梅澤、理々杏in。30部4次完売がボーダー)。センターは飛鳥。

最もドラスティックな予想

 桜井、白石、西野、若月、飛鳥、山下、久保、梅澤、高山、堀、大園、星野、新内、理々杏、寺田、秋元、衛藤、生田、井上、鈴木、渡辺、松村の22名(生駒、樋口out、梅澤、理々杏、鈴木、渡辺in)。センターは山下。


「保守的」、「ドラスティック」と言いつつ、ほとんどブレ幅がないですね。事実上選抜からはずれないだろうメンバーが桜井、白石、西野、若月、飛鳥、高山、堀、星野、新内、秋元、衛藤、生田、松村と13名もいるので、裁量の余地は少ないのですね……
 それはそれとして、以下、予想のポイント。

  • 梅澤さんの確度が高いとして、理々杏さんについて悩むところである。理々杏さんを入れるなら岩本さんも……と思うけれども、梅澤さんと理々杏さんは「未来の答え」(18thカップリングの3期生楽曲)でフロント両脇シンメトリーだったので、バランスはしているかもしれない(シンメのことを言い始めると、山下センター案だと与田さんのシンメがいなくなってしまうのだが……)。
  • 過去、「裸足でSummer」で、アンダー最右翼だった中元さん、北野さんを選抜入りさせたことがあったので、おなじ夏曲であるというジンクスにより鈴木さん、渡辺さんも入らないかなあと期待を抱く。
  • センターは誰でもいいんですけれども……これはネガティブな意味でなくて、体制が大変盤石で、上記選抜候補であれば誰がセンターになってもそれなりにちゃんとやれそうという意味です。飛鳥さんは、少なくとももう1回くらいはセンターやってほしいな、という個人的な希望。山下さんは、セラミュ抜擢とその評価等、ぐいぐい上がって来ているという印象なので。

【2018/7/1追記】答え合わせは下記です。

buridaikon.hatenablog.com

  ちなみに、前回20thシングルの選抜メンバー予想は下記。

buridaikon.hatenablog.com

 次回22ndシングルの選抜メンバー予想は下記。

buridaikon.hatenablog.com

『万引き家族』(是枝裕和/2018)

 万引きで生計を立てる一家を描くヒューマンドラマ。監督は『誰も知らない』、『そして父になる』、『海街diary』等で知られる是枝裕和。出演はリリー・フランキー安藤サクラ樹木希林松岡茉優ら。2018年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。

www.youtube.com


ネタバレしてます。

 子供に万引きをさせる、親の年金を当てにするというような貧困家庭を描いているのだけれども、現代日本の貧困問題を批評しているというより一種寓話的な作品だとは感じた。リアリティという意味では、このごく狭い地域でこれだけの頻度、被害額の窃盗を繰り広げていたら、いくら手馴れているとはいえ、間違いなく作品が始まる前に捕まっているはずで、つまり、はなからリアルを指向しているわけではないと思われる(の割に舞台が三ノ輪なのはさ~とはちょっと思うけれど)。
 むしろ、より普遍的な家族のあり方を主題としているような印象を受けて、登場する一家は、「スーパーで売っているものはまだ誰のものでもない」と嘯く一方、虐待されている子供をさらっと匿えるような度量もある(一種、権利関係の認識が曖昧なようでもある)。
 じゃあ、一家を応援したくなるかというと、年金を詐取するために死んだ老母を平気で床下に埋める描写をインサートすることで、観客を突き放す。この辺りのバランス感覚は非常に巧みだ。
 こういった、倫理観に欠けているけれど、憎めないところがあり、でもやっぱりちょっと怖いという複雑なキャラクターを、リリー・フランキー安藤サクラが見事に好演している。
 特に安藤サクラ、これは恐らくみんな褒めている場面でしょうけれども、池脇千鶴演じる刑事にゆりを誘拐した動機として「母親になりたくてもなれなかったからでしょ」と冷徹に指摘される。安藤演じる信代がこれまでゆりを慈しんできたこと、そして、(神の視点として)実母がゆりを未だに虐待していることを知っている観客は、刑事に反発する気持ちを抱く。平凡な映画であれば信代に声を荒げて日本社会の批判をさせるかもしれない。が、信代は言葉に詰まって、静かに涙を流し、それを拭う。これが彼女のだらしないまでの優しさを鮮やかに描いていて、本当に素晴らしかった。
 物語としての力学上、この一家は因果応報の処罰を受けるしかなく、幸福な姿が描かれれば描かれるほど、その後の転落を想像して辛くなってしまい、映画館で目を閉じそうになってしまった。最終的に、登場人物たちはそれぞれそれなりの着地を与えられることになる。大人たちは責任を取らされるが、それに満足しているようにも見えるし、子供にはそれなりに開けた将来が与えられる。ゆりにも、希望を感じさせるような未来があるようで、よかったと観客は胸をなでおろす。
 正直なところ、個人的には、上述するすべての評価点が、狙いにいってるなというか、ちょっとあざといなという感じで、諸手を挙げてのめり込むタイプの作品ではないのですが、しかし、脚本、演出、役者の演技、すべての要素で完成度はMAXで、世界で評価されるのも納得の一作です。

 

『あいのり: Asian Journey』台湾編自分用まとめ

 みなさん、『あいのり: Asian Journey』観てますか?
 観てませんか。残念ですね……
 さて、『あいのり: Asian Journey』のエピソード9~13では台湾の旅が描かれていました。ラブワゴンが台湾の名所旧跡をいろいろと回っていましたので、自分用にまとめておきたいと思います。
 ※以下ネタバレ含む。

エピソード9 Over the rainbow

空港

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 メンバーが入国した空港。あんまり自信ないけど、桃園国際空港かな。

平渓老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 説明はないけれど、かすが合流のくだりのあとに散策しているのは、調べたところ平渓老街。

寧夏夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 これも説明はないけれど、夜にハト胸とアスカが買い出しに出ているのは、みんなが大好きな寧夏夜市。『孤独のグルメ』シーズン5第5話のラストで、五郎ちゃんが「これは無傷では帰れんぞ……」と舌なめずりしてたところです。

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Netflix孤独のグルメ』シーズン5第5話「台湾台北市 永楽市場の鶏肉飯と乾麺」より

エピソード10 灯と共に空へ

龍山寺

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 オープニングでメンバーがお詣りしている廟は台北龍山寺ですね。本編では言及がなく、オフショット的なカット。

鹿港

 

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 冒頭でメンバーが蚵仔煎を食べていたのは、調べたところ、鹿港の食堂でした。 

石門洞

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

平渓老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 エピソード9で少しだけ登場した平渓老街が、ちゃんと説明付きで紹介されます。

十分老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 平渓老街とあまり明確に区別されていませんでしたが、こちらは十分老街です。商店街の中を列車が通るのと、ランタンで有名な観光地ですね。


宝泉甘味手造所旗艦店

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 こちらは調べたところ、台中にあるお菓子屋さんのようでした。

paochuan.com.tw

台湾問題

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

「台湾の日本に対する好意」をいわゆる台湾問題とさらっと絡めて説明しています。こういうアプローチ、これはこれで批判があるんですけれども、でも、バラエティ番組でも旅した土地になんらかのリスペクトを示すのはよいことだなと思いました。

嘉義(?)

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 台湾問題のあと、メンバーは橋の復旧工事のボランティア活動をします。場所は明示されていませんが、ヘルメットの文言から嘉義周辺と思われます。

寧夏夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 またまた説明はありませんが、寧夏夜市です。このあと、ハト胸がアスカへの告白を決意します。

エピソード11 吹き抜ける風を背にして

鹿港

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 鹿港は行ったことがないですけれども、以前、NHKの『世界ふれあい街歩き』で取り上げられていて、風情のある街なんだなあと印象に残っています。

鹿港天后宮

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 いつもながら『あいのり』の告白は風情のある場所を選びやがる。

彰濱工業區線西區

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 ハト胸がアスカの返事を聞くのは、川沿いに風車が立ち並ぶ一帯。調べてみたら、鹿港郊外の彰濱工業區線西區というところのようです。

嘉義

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 男性メンバーが寝坊で集合時間に遅刻してきた場面。特に明示はありませんが、調べてみると、嘉義のようです。

嘉義火鶏肉飯

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 嘉義といえばの鶏肉飯をメンバーも食べに行きます。ここでウェディングのリタイアを知らされます。

高美湿地

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 台湾のウユニ塩湖として最近よく知られるようになった観光地。いい画を収めてます。

エピソード12 天空の月

台東

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台東です。台東のくだりは手掛かりが少なく、それぞれがどの場所なのか自分の知識では特定ができませんでした。

台南

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台南です。

花園夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台南最大と言われる夜市ですね。賑やかで、観光客だけでなく地元民も集まるよいところですが、台南中心部から若干離れているのが観光のネックになります。徒歩だとちょっと厳しいのですが、タクシーか、もしくは開催している曜日なら0番バスで行けます。

神農老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 風情のある街並みですよね。でっぱりんが告白をするところです。

エピソード13 陽光に光る涙

鹿耳門天后宮

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード13「陽光に光る涙」より

 台南郊外四草緑色隧道の方にある廟のようです。相変わらず告白にいいロケーションを選びやがる(カメラマンこの構図好きね)。

余談

 以下余談です(トピシュさん話法)。
 こうして改めて整理してみると、平渓老街はエピソード10で地名が紹介されているけれどもエピソード9でも訪問の様子が描かれているし、鹿港はエピソード11で地名が紹介されているけれどもエピソード10でも訪問の様子が描かれていることが分かります。また、寧夏夜市は、地名としての言及はありませんが、エピソード9とエピソード10で二度登場します。
 これを旅程として並べてみると、例えば、エピソード10は鹿港→平渓老街→十分老街→台中→嘉義寧夏夜市となります。ある程度台湾の地理をご存知の方なら、この旅程はいくらなんでもあり得ないとお思いになるでしょう。
 もちろん、実際にこのような旅程を辿っているわけではなく、時系列上、エピソード11で一度だけ訪問した鹿港の一部をエピソード10へ切り出しているのだろうし、ハト胸がアスカを意識してしまい無口になってしまった寧夏夜市も、台中・嘉義より前に出来事なんでしょう。つまり、演出に合わせてかなり時系列を組み替えていると言えます。
 嘘、とまでは言えないと思います。個人的には演出として許容範囲です。TVってこんな風に演出をしているんだなあと改めて感心しました。

 

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『あいのり: Asian Journey』(フジテレビジョン/2017~2018)

めちゃ×2イケてるッ!』、『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了し、フジテレビの凋落が伝えられているけれども*1、改めてフジテレビのバラエティ番組はすごいなと思った。
 なにがすごいのか?
『あいのり: Asian Journey』である。
『あいのり: Asian Journey』は、1999~2009年までフジテレビ系列で放映されたTV番組『あいのり』の続編である。正続共に、「ラブワゴン」と呼ばれるピンク色に塗られたワゴン車に一般公募で集められた若い男女が乗り込み、世界を旅しながら彼らが恋愛するさまを描くリアリティ番組となっている。
 話が変わるようだけれども、「乃木坂46新内眞衣オールナイトニッポン0」で、2018/4/18に「妄想あいのり名場面特集」というのが放送された。新内眞衣と、おなじく乃木坂46和田まあやが、かつて『あいのり』に出演していたという体で妄想の思い出話を語るという企画で、これが結構面白かった。「あいのり」のエッセンスがなかなかうまく抽出されていた。
 これがきっかけで、Netflixで配信されている『あいのり: Asian Journey』を観てみることにした。
 これがめちゃくちゃ面白い。
 一見、若い男女が旅先で能天気に恋愛をしているだけのようだが、番組の作りとしては非常に緻密で、面白さのパーツを丁寧に積み重ねているような印象だ(もちろん、若くて健康的な男女が、ヘテロセクシャルな恋愛にかまけるという内容は、鼻持ちならないといえば大変鼻持ちならない。そういう点が嫌だという人はいるだろうなと思う)。
 まず、ラブワゴンのメンバーがいい。一癖ありつつも好感がもてるという絶妙な奴らばかりだ。
 描き方として印象的なのは、メンバーの欠点を隠さずにむしろフォーカスしているところだ。例えば、「有給公務員たか」はスマホで得た雑学をとくとくと女性メンバーに語ってしまうのが欠点なのだが、これを始めからコミカルに描くことで、味わいのある人間像として迫ってくる。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード1「新たな旅の始まり」より

 そういった場面を受けて、スタジオでオードリー、ベッキーらがコメントする(視聴者の突っ込みを代弁する)という「枠構造」がやはり今風だ。特に「洞察に長けた女性陣」と「ぼんくらな男性陣」の対比がうまくて、「ほんっと男子は女の子の気持ちが分かってないんだから~」っていうアレをテレビで堪能できる。男女心理に精通しスタジオに君臨するかのようなベッキー自身が脛に傷をもっているというのも、既に指摘されている通り*2、いい塩梅になっている。これも人選の妙だ。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード1「新たな旅の始まり」より

 ナレーションの際に必ず「有給公務員たか」、「元ミス松阪ゆめちん」など「肩書+ニックネーム」で呼称するのもポイントだ。恐らく元々は無名の素人に対するキャラクター付けだったのだと思われるが、もはや様式美である(若干ナメた感じの肩書もミソである)。前述の「乃木坂46新内眞衣オールナイトニッポン0」の「妄想あいのり名場面特集」でも、「漁師の卵さかなクン」、「エリート大学生ようへい」等の妄想キャラクターが登場するのだけれども、「(若干ナメた感じの)肩書+ニックネーム」で呼称するとそれだけで「あいのり」っぽくなる、魔法のスパイスなのである。
「愛のないSEX あり or なし」みたいな、まるで役に立たない、しかし、確実に盛り上がる議論も面白さに一役を買う。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード2「だから男と女はすれ違う」より

 合間に関係ない食堂のおばさんをインサートするギャグ演出もさすがだ。
 また、番組の端々で、出演者の綴る日記が読み上げられる。これがちょうど少女マンガのモノローグのような効果になっている。もう少し説明的なことを書くと、ロケ映像で映し出されるのはあくまでラブワゴンメンバーの「行動」と「会話」(つまり、アクション)なのだが、その裏側の心理を日記が描写するという、ドキュメンタリーに厚みをもたせる演出になっているのだ。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード3「泥に咲く花」より

 その他、ミャンマーの小学校で日本語を教える、みたいなちょっといい感じの場面も本筋と関係ないと見るやばっさりカットしてオープニングでオフショット的にさらっと流す手つきも実に鮮やかだ。
 総じて、ラブワゴン、スタジオ共にまずベストを尽くしただろうなというメンバーを集めたうえで、彼らをちょっと小馬鹿にしながらも的確な演出でエピソードを積み上げていき、アジアの美しい風景もさらっと織り交ぜ、エモーショナルな部分はきっちり描くという、本当に呆れるほどバランスの取れた距離感だ。フジテレビバラエティ制作の底力を思い知らされる番組である。
 本当は、女性メンバー「自称・中の下でっぱりん」がブチ切れた「人生の一部始終をカメラに撮られることの是非」についても、いろいろ書きたいのだが、長くなってしまったので、それはまた別の機会に。

 

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『世界の歴史〈18〉東南アジア』(河部利夫/1969)

 タイの近代史を知りたいなと思い、以前、南北アメリカ史の巻を読んで面白かった、河出文庫の世界の歴史シリーズを手に取ってみた。

世界の歴史〈18〉東南アジア (河出文庫)

世界の歴史〈18〉東南アジア (河出文庫)

 

  ところで、本書を読んで、コンスタンティン・フォールコンという人物を初めて知った。17世紀、ギリシャ出身の西洋人の身でありながら、タイ・アユタヤ朝の最高官位まで昇り詰めた人物である。

 フォールコンは、イギリス東インド会社の一小船の給仕より身を起こし、タイ国の最高官位チャオプラヤーにつき、フランスの伯爵となり、ヨーロッパ列国の国王及び法王より友とよばれるほどにまでなった。いわばアユタヤ朝における第二の山田長政であったともいえる。だが、やがてその専横に不評があつまり、排除された。

 フォールコンは東インド会社出身という経歴を活かし、東南アジアに進出する西欧諸国と渡り合うことで、アユタヤ朝廷での地位を確立していったが、後ろ盾となったナーラーイ王死去後、失脚し、暗殺された。
 なかなかドラマティックな人生で、フィクションの主人公になってもおかしくないと思う。『ヒストリエ』(岩明均)のエウメネスもそうだが、流浪の人物が外国で立身出世するというのはなかなか惹かれる題材である。

 さて、本題だが、タイの近代化について、著者は近代化直前の日本とタイ双方を訪れたタウンゼント・ハリスの日記を参照した上で、次のように述べる。

 これを読んで感ずることは、ひとりのアメリカ人の目には、当時のシャムと日本が近代への出発点ではほとんど同じようにうつっていたということである。しかし、以米(※原文ママ)一〇〇年のあいだに近代化は大きな程度の差をつくった。なぜだろう。

 実際、タイ近代化の先駆者として知られるラーマ5世の治世は、明治天皇のそれと重なり、明治天皇と比されることも少なくない。また、日本と同様、この時期に列強との不平等条約撤廃が取り組まれた。にも関わらず、こののち、タイはクーデターとその揺り戻しが繰り返されることになる。
 この点について著者はまず、このように述べる。

 たとえば、東南アジアの国々をみると、独立当初民族運動指導者は、デモクラシー形態をこぞって採用したが、やがて失敗した。およそ、真のデモクラシーが成立するためには、中央政府、地方行政組織はもちろんのこと、政党、経済団体、労働組合、宗教団体などが個人の自由な意志を組織し代表するものとして存在することが必要であり、それらがそれぞれの利益にもとづいて政府を動かすようでなければならない。

 ここまでは、まあ、そうかな、と思う。著者はタイで「失敗」があった理由を次のように挙げる。

 東南アジアでの社会的構造をみてみると、そこに「ふたつの社会」が併存していることに気がつく。都市に居住する西欧教育をうけた少数の指導者と、農村の一般大衆が、それぞれにつくっている社会である。都市社会と村落社会を場とした二重構造が画然としているのだ。

 一般に、アジア低開発諸国における政治的エリートや産業指導者は、個人としてはすぐれている。ことに、一般大衆の後進性とくらべてみるとき、きわだってよく見える。しかし、エリートがあまりにも外国的、西欧的な教養で身をよそおっているところに、これまたアジアの伝統に埋没し、長いあいだ閉じこめられて、貧困と屈従のなかにある農民層とのあいだに、背離が生じている原因があるといえるだろう。

 このくだりは少々困惑した。こういった社会構造は、明治期の日本もそう大差ないのではないか? 著者は、農村の非近代的な特徴として、特定の意志決定的リーダーが存在するのでなく共同体メンバーみんなで話し合って意志決定を行うというものを挙げているが、寄り合いのような意志決定システムは『忘れられた日本人』(宮本常一)にある通り、日本の農村、漁村にも存在していた。従って、これを第一の理由として挙げるのは、自分としては十分に理解が及ばなかった。

 とはいえ、著作全体としては、南北アメリカ史の巻同様、東南アジアを一気通貫して描くダイナミックな視点を面白く読んだ。著者は東南アジアを中国とインドという二つの大国に挟まれた地域であり、二つの大国の文化に大いに影響を受けたと見る(こういった史観も、現代の東南アジア諸国の人々がどのように思うか、というのはあるが……)。
 また、1969年の著作であるが、スハルトによる1965年のインドネシア共産党および華僑虐殺にもちゃんと言及があるのもよかった。

『北朝鮮 核の資金源』(古川勝久/2017)

 北朝鮮はいかにして国連の制裁をかいくぐり、核ミサイル開発に成功したのか。その国際的なネットワークを明らかにするノンフィクション作品。著者は安全保障の研究者で、2011年~2016年の間、国連安保理北朝鮮制裁の専門家パネルに従事した古川勝久

北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録

北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録

 

 二点感じたことがある。

 一点目は、国連という組織の足並みの揃わさだ。
 安保理が制裁を決議するには、著者が所属していた国連事務総長下の専門家パネルが国連の正式文書である年次報告書で制裁を勧告する必要がある。そして、専門家パネルが年次報告書を提出するには、パネル内でコンセンサスを得る必要がある。が、常任理事国である中国とロシアから派遣された専門家は陰に陽に報告を妨害する。

 パネルの同僚の中国人は、人民解放軍からの出向者で、30歳代前半だ。性格は温和だが、忠告どおりの人物であることはすぐにわかった。パネルの捜査に、何かにつけストップをかける。中国企業が制裁違反を犯したら、その事実を徹底的に隠蔽しようとする。明白な制裁違反があっても、「違反とは言い切れない」と言い続ける。国連の公式文書に、決して中国企業による違反行為について記述されないよう、あらゆる屁理屈をもって妨害する。他の同僚の動向を監視して、中国政府に報告する――

 ロシア人の同僚は、外務省から出向してきた定年間際の人物だった。仕事をまったくしないうえ、彼も”海外旅行”が大好きだ。ニューヨークにいても、オフィスにはほとんどいない。日中の大半を自宅で過ごしているらしい。たまにオフィスにいるときは、かなりの時間を電話に費やしていた。ロシアにいる家族に国際電話をしているようだ。

 中国、ロシアは北朝鮮の後見役であるからある意味しかたないとして、イギリス、フランスも負けていない。

 安保理にかかわる国連の組織では、イギリスとフランスの出身者が重要なポストを占める。いわば既得権益だ。能力とは一切関係ない。こうした連中がしばしば問題を引き起こすので、国連で両国の評判は概して悪い。彼らが不要な問題を引き起こさぬよう、こちらがカバーしないといけなかった。多大なる時間の浪費は、捜査に支障を来す。特定の安保理常任理事国が外交的なメンツばかりを重んじるため、制裁の実効で問題が生じていた。

 国連のことをあまりよく知らない自分は、国連に対してなんとなくポジティブなイメージを抱いていたが、こんなに生臭いところだったのかと思った。が、よくよく考えてみれば、文化も政治思想も異なる国々の連中が、母国の利害関係を背負って集まってきているので、こうなるのも当然なのかもしれない。

 二点目は、北朝鮮制裁の実務的な困難さである。
 例えば、北朝鮮が兵器やその部品の輸出入に使っているフロント企業を制裁対象に加える。しかし、加えたからといって、即、各国が実際的な制裁を行えるわけではない。国連の制裁対象へ指定された北朝鮮フロント企業OMM社の貨物船が、2015年、鳥取の境港沖に停泊した際、日本政府は物資没収などの措置を取らなかった。兵器開発にまつわる物品や関係する証拠を保持していた可能性があったにも関わらず、だ。なぜなら、日本には裏付けとなる法令が存在しないからである(法令がないから北朝鮮の船舶でも資産凍結をしないというのは、ある意味法治国家として信頼できるとも言えるが……)。かように、安保理が決議した制裁を加盟各国が履行するには多種多様な困難さが付きまとい、結局、十分に実行し切れない、ということを本書によって知った。

 また、北朝鮮に対する姿勢は国によって随分と温度差があるものなのだということも知った。自分もそうだが、一般的な日本人の北朝鮮に対する印象といえば国交はないわ、拉致するわ、ミサイルを飛ばすわで最悪に近いものだと思われるが、世界の国々――それは中国やロシアのような後見役の国だけでなく、台湾、マレーシア、ミャンマーといった東アジア諸国エチオピアウガンダアンゴラスーダンのようなアフリカ諸国にとっても、北朝鮮は重要な商取引のパートナー、なのである。北朝鮮がアフリカ諸国へ輸出しているもの――これは今となっては北朝鮮しか輸出できず、変な話、国際分業として成立してしまっているきらいがある。

 ちなみに、著者が参加した専門家パネルの制裁違反調査報告は国連のサイトで読むことができる。

Home | United Nations > ページフッター MAIN BODIES > Security Council

United Nations Security Council > ページヘッダーのSUBSIDIARY ORGANS

 >Security Council Subsidiary Bodies: An Overview | United Nations Security Council Subsidiary Organs > ページヘッダーのSANCTIONS > 1718 Sanctions Comittie (DPRK)

    >Security Council Committee established pursuant to resolution 1718 (2006) | United Nations Security Council Subsidiary Organs > 左カラムのPanel of Exparts > Reports

 例えば、2014年の最終報告(確かに連名で著者の名が入っている)。英文127ページのためほんの少ししか目を通していないが、押収した物品や商取引に使われたInvoiceなどを具体的に図示しており、なるほど、制裁違反の証拠説明というのはこうやって行うものなのだな、と興味深く眺めた。

 最後に、非常にどうでもよいことなのだが、研究者から安保理専門家パネルへ転身した古川勝久はいったいどういう人物なのだろう、と興味をもってGoogle検索してみると、意外にも遠目にはハライチ澤部のような風貌の持ち主なのであった。

『リメンバー・ミー』(リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ/2017)

 ピクサーによる長編アニメーション映画第19弾。ミュージシャンを志す少年ミゲルは家族から音楽に関わることを禁じられている。ミゲルはひょんなことから死者の国へ迷い込んでしまい、抜け出すために冒険を繰り広げる――監督は『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチと、共同でエイドリアン・モリーナ。

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 映画館で本作の予告編を初めて観た時、これ、死者の日がモチーフなんじゃん、と思った。死者の日はメキシコで死者が帰ってくると言われている日。毎年11月2日がそれにあたり、街を骸骨で装飾するのが特徴的である。以前、メキシコを訪れた際、たまたま日程が死者の日を挟んでおり、現地の人にとうもろこしのちまきタマレスととうもろこしの温かい飲み物アマレを振る舞ってもらったことがある。写真は、死者の日に関連するお祭りで、骸骨がダンスを踊っているところだ。

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 で、メキシコをモチーフにしているんだなあと思って、懐かしく思い、観に行くことにしたのだけど、本編を観ると、モチーフどころでなく、舞台はメキシコで登場人物も全員メキシコ人、みんな"Hola!"と挨拶をするなど、ガチメキシコの映画だったのだ。トランプ大統領のメキシコの壁が関係あるのかは分からないけれど、メキシコを舞台にすることがピクサー内部で検討され、そしてGOが出たんだなとしみじみ感じる。
 ストーリー展開は若干強引というか、各キャラクターの思考がちょっと飲み込みづらいところがあると個人的には感じた。音楽をやるために家出した家族がいたから一家で音楽を禁じるとか、制約なしで生き返るためにスターに会いに行くとか。「死者の日」というメキシコならではの魅力的なイベントを活かそうとし過ぎたのだろうか。
 表題曲「リメンバー・ミー」は、さすがに殺しに来てる楽曲だと感じた。劇中ラストの歌唱は観客の涙をもぎ取りに来てるというか、これ泣かないの無理でしょと思う。日本語版もよかった。

同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』

リメンバー・ミー』の前に『アナと雪の女王』のショートストーリーが描かれる。今となってはスーパースターのアナとエルサで、登場して歌を歌うだけで高揚感がもたらされる。松たか子さんと神田沙也加さんは相変わらず歌うまい。結構この短編だけで満足できてしまうところはある。
 あとは、なんていうんだろう、ディズニーアニメ独特の呼吸というか、登場人物の掛け合い、冗談じみた動きの数々が、実にディズニーだなあとしみじみ感じ入った。職人芸である。
 ちなみに、『家族の思い出』がクリスマスをテーマにしており、『リメンバー・ミー』が11月の死者の日をテーマにしているので、これ、本来は10月頃に公開されるつもりの映画だったんじゃないかなあと思った。実際、メキシコでは10月に公開されたようだ*1。 

リメンバー・ミー(エンドソング)

リメンバー・ミー(エンドソング)