ぶりだいこんブログ

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『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」

 すみません、今日はただ『あいのり: Asian Journey』シーズン2エピソード2の話をします。エピソード1の話はないから唐突だし、エピソード3の話をするかも分かりません。エピソード2の話だけです。
『あいのり: Asian Journey』のシーズン1は2017年から2018年にかけて、地上波ではフジテレビ系列で、ネットではNetflixで全22話が放送配信されました。シーズン2では、前回でカップルになり切らなかったメンバーと新メンバーの計7名で、再びラブワゴンへ乗り込みアジアを旅します。

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  シーズン1ではベトナムミャンマー、タイ、台湾、マレーシア、シンガポールと東南アジア中心の旅程でしたが、今回はインドスタートで、予告では草原のゲルとかも映ってたので、内陸部が中心なのかもしれません。

オープニング

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 シーズン1の主題歌「せかいでいちばん」(井上苑子)が好きだったので(めっちゃ水野良樹節だとは思いますが……)、シーズン2も主題歌継続で嬉しいです。
 ちなみに、上記キャプチャは、本編では特に描かれていない、インドの宿屋での交渉と思われる場面ですが、こういうちょっとしたオフショットが旅情を誘うというか、海外旅行に行きたくなります。

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インドの通勤電車に乗る場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 恋愛に関係がないけれど、訪問した国を描くエピソードをちゃんと入れるところが、これまた旅をしている感じがして、いい。しかし、インドって未だにこうなの。あと、女性がこういう電車に乗るのは少し心配なところがある(この心配は残念ながら別の場面で現実のものになってしまう)。

トムがでっぱりんにボロクソに言われる場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 なんだろう、これ、恋愛じゃない関係性においての男女あるあるというか、口喧嘩が下手な男子が口喧嘩が上手な女子に立ち向かって返り討ちに遭うのって、当事者としてはたまったもんじゃないでしょうが、離れたところで見ていると、人間の断面がよく描かれた味わいのある場面。
 トムがでっぱりんに対して物申した内容のまとめが「お酒を飲んだ時のでっぱりんの博多弁は怖すぎる」なの、スタジオのベッキーが「小っちゃいんだよ~」のツッコミが笑う。
 あと、勇ちゃんがいい味を出しているのは、恐らく、現場で見ていたスタッフが「いい味出してるなあ」と感じた印象が、そのまま放送に現れているのだと思われる。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 でも、最後にでっぱりんとグータッチで仲直りできるの、スタッフのサジェスチョンもあったのかもしれないけれど、トムの人柄も滲み出てる。

ダンススクールの場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 一行がダンススクールを訪れる。『マガディーラ』とかのダンスってこういう下地があるのかと思う。いや、インドのダンスって非常に裾野が広いんではないかと想像します。
 でっぱりんがDr.モリモリに褒められて調子乗ってるところに、トムがモリモリに「優しい」ってぼそっと呟くの、ギャグ場面として秀逸過ぎる。

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 でっぱりんがアキラとのカップル成立写真を燃やす場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 一度「あいのり」に出演すると、もう出番がなくなってもこうやっていじられ続けるの、なかなかだなと思う(そういうのを差し引けば、もちろん、笑える場面ではある)。

ラカンブの場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 ベッタベタだけど、やっぱり股間ポロリは笑ってしまう。これもお約束だけど、「キャー!」と言いつつ見てはいる。あと、インド人の笑顔がよすぎる。

ビーチでモアが痴漢される場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 インドのこういうダーティな側面を、声高ではないけれど、描写しているところも、厚みがある(TVというフィルターを通して観ているのでこういう他人事みたいな感想になってしまうのを、ご容赦ください。無論、本人の心情は察するに余るところがあります)。

勇ちゃんとユウちゃんが家族の話をする場面

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Netflix『あいのり: Asian Journey』シーズン2 エピソード2「口悪女と泣き虫男」より

 父親がいないことをさらっと伝えてさりげなくシンパシーを示すの、これ、勇ちゃんのコミュニケーション力というか、人柄が滲む場面だと思います。
 あと、毎話、東村アキコ先生のエンドカードが付くの、ゴージャスでよいなと思います。是非、続けてほしい。

余談

 以下、余談です。
 一般人がただ旅をするだけでTV番組として成立するわけがなく、当然、高度な演出が入っているわけです。

(1)キャラクターを引っ張り出すためのイベント設置

 エピソード2だけでも通勤電車乗車、ダンススクール、マラカンブ、ビーチ等スタッフが多数のイベントを用意していることが分かります。これらは、言ってみれば、メンバーの個性を引き出すために、スタッフが仕掛けた「網」のようなもの。
 通勤電車乗車はさして人物描写にはつながっていませんが、単純に場面として面白かったから採用された。ダンススクール、マラカンブ、ビーチは、結果的に勇ちゃんの不器用さ、モアのトラウマが引き出されたから採用された。
 その他、撮れ高がなかったから没になったイベントも少なからず存在していると推測されます(オープニングオフショットから推測可能)。
 ちなみに、そういったイベントなしにでっぱりんが個性を発露できているのは、本人の持ち味もあるのでしょうが、やはり「2回目」だからではないかと思います(あ、ループものっぽい言葉遣い……!)。

(2)イベントから引き出されたエピソードの再構成

 以前、シーズン1の「台湾編」を題材に具体的に説明しましたが、放送エピソードは、相当に実時系列を組み替えていると推測されます。
 今回エピソードの具体的な撮影順は自分の材料不足で分かりませんが、勇ちゃんに焦点を絞ると、「トムがでっぱりんにボロクソに言われる場面」と「マラカンブの場面」では勇ちゃんの作為なき愛嬌が、「ダンススクールの場面」では恋愛に対する不器用さが、「勇ちゃんとユウちゃんが家族の話をする場面」ではそれらを踏まえて勇ちゃんとユウちゃんが心理的距離を縮めるさまが描かれます。
 繰り返しますが、これらが実時系列上で本当にそのような順番で進展したかは分かりません。演出スタッフがシーズン2全体の展開を俯瞰した上で、視聴者が腑に落ちるように再構成したものです。逆にいえば、エピソードは提示される「順番が肝心」なのです。

 

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(3)場面そのものの演出

「トムがでっぱりんにボロクソに言われる場面」は笑える場面に仕上がっていますが、当事者であるトム、でっぱりんの双方が悪者になり過ぎないように演出スタッフが相当気を遣っていることが推測されます。
 冒頭でモアとでっぱりんが、トムが「あいのり2回目」であることを鼻にかけたような言動が気になる、と話をします。ここで実際のトムの言動がVTRで示され、視聴者も「まあ、確かに」と共感します(これ大事! テストに出るよ!)。
 女性陣がトムを呼び出す際、でっぱりんにCGで牙を生やしてコミカルさを強調します(イコール、シリアスさを減じようと演出陣が努力していることも窺えます)。
 女性陣は集団故か、必要以上にトムへ攻撃的な指摘をします。この「必要以上」なところが、今度は視聴者がトムへ共感を抱く要素となります(この時のトムの感情の流れは、スタジオへ戻ったあとにいとうあさこさんが少し説明しています)。
 この後のでっぱりんの言葉遣いは、東日本出身者にとってかなり強く感じられるだろうなというところですが、最終的にグータッチで和解することで、視聴者に安心感をもたらします(まあ、視聴者によってはでっぱりんのキャラクターが受け入れられないかも……ただ、物語演出上はここでクロージングしています)。
 この一連のくだりは、メンバーの感情の流れが視聴者に共感しやすいよう、説明的にならず、むしろメンバーの具体的な丁寧に言動を拾っていることが分かります。説明的でないため、スタジオメンバーの後付けの解説が効果を発揮しています。

 結局、この辺りってドキュメンタリーでもフィクションでもおなじような演出テクニックになるのではないかな、と思いました。