EXILE HIROが企画プロデュースするアクション映画シリーズの第4弾。5つのチームが抗争を繰り広げる「SWORD地区」。そのSWORD地区の利権を狙う暴力団九龍グループ。前作『HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY』で決定的な対決姿勢を見せたSWORDに対し、九龍グループが容赦なく牙をむく。カジノ建設構想、公害の隠蔽など政府の思惑も絡み、物語はクライマックスを迎える。主演は三代目J Soul Brothersの岩田剛典。EXILE TRIBEメンバーのAKIRA、TAKAHIRO、登坂広臣の他、若手俳優の窪田正孝、山田裕貴、林遣都、さらには岩城滉一、津川雅彦らベテラン俳優も出演する。
初めに悪かったところ、次によかったところを書きたい(ネタバレしてます)。
悪かったところ
一番気になったのは、ストーリー展開がよく分からないところだ。これは枚挙に暇がないけれど、
- コブラが捕まってから琥珀が助けに来るまでのどれくらい経っているのか。
- コブラがなぜスモーキーの危機を知っていたのか。
- スモーキーの死後、無名街からMUGENの溜まり場へいつの間に移ったのか。
- コブラやララが収容所へ行く場面の意味がない。
- ドラマシリーズから引っ張ってきた割にMIGHTY WARRIORSの見せ場がない。
などなど。元よりプロットの巧みさで見せるタイプの映画シリーズではないが、前作『THE MOVIE2』では「汚職情報が格納されたUSBメモリを巡るバトル」と「DOUBTとWhite Rascalsのバトル」の2つに話の焦点を絞っていたのが奏功していた。にも関わらず、本作では脚本作りが後退してストーリーが若干散漫になっていたように思う。
また、これまでの映画シリーズでは物語上のクライマックスとアクション上のクライマックスを一体化させ、映画の終盤にクオリティの高いアクション場面を見せてくれていたが、本作で、もちろん、アクション上の見せ場はいくつもあるのだけれど、ラストに最もよいアクションシーンを置いているとは言いづらかった。一応、シリーズの完結編なのでお話の決着をつけなければいけないという点は理解するが、シリーズを見てきたものからすると、映画の終盤に大乱闘シーンがないのは物足りない。
それから、これは本作に限った傾向でないけれども、登場人物がテーマをセリフで説明し過ぎてしまっていて、少々鈍重に感じる。YOUと小泉今日子のくだりとか、完全に蛇足じゃなかったですか? 完結編だから登場させたかったのは分かるけれけれども、パチンコへ行くだけでよかった……
2回観ることの効用
本作は映画館で2回観たのだけれども、巷で言われている通り、2回目の方が楽しく観れらた! これは、1回目はやはり話の筋を追ってしまうため、前述の通りストーリー展開上の粗が気になってしまうけれど、2回目はストーリーがもう頭に入っているのでそれ以外の場面――それが後述の通りナイスな場面なわけで、そちらに集中できるのでかえって楽しめるからだ、と思った(『HiGH&LOW』に限らず、ストーリーは変だが絵作りやキャラクターがよい映画はおなじ観方ができるんだろうけれども、大抵はストーリーが駄目なら絵作りも駄目か、ストーリーも絵作りもよいか、だと思う。『HiGH&LOW』みたいなバランスが変な映画は多数派ではないのだろう)。
というわけで、よかったところ。
よかったところ
琥珀、九十九、雨宮兄弟が西郷のアジトから脱出する場面のアクションはとてもよかった。床をぶち破ったり、穴を通ったり、はたまた吹き抜けで上のフロアへ戻ったり、カメラが上下を自在に移動しつつ大人数の乱闘をワンカットで撮っているのは、痺れる。ほんと、どうやって撮ってるんだろう。
ワンカットといえば、アクションじゃないワンカットもあって、例えば、無名街でキリンジと植野が話す場面もワンカットなのである。アクションシーンでないとはいえ細かい動きがちりばめられていて、注視しているとなかなか面白い。
美術、ロケーションは映画シリーズを通してよい。本作のメインの舞台となる「無名街」のもはや究めた感すらあるスラム描写を始め、ちょっとだけ出てくる「リトルアジア」なんかもよい(「共用廊下で山羊を飼っているとアジアっぽい」という発想に脱帽)。スモーキーの墓もすごい。よくあんな絵になる倉庫を見つけたものだ。『ファイナルファンタジーⅦ』のエアリスの礼拝堂みたいなんだけど、たぶん、美術スタッフはそっくりそのままの指示で作っていると思われる(笑)。あと、終盤で達磨一家が川の向こうに陣取る九龍グループに突入する場面、あれ、撮影場所日本なんですかね? 海外っぽかったけど。それともCGで作ったのかな。
みんなで見栄を決めているカットで、かかってほしいタイミングでかかる主題歌「HIGHER GROUND」もよい。やはりテンションが上がる。
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