ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(コリン・トレヴォロウ/2022)

 2015年から続く「ジュラシック・ワールド」シリーズの3作目にして完結編。前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)で全世界へ解き放たれた恐竜たち。バイオシン社はイタリア・ドロミーティに恐竜たちの保護区を作った。が、恐竜の密売が横行し、オーウェンとクレアは再び立ち上がる。
 前作に引き続きクリス・プラットが主演を務める。他出演者としてブライス・ダラス・ハワードらに加え、旧「ジュラシック・パーク」シリーズのサム・ニールローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムも出演。監督は前々作『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレヴォロウ。

www.youtube.com

ジュラシック・ワールド」シリーズ完結編を作るにあたり脚本家へは「恐竜が現代世界に解き放たれたあとの世界を描く」、「新旧シリーズのメインキャラを共演させる」、あとはまあ普通に「超大作らしくゴージャスな味付けにする」という要求があったと思われ、お話づくりになんというか苦労の跡が伺える(コリン・トレヴォロウは製作、監督、脚本のそれぞれに関わっているので自分で自分を追い込んだとも言えるが)。

 ※ネタバレしています。

 で、その苦労の結果として、前半パートは「ジュラシック・パーク」ミーツ「007」というテイストになった。ユニークだが、これが観たかったのかと言われると……というところはある。世界へ危機をもたらす巨大イナゴも、恐竜時代の遺伝子を注入して、と関連付けようとしているが、「ジュラシック」でイナゴが恐ろしくてもあまり嬉しくはないのである。やはり初代『ジュラシック・パーク』(1993)が「ジュラシック」でやるべきことをあまりに過不足なくやってしまっているので、続編は苦労するのだろうか。
 ケイラ、ラムジーという二人の協力者が、都合がよすぎるところも気になった(恐らくオーウェンたちとグラント博士たちだけでは到底今回の話が回しきれず、やむなくこの二人を脚本へ投入したと思われます)。特にラムジー(バイオシンにいた若者です)はあまりに都合よく協力してくれるので、観ていてなにか裏があるのかと誤解してしまった。都合が過ぎるのもかえってノイズかもしれない(保護区が炎上したあとラムジーがドジスンに迫る場面はラムジーが実はドジスンの地位を簒奪しようとしてすべてを企んでいた、と一瞬思わせますよね?)。
 バイオシンCEOドジスンもなにをしたいのかよく分からなかった。巨大イナゴで食糧危機をもたらして耐性のある自分たちの種苗を売りさばく、ってそんなこと考える人いますかね? あと、ドジスンの風貌が明らかにアップルのティム・クック。『ドント・ルック・アップ』(2021)の悪い富豪もティム・クックを思わせる風貌だったし、今、アメリカでティム・クックは公認の悪役キャラなのでしょうか……
 あとは、ドジスンが目潰しを食らって恐竜に捕食される場面は初代『ジュラシック・パーク』の悪役ネドリーの引用とか、ギガノトサウルスに襲われた時にイアンが火で誘導しようとする場面も『ジュラシック・パーク』からの引用とか、目配せが多い! リメイクとかシリーズでの目配せ、始めは新鮮だったがこう何度も出てくると若干食傷気味でもある。いや、もちろん、サム・ニールジェフ・ゴールドブラムが出演していること自体はめちゃくちゃ嬉しいのですが。

 文句ばっかり言ってるみたいだけど、印象的なところもやっぱりあって、冒頭の漁船がモササウルスに襲われるところを定点カメラで描く場面はフェイクドキュメンタリーの肌触りがあってよいし、バレッタの街並みをバイクで疾走しながら恐竜に追いかけられる場面はどうやって撮ったのかなって思うくらいすごいし、不時着したクレアを襲ったやつとか氷上でオーウェンとケイラを襲ったやつとか羽毛恐竜が何体か出てくるところもよかった。

 一本の映画としてみると極めて完成度が高いとはちょっと言いづらいのですが、やっぱり恐竜が出てきて人間を襲うと楽しいです。

 

buridaikon.hatenablog.com