ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)(平尾アウリ)

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は2015年から「月刊COMICリュウ」(2018年から「COMICリュウウェブ」)で連載中の平尾アウリによるマンガ。2019年3月現在既刊5巻。
 岡山県ローカルのアイドルグループ「ChamJam」。アイドルオタク「えりぴよ」が熱烈に応援しているのは、「ChamJam」の人気最下位メンバー市井舞菜。シャイな舞菜と愛が深まり過ぎてズレてしまったえりぴよのすれ違いが生む笑いと胸きゅんを軸に、ChamJamのメンバーそれぞれの思いや、えりぴよのオタク仲間の日々を描く。

 自分はこのマンガ超好きなんですが、4巻の中から好きなポイントを取り上げたいと思います。

アイドルオタクの言動がよく描けている

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P20

「今年も紅白楽しみにしてるー!」
「朝ドラのヒロインやりながらもちゃむのこと忘れないでね」

「紅白出場妄想」と「朝ドラヒロイン抜擢妄想」は女性アイドルオタクあるある(全部妄想です)。なんなら自分も乃木坂46生田絵梨花さんが近い将来朝ドラのヒロインになると心の底から思ってるし!

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P75

「映ってたじゃん! 輝きが他の子たちとは明らかに違うじゃん!!」
「これは全世界にファンが増えてしまうにちがいないな」

「自分の推しているメンバーがとうとう世間に見つかってしまった妄想」は女性アイドルオタクあるある(全部妄想です)。
 そういうアイドルオタクの言動がギャグとして効いている。

えりぴよさんのクレイジーな言動(ボケ)とそれに対するツッコミ

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P52

「舞菜をテレビに出せるようにビックリ人間として他薦したいと思うんだけど 舞菜って何か人間離れした特技あったっけ?」
「アイドルとしてテレビに出させてあげて下さい」

 アイドルオタクとしては常識人のくまささん(左側の男性)がだいたいツッコミ役。

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P160

「わたしも明日からパン工場の社長になろ!」
「なぜ 唐突に」
「舞菜がわたしのことパン工場の社長だと思ってるから」
「推しのせいで人生が変わる」

 コミュニケーション不全により舞菜にえりぴよさんがパン工場の社長と勘違いさせてしまう一連のくだり、笑ってしまう。

 基本的には一定の距離を保つしかないアイドルとファンの関係性を、恋愛関係のすれ違いと重ね合わせる描写

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P152

「…一番好きだよって言われたら嬉しいな そうなんだって思うけど その人のブログに飛んでみたらわたしのことなんて全然書いてくれてなかったりとかね あるもんね わたしたちは言われた言葉を信じるしかないのにね」
「やっぱり一番に好きでいてほしいな」

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『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(4)P155

(たくさんのアイドルを見ても思い出せるのは舞菜のダンスだけだ)
「こんなにいっぱいいるのにわたしの世界には舞菜だけだ 一番とかじゃなくて舞菜だけなんだよなあ」

  アイドルは特定の個人のファンを好きと言っていけないし、ファンはいくらアイドルを応援しても自分への見返りを求めることができない。一定の距離感を保たざるを得ない関係性が、そのままえりぴよさんと舞菜の淡い恋愛関係の距離感と重ね合わされてるんですね。
 もちろん、シャイな舞菜とクレイジーなえりぴよさんだからお互い好き同士なのにそのことにお互い気づくことができない、というのがコメディ要素、かつ、すれ違い要素なんですが、そこにアイドルとファンというもう一つの関係性というか、すれ違い要素を導入したのが、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の斬新なところだと思っています。

 舞菜はちゃんと可愛く描かれているし、えりぴよさん、マンガだから美人に描かれてるけど、誰も美人だと言わないのがよい(5巻で舞菜と知り合う前のちゃんとした格好をしているえりぴよさんがちらっと描かれて、あ、本来こういうファッションの指向だったんだ、というのが分かってよい)。