ぶりだいこんブログ

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『エーゲ海を渡る花たち』全3巻(日之下あかめ)

 15世紀半ばのイタリア・フェラーラ。富裕な商家の娘リーザは、クリミアからやって来た少女オリハと出会う。妹と再会するためクレタ島を目指すオリハに、かねてからの冒険心を刺激されたリーザは、同行を申し出る。こうして、二人の少女の地中海を渡る旅が始まったのだった――
エーゲ海を渡る花たち』はウェブコミック配信サイトCOMICメテオで2018年から2020年にかけて連載された。

エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)

エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)

 

 15世紀のイタリアを舞台にしたマンガといえば、『チェーザレ 破壊の創造者』(惣領冬実)や『アルテ』(大久保圭)があるけれど(日本に15世紀イタリアを舞台にしたマンガがこんなにあるのがそもそもすごいけど)、『チェーザレ』がイタリア戦争、『アルテ』がルネサンス期のフィレンツェを主な舞台としているのに対し、本作はイタリアの地中海貿易をテーマにしているのが特徴的である。

 なんといっても少女たちが旅をしている感じが全面に出ているのがよい。例えば、リーザとオリハが航海の過程で訪れるスパラタ(現クロアチアスプリト)。当時はヴェネツィア共和国支配下にあったが、ローマ帝国時代にディオクレティアヌス帝が宮殿を建設しており、現代でも残っている。

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エーゲ海を渡る花たち』(1)P162~163

「大昔の宮殿を基にした港町 言葉だけじゃ想像できなかった景色だわ フェラーラからアドリア海を渡った先に こんなところがあったんだ 見れてよかった」
「ええ…」

  普通の旅行の感想だが、それがいい
 一方、15世紀のヨーロッパを、いくら護衛がいるとはいえ少女二人で旅するのはさすがに治安的に無理ではないかと思うが、まあ、そこはそれ(作者も1巻のあとがきで恐らく編集の要請で「優しい世界」にすることになったのを匂わせている)。

  主人公の一人オリハがクリミア半島ジェノヴァ領出身、という設定が歴史ファンのツボを押さえている。また、主人公たちがコンスタンティノープルへ到着した際、アヤソフィアミナレットが一本だけ建っているというのも芸が細かい。

 東地中海から黒海を舞台にしているのが珍しいし、割とストレートに旅の楽しさが描かれており、キャラも可愛いし、面白かったです。

 以下は自分用に巻別の訪問地メモ。

巻数 訪問地(カッコ内は現在の地名) 現在の国
1巻 フェラーラ イタリア
ヴェネツィア
スパラタ(スプリト クロアチア
2巻 ラグーザ(ドゥブロヴニク
カッターロ(コトル) モンテネグロ
コルフ島(ケルキラ島) ギリシャ
カンディア(イラクリオン)
3巻 ネグロポンテ(ハルキス)
コンスタンティノープルイスタンブール トルコ
トレビゾンドトラブゾン

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