ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『オールド』(M・ナイト・シャマラン/2021)

 バカンスで訪れたプライベートビーチ。死体が瞬く間に白骨化し、子供たちは数時間で大人へ成長する。そこは人が急速に老化するビーチだった……!
 監督は『シックス・センス』、『アフター・アース』で知られるM・ナイト・シャマラン。出演はガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフら。

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 出オチになりそうなところをちゃんと映画に仕立て上げていて、でも、ちょっと笑ってしまうところもあり、面白かったですよ。

 ※ネタバレしています。

 まず本編が始まる前にシャマラン監督本人が登場して、「映画を楽しんでいってね」的な当たり障りのない挨拶。「わざわざそれを言うだけに出てきたんかいっ」とツッコミつつも、こういう妙なサービスが嬉しくなってしまう。
 さて、本編ですけれども、いきなり件の老化ビーチが舞台になるわけでなくて、主人公一家がリゾートホテルへ向かう道中から描かれます。年齢や時間を絡めた会話が交わされ、本作のテーマを暗示します。その後、主人公一家はホテルでの1日目を過ごす。子供たちがビーチではしゃぐさま、夫婦の危機的な関係、その後ビーチで合流することになるもう二組の家族――医師の一家、痙攣発作もちの夫婦、などが手際よく描かれる。シャマランのこういう手際よさは好ましい。
 さて、いよいよホテルの計らいでプライベートビーチへ案内される。ビーチまで送り届けるドライバー役を演じているのがシャマラン監督で、主人公たちを地獄へ突き落とす役目を、監督としても、劇中人物としても果たしており、ちょっと笑ってしまう。
 で、老化が始まるんだけれども、みなさんがツッコミを入れている通り、「子供たちが急速に成長しているのに、大人たちは顔にちょっと皺が入るだけってどうなのよ?」(例えば、40歳から50歳でも見た目結構変わるよね)とか、「もうちょっと真剣にビーチから逃げ出すことを考えなさいよ」とか、いろいろある。いろいろあるんだけど、「妊娠させちゃった」、「生まれちゃった」、「死んじゃった」、「腫瘍が加速度的に大きくなっていく!」とか次から次へと老化を利用した(若干バカっぽい)ネタが繰り出されることで、飽きずに観ることができる。
 ラスト、この島が製薬会社の治験場でした、そしてその陰謀が暴かれました、っていうのはかなり一般向けのサービスで、間口の広げ方として個人的には好ましいと思う。
 演者だと、弟の十代役が、『ヘレディタリー/継承』でお兄ちゃん役を演じていたアレックス・ウルフ。ホラー映画の、決して悪いやつじゃないんだけど、状況に流されていってしまう感じが似合う。
『ヴィジット』同様、M・ナイト・シャマランの風呂敷を広げ過ぎないホラーの良作という感じで、よかったです。あと、シャマランは、出来不出来はあれど、コンスタントに映画を制作し続けており、偉いなと思った。