ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『パンとバスと2度目のハツコイ』(今泉力哉/2018)

 永遠の愛に疑問を抱く女性が、初恋の男性と再会し、自分自身の恋愛観に改めて向き合っていくラブストーリー。主演は元乃木坂46深川麻衣。共演は三代目J Soul Brothers山下健二郎。監督は風変わりな恋愛映画を多数手がける今泉力哉

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 自分は乃木坂46を応援しているし、「HiGH&LOW」シリーズも好きで、かつ、乃木坂46の個人PVの今泉監督作品も全部観ているので、これは観に行かないわけにいかないなと劇場へ足を運んだ。
 この映画、明らかに「深川麻衣さんの魅力」を前提としている演出脚本となっていて、例えば、山下健二郎さん演じるたもつが、深川さん演じるふみを認識する時、カメラがぐっと深川さんの口元に寄っていくんですね。乃木坂46ファンにとって深川さんの口元が印象的なのはこれはもう「所与の事実」に近いもので、ボーイミーツガール的な場面で深川さんの口元をアップにする演出になんの疑問も抱かないんですけれども、映画作品単体で観た場合、「深川麻衣さんの魅力」というファンは既に跳んでいる踏み台を、すっ飛ばしているような感じがして、深川さんのファンじゃない人(例えば、山下さん目当てで観に行った人)はどう感じるのかな、といくばくかの不安を覚えました。
 あと、デートに着ていく服を迷うふみに対して妹(志田彩良)があれこれ着替えさせるのを回転カットで見せる、いわゆる「深川さん着せ替えタイム」があるんですけれども、映画の中で着せ替えタイムがあったのって自分の知ってる中では『パコダテ人』(前田哲/2002)の宮崎あおいさん以来で、つまり、深川さんをアイドルとして見立てた「アイドル映画」的な作りとも言えます。
 深川さんも、山下健二郎さんも決して演技派ではないのだけれど、やっぱり来歴から来る爽やかさというのがあって、寓話的、とは言わないまでも、二十代の男女の恋愛の、生々しさ、でなく、奇妙さ、みたいなものにフォーカスを当てた作品にはとても合っていると思いました(演技でいうと、共演の伊藤沙莉さんが全然上手でした)。あと、深川さんのもつ「すげえいい子なんだけど、ほんとのところでなにを考えているかいまいち分からない」という側面も、ふみという人物に活かされていると思いました。総じて、今泉監督が深川さんの表も裏も知り尽くした上での作品だなと思うのですが、今泉監督の乃木坂46個人PV履歴を見ると、意外にも深川さんを担当したことはないんですね。じゃあ、いったいどこで……
 冒頭の入りはなかなかウィットがあるなと思いました。中盤はちょっとどこへ向かいたいのか分からなくて集中を失いそうになる感じもありましたが、やっぱり深川さんと山下さんという、まあ、スターがスクリーンに映っているととりあえず観続けられてしまうというのはあります。

 

  ちなみに、今泉監督は乃木坂46の個人PVを観るに民家、家事、姉妹というモチーフが多い。
 民家と風呂掃除。

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 民家と姉妹。

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 民家。

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 民家と子守り。

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 民家。

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 民家と姉妹。

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パンとバスと2度目のハツコイ』でも民家、家事、姉妹という要素が登場しているが、ここからなにかの批評に発展させることができないので、この節これだけ。