ぶりだいこんブログ

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『バーフバリ 王の凱旋』(S・S・ラージャマウリ/2017)

 インド大作映画『バーフバリ 伝説誕生』(2015)の後編。古代インド、マヒシュマティ王国を舞台に、英雄バーフバリ親子が王位継承権を巡る争いに巻き込まれるさまを、歌、ダンス、そして、類を見ないアクションで描く作品。主人公バーフバリ親子を演じるのはプラバース。他、アヌシュカ・シェッティ、ラーナー、ダッグバーティ、ラムヤ・クリシュナらが出演。監督・脚本は前作に引き続きS・S・ラージャマウリ。

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 めちゃくちゃ面白かった! 前作は観てないけど、冒頭にこれまでのあらすじがあるので問題ない!


 ※ネタバレしてます。

 これ、ちょっと変わった語り口の映画で、前作『伝説誕生』の後半から、本作『王の凱旋』の中盤くらいまでは、ずっと回想なんですよね。だから、前作は回想の途中で終わって、本作は回想の途中から始まる。
 冒頭、シヴァガミがシヴァ神をお参りをする。頭に乗せた火鉢を落としたら願いが成就しない……というところで象が突然暴れ出す。シヴァガミピンチ、と思いきや、バーフバリが山車みたいなのを動かして象の横っ腹にがつーんと体当たり! 象もバーフバリを見るや跪く。バーフバリは象の鼻を上り、頭へ足を置く。民衆の「バーフバリ! バーフバリ!」コール。もうこの場面だけで、話の分かりやすさ、アクションのド派手さ、バーフバリのかっこよさ、そして作品自体のテンションの高さに、心を鷲掴みにされた!(また、このエピソードが伏線となって、ラストの大団円につながっているなど、脚本もちゃんと練られているのだ!)
 続く、バーフバリがデーヴァセーナを娶る一連のエピソードもいいんだよね。デーヴァセーナが矢を2本同時に射る練習をしてて、これ、いったいなんのためのカット……と思っていたら、あとで「バーフバリは2本どころか同時に3本の矢を射ることができる!」というバーフバリ上げのための伏線だった! 3本射撃で敵(というか自国兵なんだけど(笑)*1)をばったばったと薙ぎ倒していく場面はこれ以上ないくらい外連味たっぷりに描いてくれるし、デーヴァセーナとの6本同時射ちもいい。
 ヴァルマ(デーヴァセーナの従兄弟で婚約者)は始めは噛ませ犬っぽかったけど、バーフバリに促されて勇気を振り絞る場面がぐっと来るんだよなあ。中盤の、よかれと思ってバラーラデーヴァを暗殺しに行ったらかえってバーフバリを窮地に追い込んでしまったのも、不憫だ。
 バラーラデーヴァ、ビッジャラデーヴァは変に善玉要素を出したりせず悪役に徹しているのがよいところで、しかし、彼らがバーフバリ殺害に至る経緯もそれなりに納得感があり、しっかりした脚本というか、キャラクター描写なんだ。ていうか、半分くらいはデーヴァセーナが煽り過ぎたのも悪い気がするけど(笑)。デーヴァセーナも極めて誇り高い人物として好ましく描かれているので、それはそれでいたしかたなし。
 アクションは、『300』系列のスローモーションを多用した、というかあの感じを背脂マシマシにしたみたいなぎとぎとさなんだけど、人物の動きは分かりやすい。また、バーフバリが最強の戦闘力をもちながらも知恵を使って戦うというスタイルのため、木を切り倒して敵だけ倒すとか、さっきの3本同時射撃とか、人間パチンコ玉(というんですかね……)とか、ハリウッドや邦画や韓国映画ではないような斬新なアイディアを惜しみなく投入しており、とても楽しめる!
 あと、衣装、セット、エキストラ等、めちゃくちゃお金がかかってることも分かる! 当然CGも多用されてるんだろうけど、それにしてもちゃんと古代インドらしいスケール感がある!
 総じて、話が面白くて中弛みとかないし、アクションは見応えがあるし、敵味方含めキャラクターは魅力的だし、古代インドを舞台にして荒唐無稽なまでにスケールがでかいし、めちゃくちゃ面白かったです!

 

*1:2018年6月追記:マヒシュマティ王国が攻めてきたのだと思い込んでいましたが、『完全版』観て、山賊ピンダリだったことに気づきました。