ぶりだいこんブログ

推理小説とか乃木坂46の話をしています。

『万引き家族』(是枝裕和/2018)

 万引きで生計を立てる一家を描くヒューマンドラマ。監督は『誰も知らない』、『そして父になる』、『海街diary』等で知られる是枝裕和。出演はリリー・フランキー安藤サクラ樹木希林松岡茉優ら。2018年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。

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ネタバレしてます。

 子供に万引きをさせる、親の年金を当てにするというような貧困家庭を描いているのだけれども、現代日本の貧困問題を批評しているというより一種寓話的な作品だとは感じた。リアリティという意味では、このごく狭い地域でこれだけの頻度、被害額の窃盗を繰り広げていたら、いくら手馴れているとはいえ、間違いなく作品が始まる前に捕まっているはずで、つまり、はなからリアルを指向しているわけではないと思われる(の割に舞台が三ノ輪なのはさ~とはちょっと思うけれど)。
 むしろ、より普遍的な家族のあり方を主題としているような印象を受けて、登場する一家は、「スーパーで売っているものはまだ誰のものでもない」と嘯く一方、虐待されている子供をさらっと匿えるような度量もある(一種、権利関係の認識が曖昧なようでもある)。
 じゃあ、一家を応援したくなるかというと、年金を詐取するために死んだ老母を平気で床下に埋める描写をインサートすることで、観客を突き放す。この辺りのバランス感覚は非常に巧みだ。
 こういった、倫理観に欠けているけれど、憎めないところがあり、でもやっぱりちょっと怖いという複雑なキャラクターを、リリー・フランキー安藤サクラが見事に好演している。
 特に安藤サクラ、これは恐らくみんな褒めている場面でしょうけれども、池脇千鶴演じる刑事にゆりを誘拐した動機として「母親になりたくてもなれなかったからでしょ」と冷徹に指摘される。安藤演じる信代がこれまでゆりを慈しんできたこと、そして、(神の視点として)実母がゆりを未だに虐待していることを知っている観客は、刑事に反発する気持ちを抱く。平凡な映画であれば信代に声を荒げて日本社会の批判をさせるかもしれない。が、信代は言葉に詰まって、静かに涙を流し、それを拭う。これが彼女のだらしないまでの優しさを鮮やかに描いていて、本当に素晴らしかった。
 物語としての力学上、この一家は因果応報の処罰を受けるしかなく、幸福な姿が描かれれば描かれるほど、その後の転落を想像して辛くなってしまい、映画館で目を閉じそうになってしまった。最終的に、登場人物たちはそれぞれそれなりの着地を与えられることになる。大人たちは責任を取らされるが、それに満足しているようにも見えるし、子供にはそれなりに開けた将来が与えられる。ゆりにも、希望を感じさせるような未来があるようで、よかったと観客は胸をなでおろす。
 正直なところ、個人的には、上述するすべての評価点が、狙いにいってるなというか、ちょっとあざといなという感じで、諸手を挙げてのめり込むタイプの作品ではないのですが、しかし、脚本、演出、役者の演技、すべての要素で完成度はMAXで、世界で評価されるのも納得の一作です。

 

『あいのり: Asian Journey』台湾編自分用まとめ

 みなさん、『あいのり: Asian Journey』観てますか?
 観てませんか。残念ですね……
 さて、『あいのり: Asian Journey』のエピソード9~13では台湾の旅が描かれていました。ラブワゴンが台湾の名所旧跡をいろいろと回っていましたので、自分用にまとめておきたいと思います。
 ※以下ネタバレ含む。

エピソード9 Over the rainbow

空港

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 メンバーが入国した空港。あんまり自信ないけど、桃園国際空港かな。

平渓老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 説明はないけれど、かすが合流のくだりのあとに散策しているのは、調べたところ平渓老街。

寧夏夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード9「Over the rainbow」より

 これも説明はないけれど、夜にハト胸とアスカが買い出しに出ているのは、みんなが大好きな寧夏夜市。『孤独のグルメ』シーズン5第5話のラストで、五郎ちゃんが「これは無傷では帰れんぞ……」と舌なめずりしてたところです。

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Netflix孤独のグルメ』シーズン5第5話「台湾台北市 永楽市場の鶏肉飯と乾麺」より

エピソード10 灯と共に空へ

龍山寺

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 オープニングでメンバーがお詣りしている廟は台北龍山寺ですね。本編では言及がなく、オフショット的なカット。

鹿港

 

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 冒頭でメンバーが蚵仔煎を食べていたのは、調べたところ、鹿港の食堂でした。 

石門洞

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

平渓老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 エピソード9で少しだけ登場した平渓老街が、ちゃんと説明付きで紹介されます。

十分老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 平渓老街とあまり明確に区別されていませんでしたが、こちらは十分老街です。商店街の中を列車が通るのと、ランタンで有名な観光地ですね。


宝泉甘味手造所旗艦店

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 こちらは調べたところ、台中にあるお菓子屋さんのようでした。

paochuan.com.tw

台湾問題

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

「台湾の日本に対する好意」をいわゆる台湾問題とさらっと絡めて説明しています。こういうアプローチ、これはこれで批判があるんですけれども、でも、バラエティ番組でも旅した土地になんらかのリスペクトを示すのはよいことだなと思いました。

嘉義(?)

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 台湾問題のあと、メンバーは橋の復旧工事のボランティア活動をします。場所は明示されていませんが、ヘルメットの文言から嘉義周辺と思われます。

寧夏夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード10「灯と共に空へ」より

 またまた説明はありませんが、寧夏夜市です。このあと、ハト胸がアスカへの告白を決意します。

エピソード11 吹き抜ける風を背にして

鹿港

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 鹿港は行ったことがないですけれども、以前、NHKの『世界ふれあい街歩き』で取り上げられていて、風情のある街なんだなあと印象に残っています。

鹿港天后宮

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 いつもながら『あいのり』の告白は風情のある場所を選びやがる。

彰濱工業區線西區

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 ハト胸がアスカの返事を聞くのは、川沿いに風車が立ち並ぶ一帯。調べてみたら、鹿港郊外の彰濱工業區線西區というところのようです。

嘉義

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 男性メンバーが寝坊で集合時間に遅刻してきた場面。特に明示はありませんが、調べてみると、嘉義のようです。

嘉義火鶏肉飯

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 嘉義といえばの鶏肉飯をメンバーも食べに行きます。ここでウェディングのリタイアを知らされます。

高美湿地

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード11「吹き抜ける風を背にして」より

 台湾のウユニ塩湖として最近よく知られるようになった観光地。いい画を収めてます。

エピソード12 天空の月

台東

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台東です。台東のくだりは手掛かりが少なく、それぞれがどの場所なのか自分の知識では特定ができませんでした。

台南

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台南です。

花園夜市

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 台南最大と言われる夜市ですね。賑やかで、観光客だけでなく地元民も集まるよいところですが、台南中心部から若干離れているのが観光のネックになります。徒歩だとちょっと厳しいのですが、タクシーか、もしくは開催している曜日なら0番バスで行けます。

神農老街

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード12「天空の月」より

 風情のある街並みですよね。でっぱりんが告白をするところです。

エピソード13 陽光に光る涙

鹿耳門天后宮

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード13「陽光に光る涙」より

 台南郊外四草緑色隧道の方にある廟のようです。相変わらず告白にいいロケーションを選びやがる(カメラマンこの構図好きね)。

余談

 以下余談です(トピシュさん話法)。
 こうして改めて整理してみると、平渓老街はエピソード10で地名が紹介されているけれどもエピソード9でも訪問の様子が描かれているし、鹿港はエピソード11で地名が紹介されているけれどもエピソード10でも訪問の様子が描かれていることが分かります。また、寧夏夜市は、地名としての言及はありませんが、エピソード9とエピソード10で二度登場します。
 これを旅程として並べてみると、例えば、エピソード10は鹿港→平渓老街→十分老街→台中→嘉義寧夏夜市となります。ある程度台湾の地理をご存知の方なら、この旅程はいくらなんでもあり得ないとお思いになるでしょう。
 もちろん、実際にこのような旅程を辿っているわけではなく、時系列上、エピソード11で一度だけ訪問した鹿港の一部をエピソード10へ切り出しているのだろうし、ハト胸がアスカを意識してしまい無口になってしまった寧夏夜市も、台中・嘉義より前に出来事なんでしょう。つまり、演出に合わせてかなり時系列を組み替えていると言えます。
 嘘、とまでは言えないと思います。個人的には演出として許容範囲です。TVってこんな風に演出をしているんだなあと改めて感心しました。

 

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『あいのり: Asian Journey』(フジテレビジョン/2017~2018)

めちゃ×2イケてるッ!』、『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了し、フジテレビの凋落が伝えられているけれども*1、改めてフジテレビのバラエティ番組はすごいなと思った。
 なにがすごいのか?
『あいのり: Asian Journey』である。
『あいのり: Asian Journey』は、1999~2009年までフジテレビ系列で放映されたTV番組『あいのり』の続編である。正続共に、「ラブワゴン」と呼ばれるピンク色に塗られたワゴン車に一般公募で集められた若い男女が乗り込み、世界を旅しながら彼らが恋愛するさまを描くリアリティ番組となっている。
 話が変わるようだけれども、「乃木坂46新内眞衣オールナイトニッポン0」で、2018/4/18に「妄想あいのり名場面特集」というのが放送された。新内眞衣と、おなじく乃木坂46和田まあやが、かつて『あいのり』に出演していたという体で妄想の思い出話を語るという企画で、これが結構面白かった。「あいのり」のエッセンスがなかなかうまく抽出されていた。
 これがきっかけで、Netflixで配信されている『あいのり: Asian Journey』を観てみることにした。
 これがめちゃくちゃ面白い。
 一見、若い男女が旅先で能天気に恋愛をしているだけのようだが、番組の作りとしては非常に緻密で、面白さのパーツを丁寧に積み重ねているような印象だ(もちろん、若くて健康的な男女が、ヘテロセクシャルな恋愛にかまけるという内容は、鼻持ちならないといえば大変鼻持ちならない。そういう点が嫌だという人はいるだろうなと思う)。
 まず、ラブワゴンのメンバーがいい。一癖ありつつも好感がもてるという絶妙な奴らばかりだ。
 描き方として印象的なのは、メンバーの欠点を隠さずにむしろフォーカスしているところだ。例えば、「有給公務員たか」はスマホで得た雑学をとくとくと女性メンバーに語ってしまうのが欠点なのだが、これを始めからコミカルに描くことで、味わいのある人間像として迫ってくる。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード1「新たな旅の始まり」より

 そういった場面を受けて、スタジオでオードリー、ベッキーらがコメントする(視聴者の突っ込みを代弁する)という「枠構造」がやはり今風だ。特に「洞察に長けた女性陣」と「ぼんくらな男性陣」の対比がうまくて、「ほんっと男子は女の子の気持ちが分かってないんだから~」っていうアレをテレビで堪能できる。男女心理に精通しスタジオに君臨するかのようなベッキー自身が脛に傷をもっているというのも、既に指摘されている通り*2、いい塩梅になっている。これも人選の妙だ。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード1「新たな旅の始まり」より

 ナレーションの際に必ず「有給公務員たか」、「元ミス松阪ゆめちん」など「肩書+ニックネーム」で呼称するのもポイントだ。恐らく元々は無名の素人に対するキャラクター付けだったのだと思われるが、もはや様式美である(若干ナメた感じの肩書もミソである)。前述の「乃木坂46新内眞衣オールナイトニッポン0」の「妄想あいのり名場面特集」でも、「漁師の卵さかなクン」、「エリート大学生ようへい」等の妄想キャラクターが登場するのだけれども、「(若干ナメた感じの)肩書+ニックネーム」で呼称するとそれだけで「あいのり」っぽくなる、魔法のスパイスなのである。
「愛のないSEX あり or なし」みたいな、まるで役に立たない、しかし、確実に盛り上がる議論も面白さに一役を買う。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード2「だから男と女はすれ違う」より

 合間に関係ない食堂のおばさんをインサートするギャグ演出もさすがだ。
 また、番組の端々で、出演者の綴る日記が読み上げられる。これがちょうど少女マンガのモノローグのような効果になっている。もう少し説明的なことを書くと、ロケ映像で映し出されるのはあくまでラブワゴンメンバーの「行動」と「会話」(つまり、アクション)なのだが、その裏側の心理を日記が描写するという、ドキュメンタリーに厚みをもたせる演出になっているのだ。

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Netflix『あいのり: Asian Journey』エピソード3「泥に咲く花」より

 その他、ミャンマーの小学校で日本語を教える、みたいなちょっといい感じの場面も本筋と関係ないと見るやばっさりカットしてオープニングでオフショット的にさらっと流す手つきも実に鮮やかだ。
 総じて、ラブワゴン、スタジオ共にまずベストを尽くしただろうなというメンバーを集めたうえで、彼らをちょっと小馬鹿にしながらも的確な演出でエピソードを積み上げていき、アジアの美しい風景もさらっと織り交ぜ、エモーショナルな部分はきっちり描くという、本当に呆れるほどバランスの取れた距離感だ。フジテレビバラエティ制作の底力を思い知らされる番組である。
 本当は、女性メンバー「自称・中の下でっぱりん」がブチ切れた「人生の一部始終をカメラに撮られることの是非」についても、いろいろ書きたいのだが、長くなってしまったので、それはまた別の機会に。

 

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『世界の歴史〈18〉東南アジア』(河部利夫/1969)

 タイの近代史を知りたいなと思い、以前、南北アメリカ史の巻を読んで面白かった、河出文庫の世界の歴史シリーズを手に取ってみた。

世界の歴史〈18〉東南アジア (河出文庫)

世界の歴史〈18〉東南アジア (河出文庫)

 

  ところで、本書を読んで、コンスタンティン・フォールコンという人物を初めて知った。17世紀、ギリシャ出身の西洋人の身でありながら、タイ・アユタヤ朝の最高官位まで昇り詰めた人物である。

 フォールコンは、イギリス東インド会社の一小船の給仕より身を起こし、タイ国の最高官位チャオプラヤーにつき、フランスの伯爵となり、ヨーロッパ列国の国王及び法王より友とよばれるほどにまでなった。いわばアユタヤ朝における第二の山田長政であったともいえる。だが、やがてその専横に不評があつまり、排除された。

 フォールコンは東インド会社出身という経歴を活かし、東南アジアに進出する西欧諸国と渡り合うことで、アユタヤ朝廷での地位を確立していったが、後ろ盾となったナーラーイ王死去後、失脚し、暗殺された。
 なかなかドラマティックな人生で、フィクションの主人公になってもおかしくないと思う。『ヒストリエ』(岩明均)のエウメネスもそうだが、流浪の人物が外国で立身出世するというのはなかなか惹かれる題材である。

 さて、本題だが、タイの近代化について、著者は近代化直前の日本とタイ双方を訪れたタウンゼント・ハリスの日記を参照した上で、次のように述べる。

 これを読んで感ずることは、ひとりのアメリカ人の目には、当時のシャムと日本が近代への出発点ではほとんど同じようにうつっていたということである。しかし、以米(※原文ママ)一〇〇年のあいだに近代化は大きな程度の差をつくった。なぜだろう。

 実際、タイ近代化の先駆者として知られるラーマ5世の治世は、明治天皇のそれと重なり、明治天皇と比されることも少なくない。また、日本と同様、この時期に列強との不平等条約撤廃が取り組まれた。にも関わらず、こののち、タイはクーデターとその揺り戻しが繰り返されることになる。
 この点について著者はまず、このように述べる。

 たとえば、東南アジアの国々をみると、独立当初民族運動指導者は、デモクラシー形態をこぞって採用したが、やがて失敗した。およそ、真のデモクラシーが成立するためには、中央政府、地方行政組織はもちろんのこと、政党、経済団体、労働組合、宗教団体などが個人の自由な意志を組織し代表するものとして存在することが必要であり、それらがそれぞれの利益にもとづいて政府を動かすようでなければならない。

 ここまでは、まあ、そうかな、と思う。著者はタイで「失敗」があった理由を次のように挙げる。

 東南アジアでの社会的構造をみてみると、そこに「ふたつの社会」が併存していることに気がつく。都市に居住する西欧教育をうけた少数の指導者と、農村の一般大衆が、それぞれにつくっている社会である。都市社会と村落社会を場とした二重構造が画然としているのだ。

 一般に、アジア低開発諸国における政治的エリートや産業指導者は、個人としてはすぐれている。ことに、一般大衆の後進性とくらべてみるとき、きわだってよく見える。しかし、エリートがあまりにも外国的、西欧的な教養で身をよそおっているところに、これまたアジアの伝統に埋没し、長いあいだ閉じこめられて、貧困と屈従のなかにある農民層とのあいだに、背離が生じている原因があるといえるだろう。

 このくだりは少々困惑した。こういった社会構造は、明治期の日本もそう大差ないのではないか? 著者は、農村の非近代的な特徴として、特定の意志決定的リーダーが存在するのでなく共同体メンバーみんなで話し合って意志決定を行うというものを挙げているが、寄り合いのような意志決定システムは『忘れられた日本人』(宮本常一)にある通り、日本の農村、漁村にも存在していた。従って、これを第一の理由として挙げるのは、自分としては十分に理解が及ばなかった。

 とはいえ、著作全体としては、南北アメリカ史の巻同様、東南アジアを一気通貫して描くダイナミックな視点を面白く読んだ。著者は東南アジアを中国とインドという二つの大国に挟まれた地域であり、二つの大国の文化に大いに影響を受けたと見る(こういった史観も、現代の東南アジア諸国の人々がどのように思うか、というのはあるが……)。
 また、1969年の著作であるが、スハルトによる1965年のインドネシア共産党および華僑虐殺にもちゃんと言及があるのもよかった。

『北朝鮮 核の資金源』(古川勝久/2017)

 北朝鮮はいかにして国連の制裁をかいくぐり、核ミサイル開発に成功したのか。その国際的なネットワークを明らかにするノンフィクション作品。著者は安全保障の研究者で、2011年~2016年の間、国連安保理北朝鮮制裁の専門家パネルに従事した古川勝久

北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録

北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録

 

 二点感じたことがある。

 一点目は、国連という組織の足並みの揃わさだ。
 安保理が制裁を決議するには、著者が所属していた国連事務総長下の専門家パネルが国連の正式文書である年次報告書で制裁を勧告する必要がある。そして、専門家パネルが年次報告書を提出するには、パネル内でコンセンサスを得る必要がある。が、常任理事国である中国とロシアから派遣された専門家は陰に陽に報告を妨害する。

 パネルの同僚の中国人は、人民解放軍からの出向者で、30歳代前半だ。性格は温和だが、忠告どおりの人物であることはすぐにわかった。パネルの捜査に、何かにつけストップをかける。中国企業が制裁違反を犯したら、その事実を徹底的に隠蔽しようとする。明白な制裁違反があっても、「違反とは言い切れない」と言い続ける。国連の公式文書に、決して中国企業による違反行為について記述されないよう、あらゆる屁理屈をもって妨害する。他の同僚の動向を監視して、中国政府に報告する――

 ロシア人の同僚は、外務省から出向してきた定年間際の人物だった。仕事をまったくしないうえ、彼も”海外旅行”が大好きだ。ニューヨークにいても、オフィスにはほとんどいない。日中の大半を自宅で過ごしているらしい。たまにオフィスにいるときは、かなりの時間を電話に費やしていた。ロシアにいる家族に国際電話をしているようだ。

 中国、ロシアは北朝鮮の後見役であるからある意味しかたないとして、イギリス、フランスも負けていない。

 安保理にかかわる国連の組織では、イギリスとフランスの出身者が重要なポストを占める。いわば既得権益だ。能力とは一切関係ない。こうした連中がしばしば問題を引き起こすので、国連で両国の評判は概して悪い。彼らが不要な問題を引き起こさぬよう、こちらがカバーしないといけなかった。多大なる時間の浪費は、捜査に支障を来す。特定の安保理常任理事国が外交的なメンツばかりを重んじるため、制裁の実効で問題が生じていた。

 国連のことをあまりよく知らない自分は、国連に対してなんとなくポジティブなイメージを抱いていたが、こんなに生臭いところだったのかと思った。が、よくよく考えてみれば、文化も政治思想も異なる国々の連中が、母国の利害関係を背負って集まってきているので、こうなるのも当然なのかもしれない。

 二点目は、北朝鮮制裁の実務的な困難さである。
 例えば、北朝鮮が兵器やその部品の輸出入に使っているフロント企業を制裁対象に加える。しかし、加えたからといって、即、各国が実際的な制裁を行えるわけではない。国連の制裁対象へ指定された北朝鮮フロント企業OMM社の貨物船が、2015年、鳥取の境港沖に停泊した際、日本政府は物資没収などの措置を取らなかった。兵器開発にまつわる物品や関係する証拠を保持していた可能性があったにも関わらず、だ。なぜなら、日本には裏付けとなる法令が存在しないからである(法令がないから北朝鮮の船舶でも資産凍結をしないというのは、ある意味法治国家として信頼できるとも言えるが……)。かように、安保理が決議した制裁を加盟各国が履行するには多種多様な困難さが付きまとい、結局、十分に実行し切れない、ということを本書によって知った。

 また、北朝鮮に対する姿勢は国によって随分と温度差があるものなのだということも知った。自分もそうだが、一般的な日本人の北朝鮮に対する印象といえば国交はないわ、拉致するわ、ミサイルを飛ばすわで最悪に近いものだと思われるが、世界の国々――それは中国やロシアのような後見役の国だけでなく、台湾、マレーシア、ミャンマーといった東アジア諸国エチオピアウガンダアンゴラスーダンのようなアフリカ諸国にとっても、北朝鮮は重要な商取引のパートナー、なのである。北朝鮮がアフリカ諸国へ輸出しているもの――これは今となっては北朝鮮しか輸出できず、変な話、国際分業として成立してしまっているきらいがある。

 ちなみに、著者が参加した専門家パネルの制裁違反調査報告は国連のサイトで読むことができる。

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United Nations Security Council > ページヘッダーのSUBSIDIARY ORGANS

 >Security Council Subsidiary Bodies: An Overview | United Nations Security Council Subsidiary Organs > ページヘッダーのSANCTIONS > 1718 Sanctions Comittie (DPRK)

    >Security Council Committee established pursuant to resolution 1718 (2006) | United Nations Security Council Subsidiary Organs > 左カラムのPanel of Exparts > Reports

 例えば、2014年の最終報告(確かに連名で著者の名が入っている)。英文127ページのためほんの少ししか目を通していないが、押収した物品や商取引に使われたInvoiceなどを具体的に図示しており、なるほど、制裁違反の証拠説明というのはこうやって行うものなのだな、と興味深く眺めた。

 最後に、非常にどうでもよいことなのだが、研究者から安保理専門家パネルへ転身した古川勝久はいったいどういう人物なのだろう、と興味をもってGoogle検索してみると、意外にも遠目にはハライチ澤部のような風貌の持ち主なのであった。

『リメンバー・ミー』(リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ/2017)

 ピクサーによる長編アニメーション映画第19弾。ミュージシャンを志す少年ミゲルは家族から音楽に関わることを禁じられている。ミゲルはひょんなことから死者の国へ迷い込んでしまい、抜け出すために冒険を繰り広げる――監督は『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチと、共同でエイドリアン・モリーナ。

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 映画館で本作の予告編を初めて観た時、これ、死者の日がモチーフなんじゃん、と思った。死者の日はメキシコで死者が帰ってくると言われている日。毎年11月2日がそれにあたり、街を骸骨で装飾するのが特徴的である。以前、メキシコを訪れた際、たまたま日程が死者の日を挟んでおり、現地の人にとうもろこしのちまきタマレスととうもろこしの温かい飲み物アマレを振る舞ってもらったことがある。写真は、死者の日に関連するお祭りで、骸骨がダンスを踊っているところだ。

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 で、メキシコをモチーフにしているんだなあと思って、懐かしく思い、観に行くことにしたのだけど、本編を観ると、モチーフどころでなく、舞台はメキシコで登場人物も全員メキシコ人、みんな"Hola!"と挨拶をするなど、ガチメキシコの映画だったのだ。トランプ大統領のメキシコの壁が関係あるのかは分からないけれど、メキシコを舞台にすることがピクサー内部で検討され、そしてGOが出たんだなとしみじみ感じる。
 ストーリー展開は若干強引というか、各キャラクターの思考がちょっと飲み込みづらいところがあると個人的には感じた。音楽をやるために家出した家族がいたから一家で音楽を禁じるとか、制約なしで生き返るためにスターに会いに行くとか。「死者の日」というメキシコならではの魅力的なイベントを活かそうとし過ぎたのだろうか。
 表題曲「リメンバー・ミー」は、さすがに殺しに来てる楽曲だと感じた。劇中ラストの歌唱は観客の涙をもぎ取りに来てるというか、これ泣かないの無理でしょと思う。日本語版もよかった。

同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』

リメンバー・ミー』の前に『アナと雪の女王』のショートストーリーが描かれる。今となってはスーパースターのアナとエルサで、登場して歌を歌うだけで高揚感がもたらされる。松たか子さんと神田沙也加さんは相変わらず歌うまい。結構この短編だけで満足できてしまうところはある。
 あとは、なんていうんだろう、ディズニーアニメ独特の呼吸というか、登場人物の掛け合い、冗談じみた動きの数々が、実にディズニーだなあとしみじみ感じ入った。職人芸である。
 ちなみに、『家族の思い出』がクリスマスをテーマにしており、『リメンバー・ミー』が11月の死者の日をテーマにしているので、これ、本来は10月頃に公開されるつもりの映画だったんじゃないかなあと思った。実際、メキシコでは10月に公開されたようだ*1。 

リメンバー・ミー(エンドソング)

リメンバー・ミー(エンドソング)

 

 

「乃木坂46時間TV」(Vol.3)個人的名場面とちょっといい場面

 みなさん、「乃木坂46時間TV」(Vol.3)46時間全部視聴しましたか? できてないですね。自分もです。
 というわけで、46時間TVの個人的名場面個人的ちょっといい場面を時系列順にピックアップしていきたいと思います。まだ観切れていないコーナーに名場面が隠れているかもしれないけれど、それはあとでのお楽しみということで(タイムテーブルは前日のエントリ参照)。

3/23(金)

ちょっといい場面(1)渡辺みり愛さんの電視台で、鈴木絢音さんと堀未央奈さんが変なポーズで「チース」と登場する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 笑った。

ちょっといい場面(2)伊藤かりんさんが虫を食べて、「さすが将棋アマ初段」とコメントされる場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 笑った。

名場面(1)秋元真夏さんが白石麻衣さんの顔に生まれ変わった想定で渋谷のスクランブル交差点を颯爽と歩く場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 真夏さん切れ味よかった。

ちょっといい場面(3)能條愛未さんが渋谷のスクランブル交差点を颯爽と歩く美空ひばりを演じる場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 ひばりのモノマネうまい。

3/24(土)

 ちょっといい場面(4)「ファンが選ぶ! 乃木坂46ベストソング 延長戦」で、高山一実さんが「カウントダウン!」とV振りすると、誰かがすかさず「滑舌ヤバい……」と突っ込む場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 レス速い。

名場面(2)寝た振りをした伊藤理々杏さんが松村沙友理さんにキスされる場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 理々杏さんが完全に受け身で、松村さんにされるがままで、そして、それが満更でもない感じで、率直に言ってどエロい。
 本人の発案か構成作家の手によるものなのかは分からないけれど、ちゃんと「乃木坂工事中」のバレンタイン企画を発展させているところが心憎い。

ちょっといい場面(5)齋藤飛鳥さんが秋元真夏さんに「純粋な疑問なんだけど、チューってああいう音がするもんなの?」と訊く場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 松村さんは衆目の集まる場所では敢えて音を立てるけど、エレベーターとか人目がないところでは音を立てないらしい。

ちょっといい場面(6)さゆりんご軍団の「ぐんぐん軍団」について、高山一実さんが「アイドル好きだからアイドルの自己紹介ソングも好き」と述べると、伊藤かりんさんが「私もそうだからまっちゅんに作ってもらった」と応える場面

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RakutenTV「乃木坂46時間TV NOGIZAKA46 6th Anniversary」より


 アイドルがアイドルのためにアイドルの歌を作るのって素敵じゃないですか?

ちょっといい場面(7)さゆりんご軍団の幕張メッセライブで、舞台袖の中田花奈さんがカンペを駆使してファンを盛り上げている場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 中田さんのこういうところ、ほんとに頭が下がる。

ちょっといい場面(8)堀未央奈さん中心に関係企業からの差し入れを紹介する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 関係企業からの差し入れの山を見ると、乃木坂46って売れたんだな、としみじみ感じる。マキアージュのCMやってるので資生堂から資生堂パーラーのお菓子届くのとか、すごい。あと、メディアの皆さんは自分のメディアにちなんだ差し入れ送るのこなれてる。

ちょっといい場面(9)「ファンが選ぶ! 乃木坂46ベストソング 延長戦」で、松村沙友理さんが伊藤純奈さんにランキングに入っている楽曲を予想させる際、純奈さんに向かって腕を振り、純奈さんが「太陽ノック?」と訊くと、「手首の運動」と応える場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 なんだこの会話。

名場面(3)「太陽ノック」26位ランクイン後、松村沙友理さんが伊藤純奈さんに「太陽ノック入ったね、純奈ちゃん」と呼びかけ、純奈さんが「でも、私歌ってないんだよ」と返すと、「でもさっきノックしてたやん」と応える場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 一流お笑い芸人のMCかよ。

名場面(4)相楽伊織さんと星野みなみさんが、休業から久しぶりに復帰した北野日奈子さんと、昼に海鮮丼を食べたとか、クソどうでもいい話をしている場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 休業中も会っていたとのことだったが、復帰を特別なことと気負わず、いつも通りのどうでもいい話をしてるのって、友情がさりげなく窺えて、いいな、と感じる。

名場面(5)オリエンタルラジオ藤森さんが乃木坂46メンバーに差し入れを渡す場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 藤森さん、「Twitterで「王様のブランチ」出てないでさっさと46時間TV行けって言われた」とか、高山さんから「金森さん」と名前を間違えられた時には「いよいよ金づるにしか見えなくなったか」とか、徹底的に乃木坂46メンバーを上げ、自分を下げるスタイル。そして、秋元さんをいじったり、「ナカダカナシカ」コールを歌い上げたりと乃木坂46ファンに定番のネタを繰り出しつつも、夜間帯でちょっとお疲れ気味の乃木坂メンバーをチャラ男流で盛り上げ、最後は「これ以上出演してると乃木坂ファンに怒られるから」とさっと引き上げる。本当に気遣いの人で、これは人気者になるわけだ。
 また、3期生に差し入れを手渡す際、藤森さんが初対面のメンバーに都度名前を訊き、フルネームを復唱していて、ここで自分はデール・カーネギーの『人を動かす』を引用したい。

 フランクリン・ルーズヴェルトは、人に好かれる一番簡単で、わかりきった、しかも一番大切な方法は、相手の名前を覚え、相手に重要感を持たせることだというのを知っていたのである。ところで、それを知っている人が、世の中に何人いるだろうか?

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

 

 ちょっといい場面(10)樋口日奈さんが道頓堀のくいだおれビルを走り回って大阪グルメを堪能する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 大阪のテイストと、ライブのバタバタ感と、樋口さんのおっとりしてるけど雑な感じの魅力が混在した、よい電視台でした……

名場面(6)「叩いてかぶってジャン犬ポン」で、運営委員長今野義雄さんが高山一実さんに勝利し、喜びのコロンビアポーズをとる場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 Vol.2とほぼおなじ企画なんだけど、長時間生放送の、深夜時間帯の、楽屋オチテイストも含めたノリが楽しかった。

ちょっといい場面(11)「叩いてかぶってジャン犬ポン」で、高山一実さんがチーフマネージャー菊地友さんをオーバーキルしたあと、乃木坂46を成長させてくれたことに感謝する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 高山さんがじゃんけんで勝った瞬間にゼロ秒で相手を叩きにいくモーションも素晴らしかった。弱い人はハンマーを振り上げてしまうんだけど、高山さんはハンマーを相手の前頭部へ突くように持っていくんですよね。まさに得意という剣道の動き!

3/25(日)

ちょっといい場面(12)中村麗乃さんのクイズ「大学ノートの由来となった大学は?」に対して、岩本蓮加さんが「東大?」と回答すると、中村さんが「東大ってなに?」と出題者にあるまじき返答をする場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 正解は東京大学らしい。

名場面(7)久保史緒里さんが乃木坂46のMVを観ながら、「ハイストップ! 弓を射たあとの白石さんの自然な笑顔が可愛い! デュフ……」とオタ特有の早口で語る場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 久保さん、乃木坂46のMV観てる時、マジ早口で、視点がオタくさくて、ほんとオタオタしいんだけど、美少女で、かつ乃木坂46のメンバーでほんとによかったね~である。
 あと、「他の星から」のMVで「目つぶってにこ~ってしながら手の位置も完璧なまんまそのまま笑った時の西野さんその笑顔が素晴らし過ぎてちょっともう一回観てみましょうか」って息継ぎせずに喋り倒すとこと、「せっかちなかたつむり」のMVで「この四分割されてる花奈さんここ分かりますこのツインテールがまず可愛いじゃないですか。なんていうんだろう首の角度がこうで前のめりになってるからこそできるこのツインテールのこのなんだろう直線具合とあと……デュフ……花奈さんの骨格がすごく好きですねこのフェイスラインがすごいしゅってなってるのになんていうんだろう綺麗だけど可愛いこのなんていうんだろう……デュフ……可愛いですね~非常に可愛い」って息継ぎせずにしゃべり倒すとこ。
 これを観ると「乃木坂工事中」のバレンタイン企画で久保さんがいろんな先輩メンバーに好き好き言ってたのも、ほんとにいろんな先輩のことがそれぞれ比べられないくらい好きだったんだなとしみじみ思い返させられるし、中田さんに対して「好き過ぎて辛いってこういうことを言うんですね」とラブレターを送っていたのも、むしろドストレートな気持ちの表れだったのか、としみじみ感じ入ってしまった。

ちょっといい場面(13)犬メン鍋パーティーで、ちょっとしんみりしたあと、松村沙友理さんが「今日は家族写真撮ろっ」 と言う場面

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AbemaTV「乃木坂46 6th Anniversary 乃木坂46時間TV 3日目」より

「家族」ってキーワード泣かせる。

ちょっといい場面(14)松村沙友理さんがマツミンメンバーを刃牙の最大トーナメント選手入場みたいな前口上で紹介する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 松村さんのこういうすっとぼけたセンスは圧倒的。

ちょっといい場面(15)高山一実さんが卒業した伊藤万理華さんを廊下で見かけ、「まりか!」ってデカい声を出したらスタッフに怒られた場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 46時間TV中に高山さんがエピソードとして話してたけど、こういう楽屋的場面でもカメラを回しているのには恐れ入る。

ちょっといい場面(16)ちぎり絵アートの作業場に、北野日奈子さんがおずおずと入ってくる場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 こういうの泣かせる。

追記(2018/4/2)

 まだ観てなかったところ観た。

名場面(8)「私の乃木坂の見方」で、松村沙友理さんが「白石麻衣の3rd写真集のタイトルは?」という大喜利を天の声のアルコ&ピースに無茶振りし、咄嗟に酒井さんが「ホワイトストーン」、平子さんが「絶望という名の地下鉄」とダダスベりした回答をしてしまう場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 乃木坂メンバーの回答前に場の空気を暖める鮮やかな采配でした。

ちょっといい場面(17)齋藤飛鳥さんが香港のレストランでちゃんと英語でオーダーのやり取りをしている場面。

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

「POP OF THE WORLD」は「のぎえいご」より役に立つ(ひどい)。

追記(2018/6/1)

ちょっといい場面(18)生田絵梨花さんが、加入してすぐの新内眞衣さんが「いくちゃんって呼んでいい?」と言ってきてびっくりしたと主張し、新内さんはむしろ生田さんの方が「いくちゃんって呼んで」と言ってきたと反論する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 こういう場合、間違っているのは、大抵、生田さんである。

ちょっといい場面(19)「お絵描き伝言バトル テレストレーション」で生田絵梨花さんが、自分の絵が伝わったと知った瞬間「(絵の中で特に伝えるべき箇所に)焦点当てたから」とドヤ顔で連呼する場面

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ニコニコ生放送乃木坂46時間TV生中継」より

 で、焦点当てた絵が、これ。

 

buridaikon.hatenablog.com